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ときには超能力で手助けを(下編)

よろしくお願いいたします。

 あの後、僕は結局あの仮面の男に気絶のふりをしたまま連れていかれ、何処かの部屋に放り込まれた。


 窓がないので外の様子はすぐには分からなかったが、千里眼で外の様子を覗いてみるとどうやら日本のようだ。実は魔法(?)世界のようなところに連れていかれるかと期待もしていたんだけど……。


 外はすでに日も暮れ始め徐々に暗くなってきているようで、あまりにも遅くなるとここを帰らないとなと思っていた。そんなことを考えているとドアから鍵が開く音が聞こえ、仮面の男がドアを開けて入ってくる。


「あ、あなたは誰ですか!?ここはどこなの?僕を家に返して!」


 怯えたふりができているか分からないけど僕は叫んでみる。男は僕の問いかけは無視して一方的に話しかけてきた。


「ふん。うるさいガキだな。いたぶって静かにさせてやろうか。お前はあの女を動かすための駒としてとりあえず生きてさえいればいいからな。まあ、何れにしても夜になれば用済みだ、あの女が勝っても負けてもな。それまでここで怯えていることだな。」


 最低なことを言い放ちつつドアから出ていくそいつを見ながら、


(わざわざ教えてくれるとは……。まあ、とりあえずは夜まで待つしかないか。)


 そう思い、ドアから出ていくのを確認した僕はすることがないので寝ることにした。


 少し時間が経ったとき、ドアの外が少し騒がしくなった。千里眼で覗いてみると、月見坂さんが仮面の男に詰め寄っていた。そして、ドアを開けて月見坂さんが入ってきた。入ってきた彼女は動かない僕を見て一瞬息を飲んだが、寝ているのがわかると少し安心したように、


「疲れて寝てしまったのかしら……。ごめんなさい。絶対無事に家に返すから。」


 そのあと、彼女の後ろに立ってようすを見ていた仮面の男に向かって、


「夜に彼は解放してよ。」


「くく、分かっている。」


 そう言ったあと二人は出ていった。



 ◇



 外の様子を伺うと辺りはすっかり暗くなっていた。もう遅いみたいだし帰ろうかなどと考えていると、ドアを開けて仮面の男が入ってきた。仮面の男は僕を見ると手にしていたロープを宙に投げ、手をかざす。ロープは勝手に宙を泳ぐように僕の体に巻き付いた。


「起きていたか。運ぶ手間が省けて幸いだったな。ほら、ついてこい。」


 そう言うとロープの先端が男の後をついていき、僕を引っ張る。僕は状況に少し混乱しながらも男のあとについていった。


 男はぶつくさと文句を言いながら外に向かう。


「まったくあの女も用心深い、無事な姿を確認させろなどと。ほら、さっさと来い!」


 どうやら月見坂さんの配慮のようだ。閉じ込められたままだとどんな目に遭わされるかわからないと思ったのだろう。


 どうやら閉じ込められていたのは比較的生い茂った森の中にある洋館のようだった。僕は外に出されたたされる。外はすっかり暗くなり月明かりだけになっていた。


 ちらりと男を見ると苦々しげに空を見上げていた。僕も見上げるけれど何も見当たらない。はて、と思いふと思い当たった。


(この前、橋本さんを下から見ても見えなかったんだっけ……。)


 千里眼を使い空を覗くと、魔法少女の姿の橋本さんと月見坂さんが向かい合って宙に浮いていた。



 ◇



 月見坂さんはチラリとこちらに目をやり、無事な姿の僕を確認したのか少し安心したような顔をし、すぐに向き直ると戦いを始めるのだった。


 もう数十分も二人の激しい戦いが続いている。ただ、前回より善戦しているものの月見坂さんが少し劣性のように見えた。どうしたものかと僕が考えあぐねている間に、月見坂さんが大きく弾き飛ばされた。その様子を見た仮面の男が僕に近づいてくる。


「この程度か。お前はもう用済みだな。まあ、何のことか分からないだろうがな。」


 ちらりと目を向け、それを見た月見坂さんが焦ったように「話が違うわ!?」と言ったのがなんとなく分かった。橋本さんも下の様子に気がついたのか、こちらをちらりと見て僕が捕まっているのに気がつくと驚き、慌てたような表情を浮かべた。


 さてどうしたものかと考え、このままでは危ないのだろうと思い、あっさりと念動力でロープを引きちぎり森の方へ走り出す。


 仮面の男は、引きちぎられたロープを見て何が起きたのか分からないような顔で呆然としたあと、慌てて僕を追いかけ出した。


 そして、空の二人も何が起きたのか分からずに身動きがとれないでいた……。



 ◇



 僕は木々の間を走り抜け、木の茂みに隠れて上の二人に見えない位置までやってくる。


 後ろから男が追い付いてきて、睨み付けてきた。


「まったく、どうやったか分からないが、手間をとらせやがって。たっぷりいたぶって始末してやる。」


 一方で僕はそろそろ茶番は終わりだといった風に、


「いやいや、そろそろ終わりにしないと。僕も家に帰らないと母が心配するからね。」


「はあ?何を言っている?追い詰められて頭がおかしくなったか?」


 そして、もう終わりだ。そう言って僕に手をかざし、光る玉を撃ってきた。


 玉は動いていない僕の横を逸れて後ろで木に当たり大きく爆発する。男は呆然とした後、僕を睨み付けてきた。


「何をした!」


 そう言って、幾つもの光を僕に向かって放つ。光は僕に近づくと不自然に曲がり、逸れて後ろの木々や地面にぶつかり大きく破裂した。


 わめく男に僕は手をかざすと握るような動きをする。すると男は大きな手に握られているかのようなか棒立ちになり、身動きできなくなった。


「なっ、どうなっている!?」


「ここで僕が握りつぶすと後々面倒なことになるんで、橋本さんと月見坂さんに解決してもらうよ。」


 そう言って腕を振り上げた。すると男は二人のいる夜空に飛んでいった。僕はとりあえずアリバイ工作のために服を汚し空から見えそうな位置に倒れこむ。ちなみに男は握ったままで。



 ◇



 慌てている男に気がついた二人は、男が飛んできた方の地面を見る。そして、僕を見つけたのか、顔を蒼白にしたあと、男を睨み付けた。


 二人は男に向かって魔法を放つ。もちろん逃げられない男に全弾命中する。


 そして月見坂さんが連続で魔法を放ち、橋本さんがいつもの決め技を放つ構えをとった。そして、橋本さんの極大レーザーで男は消え去る。


 さて後は僕が上手く乗りきるだけだ、そう思うのだった……。

あと1話で一区切りになります。次回もよろしくお願いいたします。

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