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四十六話 一週間後

お待たせしました。ようやく更新です。

一週間更新を守れず、大変申し訳ありません。その上、かなり短いです。

これからしばらくは、こんな感じのゆるい話が展開していく予定ですのです。では、どうぞ。

 グテッと、真琴は自分の机の上に突っ伏した。


「あ〜、ダル」


 全身からお疲れですよとオーラを出して、真琴はごろごろと頭だけを机の上で動かす。


「やっぱ、徹夜はキツイ」


「少し寝てる?」


「んっ……魅力的な提案だけど、止めとくよ。寝たら起きない」


 欠伸をかみ殺しながら、真琴はシパシパと眼をまたたかせる。今にも閉じてしまいそうだが、辛うじて意識は保っているようだ。

 先の、水神と金神との騒乱からすでに一週間が過ぎていた。

 真琴と沙耶の二人は、あの事件――と呼ぶには少々身内内でまとまりすぎているが――とにかく、ことが終わっての事後処理に追われていたのだ。

 さしあたり、破損した校舎の修繕費用の捻出や近隣の工事現場から沙耶が盗み出して勝手に召喚してしまった重機の返却などなど。

 特に問題だったのが、警察組織。真琴の父である克己をごまかすことだ。方法ともかく、まさか神と殺し合いをしていたなど言える訳もなく、真琴は必然として嘘をつかざるおえなくなってしまった。

 が、父の職業上生半可な嘘は通用せずに、その台本を用意するためにまず三日ほど費やす。それが功を奏したのか、まずまずの結果が得られたと真琴は思っている。

 次に問題になったのは、カナミと静香の処遇だ。静香はまだ良い。一応は同意の上で、マガミの元へ下っているから。もっとも、彼女も彼女でまた後で問題となるのだが。

 一番の問題だったのはカナミ。マガミとしては、彼女は自分の監督下に置きたかったのだが本人が嫌がったのだ。

 いわく「めんどくさそう」とのこと。相変わらずの無表情であったが、秀樹に言わせると面白がっていたらしいのでなかなかどうして、感情がないというわけではないようだ。

 一応は管理下にあるということで妥協した。すると、それに習ったかのように静香も普段は自宅兼孤児院にいたいと言い始めた。

 流石にマガミもいい顔をしなかったが、真琴たちが定期的に様子を見るならばということで渋々と納得することとなる。機嫌を損ねて、マガミはその時点で話し合いをする気はなくしてしまったが。

 そして、カナミの所在だがこれは意外とあっさりというか、やはりというべきかともかく決まった。


「よっ、お疲れみたいだな」


「まぁね。てか、大半は君たちのせいなんだけど?」


「わりぃな。でもまぁ、中間管理職の責務だと思って頑張れや」


「人事だと思って…ああ、カナミさんもおはよう」


「ん」


 大方の予想通り、秀樹のところで居候をしている。現在はここの生徒として、転校してきたばかりだ。


「おっ、制服届いたんだ? へぇ、結構にあうじゃない」


「うん。ありがとう」


 こくりと、わずかに首を縦に振って礼を述べるカナミ。その傍らに立つ沙耶は、微笑ましげにその姿を見守る。はたから見れば、姉妹のようにも見えた。

 実際、この一週間。沙耶はカナミの世話を甲斐甲斐しく焼いていた。学園への転入手続きに始まり、勉強に必要な筆記用具に最低限の家具。それから普段の私服数点に至るまで、それらの購入資金は全て沙耶のポケットマネーからでている。

 なぜそこまでと、真琴は聞かなかった。ただ、沙耶が嬉しそうだからそれでいいかと勝手に納得していた。

 もしかすると、沙耶自信もカナミのことを妹のように思っているのかもしれない。


「ところでさ、雪村」


「ん?」


「もうすぐ試験なわけだ」


「だったね。確か、来週だっけ」


 霊能科とはいえ教育機関。勿論、定期テストは実施する。ただ、一般のそれと違って中間にあたるこの時期は筆記。期末には実施といった形で試験を行っているのだ。


「そう。その試験なんだが、自信の程は?」


「あるよ」


 さらっと答える真琴に、秀樹は眼を丸くする。そして、大げさな動作で両手を取って勢いに任せてまくし立てた。


「勉強、教えてください!」






 放課後の図書室。試験前だからか、人の数はまばらで時おり本をめくる音がよく聞こえる。


「はぁ、お前もかブルータス」


「てへへ」


 教師役に真琴と沙耶。教え子には秀樹、カナミ、そして臼井恵子がそろう。


「にしてもさ、雪村君って頭良かったんだ」


 ちょっと意外かもと、恵子は小首をかしげる。


「意外って、普段はどんな眼で見てるんだよ」


「色ボケ」


「色ボケだな」


「色ボケね」


「マイラバー」


 最後のは沙耶だが、他の三人はそろって同じ答えを提示したのだった。


「むぅ……そんなにかな?」


「てか、バカップルそのものだと思うけど?」


「いやん」


 褒めてねぇ。照れる沙耶にそう言いたい秀樹だが、聞く耳は持ちそうにない。


「と、とにかく始めようか」


「良いのか?」


「こうなってると、すぐに戻らないから――家に帰って、頑張るよ」


 何を。というのも、秀樹は聞くことは出来なかった。






 勉強会は、開始当初の愚だ愚だとは裏腹になかなかのはかどりを見せていた。やり方としては、とりあえず問題を解いてつまるところを真琴と、たまに沙耶が解説するといった具合だ。

 しばらくは、カリカリと各々のペンが走る音が木霊する。


「なぁ、雪村」


「ん? ああ、そこはあってるよ。眼を合わせないで、けれど良く視るってのは霊との交渉のときに有用な手段だからって書いてあるね。実際は、どうだか知らないけど」


「いや、そうじゃなくてさ。夏休みにどっか泊まりで遊びにいかねぇか?」


「ずいぶんと気の早い。まだ中間も終わってないけど?」


「まっまっ、いいじゃねぇか。臼井はどうする? 一緒に行くか?」


「ん〜止めとくわ。てか、嫁入り前の娘を泊まりに誘うなよ」


「沙耶さんは、雪村が行くなら行くだろ?」


「当然ね」


「で、カナミは?」


「海以外なら」


 錆びるもんな。と、真琴は胸中で思った。


「よっしゃ! 決まりだな。場所の手配は任せとけ」


「その前に、試験を終わらせようね」


「うっ、わかってるよ」


 勉強会は、下校時刻まで続くのだった。

 スランプ、とでも言いましょうか。霊能科の話が、全然思い浮かばなくなってしまいました。ので、最近は短編などを書いていたのです。

 しばらくは日常描写が続くので、別枠に作っている短編集を削除し、内容を手直ししてこちらに上げなおそうと思っています。アレはあのままがいいという方がいらっしゃいましたら、ご一報ください。

 来週には、実行する予定です。

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