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ありがちな展開?

6話になります。よろしくお願いいたします。

 


(月見坂さん、こんな時間まで残って、しかも校舎の裏でなにを?)


 そう思い気になった僕は月見坂さんの向かった方へ……、行かずに図書室に足早に向かう。もちろん月見坂さんを千里眼で覗くためだ。後をつけていって覗くなんてそんな何に巻き込まれるか分かったものではないし、こんなところで一人で立って千里眼を使うといった傍目から見て怪しそうなこともしない。そういった点に抜かりはないのだ、僕は。


 少し遅い時間とはいえ部活に入っているメンバーはまだ学校にいる時間だし、図書室もまだ開いている。急ぎぎみに図書室に入ると端の目立たない席に目をつけ、座って席に来るまでに適当にとった本を読むふりをして千里眼で覗き見する……。



 ◇



(ついつい覗いてしまったけど、何をしているんだろう?)


 相変わらず音は聞こえず見ることしかできないが、何か危なそうだったら先生でも呼べばいいかと思いつつ見てみると、見間違えではなくやはり月見坂さんが立っているのだった。さらによく見ると月見坂さんの前にもう一つ影があった……。


(あれは……。)


 そこにいたのは以前に千里眼で覗いた際に橋本さんと戦っていたピエロとよく似た雰囲気と格好をした仮面をつけた人物だった。月見坂さんは冷たい表情で、一方、仮面の人は表情が分からないままに二人は何か話しているようだった。

 少しの間話し合いが続き、彼女がなにか激しく言い返した後、仮面の人はその場から消える。

 彼女の方に視線を移すと、「ギリッ」と歯を食い縛る音が思わず聞こえてきそうな険しい顔で前を睨み付けていた。


(月見坂さん、こわ!?というか、つまりどういうこと?だれか教えて欲しいんだけど……。)


 そんなことを思いながらもう少し続きを見ようとしたとき、


「そろそろ図書室を閉める時間よー。」


 そう声が聞こえたので、もう少し見たい気持ちを抑え千里眼を止めて、仕方なしに帰るのだった。



 ◇



 本を片付けて図書室を出た僕はぽつぽつと歩いて校舎から外に出る。校舎から出てすぐのところでちょうど部活が終わったのか小沢くんが(おそらく)部活のメンバーと帰ろうとしているところだった。


「よう、いま帰りか?今日は遅いんだな。」


「先生に捕まったり図書室に行ったりしてたらちょっと遅くなっちゃってね。小沢くんは今部活が終わった帰り?」


 と立ち止まり軽く返す。


「おう、同じ部活のメンバーと帰るところだ。」


 そんな話をしていると、


「あれ?あそこにいるのは月見坂?あいつもこんな遅くまでいたんだな。」


 小沢くんと同じ方を見ると月見坂さんがさっきまでいた校舎の裏からなのか、歩いて学校の門の方に向かっているのが見えた。


「そうだね。」と小沢くんに返しながら見る彼女は心なしか今朝よりも冷たさが割り増ししているような気がする……。


「おざわー、帰るぞー。」


「あっやべ、じゃあな。気を付けて帰れよ。最近ここら辺に変な格好をした危なそうな奴が出るらしいし。」


 友達の呼ぶ声を聞いた小沢くんはそんな事を教えてくれながら駆けていく。僕も「じゃあね、また明日。」そう言いながら、彼に手を降った。


 ふと顔をさっきまで月見坂さんがいた辺りに戻すと、彼女はもうすでに正門を出て帰ったようだった。


 僕は帰ろうと思い歩きながら小沢くんが言っていたことを思い出す。どうもここら辺りに変質者?が徘徊しているといった噂があるようだ。すっかり忘れていたが、最近母もマンション送られてくる連絡を見ながらそんなことを言っていた気がするのを思い出す。

 そもそも超能力者の僕はよほどの相手や油断でもしない限り危険はないため、そういった噂や情報には疎いのだ。


 怪しい人物と言えば、さっきまで覗き見していた月見坂さんと一緒にいた人物を思い出す。


(あやしいと言えば、さっきの変な格好は間違いなく怪しいよね……。まあでも覗いていることにも気づいていないみたいだし、僕にしてみれば格好が怪しいだけだよね。)


 そんなことを思いながら帰る。この世界には僕の覗き見に気づいて場所まで突き止められたりするとんでもない化け物がいたりするのだから……。



 ◇



 家に帰りご飯を食べて自分の部屋のベッドに転がる。思い出すのはやはり月見坂さんのこと。

 

(今日は月見坂さんとかなり縁がある日だったな……。昼休みに少し話した感じだと小沢くんや不思議生物が言うほど冷たくも無さそうだし……。)


 何より気になったのは今日の放課後の出来事だ。


(あの様子から考えると月見坂さんはあの変な仮面の奴と関係者っぽかったよね。あの仮面は格好や雰囲気的にはこの前の夜に橋本さんと戦ってたピエロと同じような気がするし……。そうすると、もしかして橋本さんと月見坂さんは敵同士?)


 そんな分けないか、クラスの隣同士で敵と味方がいて学校に通っているなんて、マンガやアニメじゃあるまいし……、そんなことを考える。


(それにまだ月見坂さんが魔法的なものを使うところを見た訳じゃないから魔法関係者かはっきりと分からないし……。)


 ふと、(今日、橋本さんと戦っていたりして……。)、と軽い気持ちでこの前見た辺りを千里眼で覗いてみる。


(やっぱりいないか……。)


 そう都合よくはないだろうと思い覗くのを止めようとしたとき、影が横切った。


(あれは橋本さん?アニメでいうお約束展開ってやつだよね、これ。)


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