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森の中での回想

騒々しい小鳥たちのさえずりに私は目を開く


もともと、寝起きが悪いわけではないが、久方ぶりに懐かしい歌を練習したからか、身体がだるい


しかし、今の季節は夏。

日中はうだるような暑さが襲うため、朝晩の涼しい気温の間に移動しておきたい


私は今日の寝床としていた大きな木の洞の中から這い出した




☆ ☆ ☆




テクテクと森の中を歩く

この森を抜けるとすぐに少し大きめの街がある

歩いている間は暇だから、少し話に付き合ってほしい。



(側から見れば、私は木に話しかけているおかしな奴なのだろうな……)



突然だが私は転生者という奴だ

前世の記憶があるのだ

前世で私はものすごく貧乏だった


幼い頃は月一くらいで夜逃げしていたし、そのせいで学校にすら通っていた記憶はほとんどない


父親の賭博癖が原因だ

自分に運がないのを認めようとせず、ない袖を振りまくって大量の借金を作り挙げ句の果てに酔って川に落ちてドザエモンになったらしい


それが確か私が5,6歳の時

私が生まれてすぐに母は離婚して私を連れて出ていたらしいけれど、その時、身寄りのなかった父親の借金を肩代わりしなければならなくなった


若い頃から借金しまくっていた父の残した負の遺産は考えたくないほどに莫大で、普通の人が真面目に働いても一生のうちに返せるか危ういほどであるとだけ言っておきたい



年齢詐称しつつバイトを掛け持ちしていた記憶はあるから私の死因は過労死だろうか



母親が死んだ記憶はないから私にかけておいた多額の保険金で借金の大半を返せていたらいいなと思う



前世の私はものすごく不憫であったと思う

当時は母との仲も良くそれなりに幸せだったのだけど、やはり今考えるとありえないだろう


まぁ、不幸のうちに死んだからと言って

転生する前に神様に会ったーとか

壮絶な使命をもらったーとかはないのだが


もし貰っていたとしても

全力で回避したい


最も、この世界における一番の希少種である竜に転生しているから平穏な生活は送れないのかもしれない


……竜、そう私はドラゴンに転生している


竜人とかではなく本物のドラゴンだ

普段は人に馴染めるように人型をとっているけど

私がドラゴンというだけで、いろんなフラグが立ってしまっていると思う


マジで全力で回避したい

前世が大波乱の人生だったから

今世では平穏に生きたい

そしてもしかしたら転生しているかもしれない母と再会したい!


母も転生している可能性は限りなく低いのだろう。というかまだ死んでない可能性すらある。というか、生きててほしい。けど、信じるのは勝手だと思うよ、私は、うん。

この世界の生き物は総じて長生きだから一生をかけて探していこうと思う



あ、森の出口が見えてきた

話に付き合ってくれてありがとう


この森に一宿一飯と話に付き合ってくれたお礼として頭を下げてから森を出た

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