魔法少女(仮)を道端で拾った件(前編)
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月見坂さんから見える位置まで進み。白々しく彼女に声をかける。
「あれ?もしかして月見坂さん?どうしたの道の真ん中で、大丈夫?」
すると彼女はこちらを見て、
「ひっ。あなた何?」
目を見開き怯えた様子で問いかけてきた。僕は何でだろうと辺りを見ながらふと気がつく。
(しまった、この魔法少女のお面を顔につけっぱなしだった!?)
そう、さっきまで顔ばれしないようにつけていたお面を顔につけっぱなしだったのだ。
いま僕は夜にお祭りの屋台で売っている魔法少女キャラのお面をつけて徘徊する男子中学生という、そのまま警察に連行されそうな格好をしていた。
僕は焦る気持ちを顔に出さないようにして、言い訳を考える。とは言え、お面で顔を隠しているので顔は見えないのだけれど……。
いいアイデアも思い付かず急いでお面をはずし顔を見せる。
「ほら、月見坂さんの隣のクラスの。昼休みの時にも会った。」
「え!?あ、あぁ、あなただったの……。」
驚いた後、少し安心したような顔を見せ、そして痛そうな体をお越し少しふらついて立ち上がる。思わず僕は彼女に声をかける。
「月見坂さん、大丈夫?何があったの?」
「正直、あまり大丈夫ではないわね。まぁちょっと転んじゃってね。」
そう答える。転んだのは無理があるだろう、とは思いつつ、何を言えば良いか思い付かず会話が途切れる。少しずつしてから彼女が遠慮がちに僕に聞いてきた。なんだろうと思いながら聞いていると、
「そ、それであなたは何をしていたの、こんな夜に。(そんなお面をつけて……)」
と最後はほとんど聞き取れない声で。
「そ、その趣味の散歩に……」
僕は苦しいと思いつつも押し通す。すると彼女は贔屓目に見て少し引きぎみに忠告してくれた。
「そ、そう、人の趣味にとやかく言うつもりはないのだけれど……。そんなお面をつけて夜に散歩する趣味は止めた方が良いと思うわよ……。」
さすがに反論のしようがない僕は「そうだね、気を付けるよ。」っとひきつった笑いをしながら答え、急いで話題を反らそうと話しかける。
「そ、それより、どこか痛いところはある?暗くて良く見えないけど、手とか足に擦り傷とかアザがありそうだけど……。どこかに治療できそうなところあるかなぁ。」
「そうね、所々擦りむいて血が出てるわ。」
そう答える彼女に家は近くか聞いてみると、ここからはかなり遠いことを教えてくれる。
ここまできて放って帰るのも気が引けるので、僕の家に連れていって治療しようかと思う。
「僕の家の方が近いみたいだし行こう。簡単な処置ならできると思うから。このまま放っておけないし。」
そう言って彼女の手をとる。「そんなこと、あなたに悪いわ。」という彼女を無理やり僕の家まで連れていくのだった。
怪我をしている彼女の歩くペースに合わせてゆっくりと家まで戻る。家につくと彼女を玄関に待たせて母を呼びにいく。今までに女の子を家に連れてきたことのない僕がいきなり夜に月見坂さんを連れてきたために舞い上がる、その後に彼女の姿を見て慌てだす父と母の誤解を解くのに少し時間がかかったけれど、ようやく家の中に入ることができた。
「ごめん、お待たせ月見坂さん、さあ早く入って。」
長くなったので分けます。次回は明日投稿します。