3話
しばらくして、原因は私のスキル、第三の目の効果らしい。覚とは人の心を読むことの出来る妖怪の事で、ゲームのときは自動で攻撃を防いでくれるスキルだったが、実際に読めるようになったようだ。恵と小雪も試してみたが、恵も身体を煙に出来たし、小雪も天気を吹雪にしたり、雪女の体質か、身体を斬ったりしても雪が集まって再生した。それと、話し合ったり、試してみたりしてる途中、ステータスの名前がゲームのときの名前になっているので、その名前をこれからは名乗るようにした。私がサクラ、恵がアリス、小雪がフブキだ。
「それでヒカリ?私たちも他のみんなと一緒に魔王?討伐するの?」
アリスがヒカリに異世界に召喚される奴らみたいに魔王を討伐するのかを聞き出した。正直私はやりたくない。と言うかアリスとフブキも第三の目で見る限りやりたくないようだ。
「いえ、あんな人達の手伝いしないでください。ちょっかい出してくるのなら叩き潰してくれて結構ですよ」
「?疑問。何やらクラスの人たちを嫌っているようですが、何かありましたか?」
ヒカリが意外な事を言うのでフブキが質問した。ヒカリは何やら不機嫌な顔になり理由を述べた。
「だって、あの人たち、私の事を『ロリBBA早くチート寄越せ!』とか、『異世界で勇者である俺様の女にしてやってもいいぞ?』とか言ってくるのですよ?そんな人たちの所にお詫びで送ります?する訳ないです。ついでにあの人たちのステータスをギリギリ魔王に勝てるぐらいにして、与える予定だった能力も与えないでやりました」
「うっわ〜…それは無いわぁ…」
「同意。よく女神相手にそんな態度でれましたね。私としてはそこが疑問です」
「どうせ自分の顔とかに自信持った奴が勇者召喚で調子乗ったんだろ。委員長(笑)辺りが……」
あいつら本当にロクな事しないな。と言うか何気にヒカリの奴そんな事したのか……
「ちなみにどんなステータスにしたんだ?」
「あ、はい………これです。あいつらの中で一番強い奴のステータスです」
さう言って私たちの前にステータスを表示した。てかヒカリ…とうとうあの人たちと言わなくなったな…
ユウキ・タナカ Lv.1
種族 人間
職業 勇者
HP 278
MP 124
力98
防御42
素早さ39
運20
スキル
聖剣術Lv.1 、光魔法Lv.1 、鑑定Lv.1 、ボックスLv.1 、身体強化Lv.1 、状態異常耐性Lv.1 、勇者の威圧Lv.1
装備
学校の制服
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
よっわ!?何だこれ!私たちと差が有り過ぎるだろ!つーか田中、やっぱりお前が一番か!
「え〜〜…ヒカリ、これってその世界ではどうなんだ?」
「まぁ、Lv.1でこれはまぁまぁ高いかなぁ?あ、ちなみに成人男性と魔王のステータスはこれです」
私たちがステータスの差に唖然としていると、ヒカリはもう2つステータスを表示した。
ジャスティス Lv.5
種族 人間
職業 農家
HP 320
MP34
力24
防御16
素早さ19
運24
スキル
料理Lv.1、農作業Lv.2 、生活魔法Lv.2
装備
普通の服
麦わら帽子
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
カタロフ・ルドロフ Lv.94
種族 魔族
職業 魔王
HP 7698
MP 8964
力 879
防御 645
素早さ 398
運 64
スキル
闇魔法Lv.7 、魔剣術Lv.6 、気配察知Lv.4 、魔王の威圧Lv.4 、狂化(固有) 、身体強化Lv.5 、魔力操作Lv.6
装備
魔王のマント
悪魔の鎧
魔剣 カイザー
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
……………え?
「あの〜、ヒカリさん?私目が調子悪いみたいですね。何だか魔王のステータスが思っていたのと違うような感じがするのだが…」
「安心してください。サクラさんの目は正常ですよ」
何やら凄いことになってる。てかジャスティスって誰だ?もうそいつ勇者でいいじゃん。
「まぁ、普通はそうなりますよね。遅くなりましたがこれから行く異世界の事についてお話しします」
ヒカリの話によると異世界は剣と魔法の世界と言うやつで、名前は特に無く、第三世界と呼んでいるそうだ。私たちの世界は第二世界らしい。魔物やエルフ、ドワーフや獣人などが住んでいるとのこと。貴族や奴隷、そして何と言っても冒険者とかも存在するそうだ。
魔法は火、水、土、風、闇、光、無の7属性で、それとは別に生活魔法と言うものがある。
スキルはLv.が最大10までで、Lv.によって使える魔法などが変わる。
お金は硬貨で払われており、
鉄貨10枚→銅貨1枚
銅貨10枚→銀貨1枚
銀貨10枚→金貨1枚
金貨10枚→白金貨1枚
となっており、鉄貨1枚100円ぐらいの価値である。そして滅多に使われないが、星晶貨と言う物があり、1枚何と日本円で10,000,000円である。
国については、大国が4つ、東西南北に置かれておりその周辺に小国が多数集まっているそうだ。勇者召喚を行ったのは南の大国、バカデス王国だ。
初めて聞いたとき吹いたぞ。……っぷ。
そして、1番問題なのは、その世界ではLv.の上限が100までらしい。つまり、ゲームのステータスでLv.250の私たちは異常を通り越して生物なのかも疑われる。これはバレたら絶対面倒なので何とかしなければ……
「なるほど、だいたい分かった。で?そこで私たちは何すればいいんだ?」
「えっとですね。頼みたいのは2つほどあります。まず1つ目に、その世界にはあなた方のような妖怪族と言う者たちが存在します」
「?それがどうしたの?」
妖怪族と言うのがいるのは意外だが、それがどうして女神様の頼み事になるのか。
「実はですね、その世界では妖怪族は他の種族から産まれる変異種のようなもので、普通の種族と違う特徴が出る為『呪われた子』と迫害を受けており、そのほとんどが奴隷として売られているのです」
「それは……少々腹が立ちますね」
ま、私たちは妖怪族と妖怪族のハーフみたいなものだしなぁ。それとフブキが付けてた狐の面がフブキが不機嫌な顔になるのと同時に鬼の面になったな…フブキの感情と連動しているのか?
「そこで、皆さんにはその子達を保護、または買い取って欲しいのです。種族の特徴で全ての妖怪族は女の子として生まれている為、買い取るのならサクラさんの第三の目で見てみて下さい。ステータスで何の妖怪かもわかります。そして、もう1つの特徴として皆さんのような能力を持っています」
確かに私の第三の目なら心や思考、ステータスまで見れるからな、能力はまだ使ってないが妖怪族は普通に持っているのか。
「なるほど、了解した。元人間だが今は同じ種族だ。まだどうするか決まってないが、その頼み引き受けた」
「そうだね。同族が奴隷にされてるって言うのは見過ごせないからねぇ」
「肯定。ところでヒカリさん、奴隷にしたクズ共は斬り刻んでよろしいですか?」
「「こえぇーよ!!」」
今怖いことサラリと言ったな。何だかフブキが最近発言が恐ろしくなってきてるような……気のせい…だと思いたい。
「はい!むしろ勇者ごと殺って下さい」
おい、ヒカリお前絶対クラスの奴にロリBBA言われたの気にしてるだろ。女神が言っちゃいけないようなこと言ってんぞ。
「そ、それよりもう1つの頼み事って何だ?出来ることならやってやるぜ?」
早く話を進めようと聞いてみたが、途端にヒカリが下を向いてモジモジしだした。……え?何?
「えっと…その…あの…わ、私と…」
意を決したのか赤く染めた顔を上げて思いを口にした。
「私と!と、友達になって下さい!!」
「「「…はい?」」」
意外と個人的な頼み事でした。