2話 転生
気がついたら、真っ暗で体もろくに動かせない。
「ここは、何処だろう」
硬い壁に阻まれて、動こうとしても、どこもかしこも・・・
「誰かー居ませんかー」
声を出して返答を待ってみるけど反応が無いし、周囲に人の気配も感じない。
「あれ、腕の感覚がない、足もおかしいし、背中がなんかもぞもぞする」
とにかく明るい所に出て体を確認したいけど、体がろくに動かせない。
とにかく足掻く、腕の感覚が無いので、頭で壁を叩くが、びくともしない、長い時間足掻き疲れて、動きが止まる。
「参ったな、暗闇に居ると精神に異常をきたすというけど、確かトラックに弾かれて、意識を失ったから・・・まさか植物人間、でも体は動くし、あーあしゃべれてるよね、考えも纏まらないし疲れたー」
意識が遠のき、疲れからか熟睡したらしく、目が覚めた時には気分は大分落ち着いていた。
久し振りに熟睡出来たと思う、気分も落ち着き寝る前が凄く慌てていて、パニックになっていた事が解る。
「会社の事を考えずに熟睡出来たのは、久し振りだー」
取り敢えず、病院じゃ無い事は確かだ、これだけ騒いでいるのに看護士が来ないのはおかしいし。
腕の感覚が無いのに、痛みが全く無い、足も左右の脚が1つになって、しかも凄く長くなってる、背中に小さな手の無い、腕のような曖昧な感覚が有るのも・・・もしかして別の体になってるのか?
もう一度体の感覚を確かめながら、動いてみる。
「生まれ変わりかー、トラックに轢かれて死んだんのか、今の状況からすると硬い壁に周囲を覆われて腕がなく、脚の感覚が1つの事から、卵・・・爬虫類・・・蛇かー、いや鳥の可能性もあるのか」
今の状況を考えて、気分が重くなる、取り敢えず卵なら孵らないと。