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魔法少女(仮)を道端で拾った件(後編)

後編になります。よろしくお願いいたします。

 母が入れてくれたホットコーヒーとホットミルクを食卓で二人向き合って飲む。


 もちろん僕がホットミルクだ。さすが月見坂さん、大人っぽい、そう思っていると、


「今日はありがとう、本当に助かったわ。」


「こっちもごめんね、母が無理やりに泊めちゃったようで。」


 月見坂さんにそう返す。月見坂さんはこちらを見ながら、


「気にしないで、助かったのは本当だから。」


 そう言うのだった。それから二人で黙ってしまう。僕は沈黙に気まずくなり何を話そうかと考えていると、真剣な表情の彼女がジット見ながら僕に聞いてくる。


「あそこで私が何をしていたか聞かないの?本当は転んだ怪我だなんて思ってないんでしょ……。」


「え?」


 と、僕は顔では少し驚いた顔をしつつも、心の中では焦りまくっていた。


(ヤバい、この展開はヤバい。下手に聞くと正体を勝手に話はじめ、ずるずる巻き込まれていくパターンだ。それは僕のポリシーに反する。どうすれば……。)


 僕はとりあえず話をそらすことに注力する。


「月見坂さんが何をしていたかなんてどうでもいいよ!!それよりも月見坂さんの怪我を治療する方が大切だったから!!」


 同じように彼女をじっと見ながら真剣な表情で返し勢いで押しきる。彼女は一瞬ポカンとこちらを見たあと下を向いてありがとうと言った。


(あれ!?思ってた反応とちょっと違う……。何かミスった?……まあでもとりあえずは話を反らせたから良しとするか。)


 僕の想定とは違った方向でまずい状況になった気もしたけど、無理やりそう思いこむのだった。


 それから少しして彼女は顔をあげると、一転して笑顔を見せながらこう言うのだった。


「まあ、私としてはあんなお面をつけて夜中散歩する理由は知りたいところだけれどね。あれはご両親には秘密なの?」


 すっかり記憶から消していたことを蒸し返されさっきより焦る僕に、


「ふふ、焦った顔は始めて見たわね。まぁいいわ。さて、もう少し話したいところだけど夜も遅いしそろそろ寝ましょうか。どこで寝ればいいのかしら?まさか一緒の布団じゃないわよね?」


 悪戯っぽく笑いながらそう言う彼女に、先程とは違った意味で焦りながら何を言おうか迷っていると、待っていたかのように(実際、待っていたのだろうが)母が入ってきて寝る場所にかのじょを案内する。

 僕は月見坂さんに平静を装おい「おやすみ」と言って、後は母に任せるのだった。



 ◇



 あれから僕は寝る準備をしてベッドに入り込むと色々あって疲れていたのかすぐに眠っていた。


 朝、母からの声で目を覚ます。


「月見坂さん、帰るらしいわよー。」


 僕は眠たい目を擦りながら部屋を出る。月見坂さんと母はすでに玄関にいた。月見坂さんは昨日の晩のうちに母が洗濯していた服に既に着替えていた。それに引き換えまだパジャマ姿の僕を見て母があきれたように言う。


「まったくこの子は……。送って行くぐらいしたらどうなのかしらね。ごめんね月見坂さん、この子ったら朝がすごく弱くて。朝はいつもこうなの。」


「いえ、構いません。ふふ、本当に朝は弱いのね。改めて昨日はありがとう、長居しても悪いので帰ることにするわ。それじゃあまた学校でね。」


「あ、うん。」


 僕はまだ起きない頭でなんとか返事する。


「まったく、この子は。それじゃあ月見坂さん、気を付けてね。」


「はい、それでは、ありがとうございました。」


 そう言って月見坂さんは玄関から出ていった。彼女が出て行ったのを見送ったあと、僕は母に、


「寝てくる。」


 と言い、母のため息を聞きながら再度眠りに着くために部屋に戻る。こうして、長かった月見坂さん我が家訪問がようやく終わるを告げたのだった……。

次回は3日後になります。評価や感想、レビューをお待ちしております。

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