11話 夏祭りハンティング
夏と言えば夏祭り
夏祭りハンティングの始まりです。
夏休みも最後に近づき地元は夏祭りの準備に入っているが誘いが来ない限り俺はあまり動かない。
なぜなら縁日の人混みが好きじゃないからだ、縁日となるとリア充の集まりと言う自分の勝手な想像だけど、でも不思議な事に自分の好きな事に関しての人混みは我慢できる。
突然運営からのメールが来た。
【縁日イベント開催】
みんなの地域の夏祭りの縁日屋台を回ってスタンプラリーをしよう全部埋まれば50000S!ただしスタンプのポイントにはボスがいるから倒してね♪
な、何だこれは・・・スタンプラリーで500円ゲットとかうますぎるわ!
案の定比呂から電話が来たが、俺はせっかくなので千春と二人きりにさせようと気を遣い断るが。
「気にすんなよ!行こうぜ大地が居ないと狩りになんねー」
おいっデートしてやれよ!千春が泣くぞ。
ピロピロリン♪
今度は萌香からメールが来たが、やはり夏祭りの誘いだったが返事を打とうとしたら電話が来た、せっかちだな萌香は。
「大地夏祭り行くよどうせ暇でしょ?」
行くつもりなかったが女の子の誘いなら断るわけにはいかないか。
「わかった行く」
「よし!じゃ後で迎えに行くからね!」
随分と萌香が楽しそうなのが電話越しに伝わった。
萌香が来るなら翔子も来るはずだな。
考え込んでいたら萌香が迎えに来た、浴衣姿が眩しかった、むしろ新鮮だった。
素直に可愛かったでも言葉を口に出せない。
「大地顔赤いよ」
「な、何でもねーよ」
祭りの会場に向かう途中翔子と合流、と言うかやはり萌香が誘ったらしい。
「大地君私の浴衣どうかな?」
「に、似合ってます・・・2人とも良く・・」
何言わせるんだこの子は。
3人で向かうことになり比呂と千春が仲良く歩いてこっちに向かってくる。
「大地やっぱり来たじゃん、これ目当てか?」
「まぁな」
表向きはそうだが萌香の誘いだから断るが理由がないのは内緒で。
「じゃまたチーム組んで勝負しようぜ負けたら1品奢りな」
結局やるのかこいつは。
チームに別れるが比呂と千春ペアかと思ったら、翔子はソロでやりたいらしく今回はパスし、俺に耳打ちした。
「大地君萌香ちゃんの事好きなんでしょ?」
いきなりで俺はいつにも増して動揺する。
「えっ?えっ?」
「大地君わかりやすーい、でもわたしも諦めないよ、今回は萌香ちゃんに譲るよ」
萌香と翔子の二人の間に何があったんだ。
比呂と千春、俺と萌香のペアになり翔子はソロとか言ってたがゆっくり俺達の勝負を見たいらしい。
ログイン開始し、GPS機能をONにするが。
うまく行くのだろうか。
イベント開始、画面にルーレットが回りだし、目的地の屋台が決められる。
・・・・・・結果は。
たこ焼き、りんご飴、金魚すくい、輪投げ、焼きそば、屋台の定番中の定番だった。
「んじゃ行きますか」
比呂の合図で勝負開始、当然すんなり行くわけなく道中モンスターが行く手を阻む。
俺と萌香はとりあえず近いたこ焼き屋台から攻める事にした。
それにしても雑魚モンスターの数が多すぎる。
「萌香絶対離れるなよ!」
「う、うん」
萌香を守りながら俺はトリガーを引く。
俺の素早いリロードで雑魚モンスターを一掃し、萌香をノーダメージで守り抜きボスがあらわれた。
・・・・・・・何だこいつは。
ボスがあらわれたのは良いが、屋台の建物がそのままじゃないか。
たこ焼屋台だけあって両手にはたこ焼をひっくり返すピックを持っている。
「萌香、後でたこ焼き食うか?」
「これ、見た瞬間食べる気失せた」
そりゃそうだ、自分でたこ焼きを焼いてミサイルの様にこっちに飛ばしてくる。
だがヤツは、たこ焼を焼いている間に隙が出来る、俺は真っ先に火を扱う場所を狙い打ちし引火作戦を決行。
ドカーン!!!!
引火成功たこ焼屋台は見事に燃え盛りやっつけた。
「大地次、金魚すくい行こうよ」
萌香の提案により金魚すくいに向かうがモンスターが壁を作るように行く手を阻む、あんまり余計な体力を使いたくない。
ザシュッ!
突然俺の前に1人の剣士が・・・ノイシュ事俺達の副担任鳴沢先生だ。
「先生こんばんわ」
「おっ神野に野上じゃないか青春しているか?」
会っていきなりそれか・・・。
「俺はいわゆる見回りだついでにまだ暇だからこっちでハンティング」
そうですか・・・・ご苦労様です、と言ってやるしかない。
「2人じゃきついだろ?俺が道を開いてやるよ、但し!この雑魚モンスターの稼ぎ俺にくれ」
断る理由もないし手間が省けたから了承したが、奥さんにどやされたのかこのダメ教師は。
先生のおかげで難なくボスまでたどり着く。
「萌香あれって・・・・」
「金魚が浮いてるよ・・・・」
ビュン!!
いきなりボス金魚が急降下して俺達に襲い掛かる。
「大地危ない!バリア」
萌香のやつ回復魔法が使えないはずなのに・・いつの間に。
「萌香お前・・・」
「話は後だよあの金魚撃ち落として」
萌香に言われるがまま銃を乱射するがデカいだけあってしぶとい。
「萌香バリアもう1回かけてくれ!」
「えっ!う、うん」
俺の推測が正しければバリアが掛かっているうちは無敵状態どんな攻撃も受け付けないはず。
ボス金魚の第2撃がきた、読み通り俺達は無敵状態、今のうちに時間を稼ぎ電磁砲のエネルギーチャージをした。
「ん?あっちて・・」
俺はふと先を見ると輪投げの屋台を見つけた。
「やってみるか・・萌香走るぞ!」
エネルギーチャージ完了しボス金魚を輪投げ屋台まで引き付ける。
「先生!輪投げの屋台の雑魚モンスターお願いします」
「おっしゃー任せろ!」
先生の攻撃があれよあれよと雑魚モンスターを一掃し道が開けてきた。
「あいつがボスか・・・」
全身輪投げの輪で覆われたモンスターが目の前にいる。
「2体共ドデカイ風穴開けてやるぜ!!」
つい、声に出してしまい恥ずかしい・・・。
ウィーーーーーン!!
チュドーーーーーン!!
電磁砲が一閃となる閃光を放ち2体のボスモンスターにめがけて飛んでいき一撃で仕留めた。
「やったぜーーー!」
「大地すごーーーい」
思わず萌香とハイタッチを交わし、いつもと違う一面を萌香に見せてしまい、赤面してしまった。
この調子で同じ作戦を決行しようとした時に翔子がやってきて・・・。
「お二人さーーん!比呂君達終わったからログアウトしちゃったよーー」
「早っ!!!ランサーの特権か・・・」
「ごめんね途中でわたし手を貸しちゃった」
道理で早いわけだ・・・俺達も鳴沢先生に手を貸してもらってるし人の事は言えないな。
もう負けたわけだし急がずゆっくりやる事にし、今度は翔子が手を貸してくれる事となり鳴沢先生とは別れた。
「お前らくれぐれも節度は守れよーー9時以降まで居るんじゃないぞ――」
・・・・わかってるよ・・ダメ教師に言われたくはない。
一旦ログアウトし、大きい決断をした。
そう、課金してついにガンナーにとって重宝するベレッタを5000円出して買ってしまった、いや課金して買ったと言うべきかこれまでリアルに稼いだ小遣いが飛んだ・・・。
残るはあと2体翔子に魔法で一掃してもらいながら、俺は萌香を守りながら銃を乱射、これがまた今度はリロードが早くて助かるし威力が増していた。
「すげーーーーベレッタすげーーー」
つい、興奮してしまい狩りが楽しくなってしまい、はしゃいでいた俺に萌香と翔子は開いた口が塞がらない。
「大地のあんな楽しそうな顔初めて・・・」
「大地君かっこいい・・・萌香ちゃん大地君がどっちを選ぶかわからないけど、恨みっこなしね」
俺の知らない所で、こんな会話が成り立っているとは知る由もない。
残るりんご飴と焼きそば屋台のボスを倒す俺達、りんごだけあってりんごの真ん中に大きい口があいているわ。
焼きそばは麺を伸縮自在に操る化け物だ。
「翔子と萌香!りんご飴任せて良い?」
「大地君良いけどこの借りはツケとくからね!」
「わかった」
おれは焼きそばのモンスター相手に麺を自分の体に絡みつかせ自滅させる作戦に出る。
とりあえず走った、ひたすら走った。
作戦通り麺が絡みつき、身動きとれない。
バキュン!!
バキュン!!
バキュン!!
身動きとれない焼きそばモンスターにひたすら銃弾を撃ち込み撃退、翔子の方も無事に終わった。
スタンプが溜まりミッションコンプリート!!
「ん?これ三尺玉?」
報酬ついでに三尺玉をゲットしたがなんとなくわかった。
「うふふ大地君ちょっと付き合ってね」
「あっ翔子!ちょっと」
******
俺は翔子に引っ張られ広い所に出た、萌香も当然一緒だ。
広い所には、他のプレイヤーが居た。
「ガンナーいますかーー?」
他のプレイヤーの呼びかけについ俺は応じてしまい何が始まるかは予想はできた。
「三尺玉を空に投げるから撃ってくれ」
今回は俺の他にもガンナーが居てくれて助かった。
空に投げられた三尺玉を俺や他のガンナーが撃つと・・・・
ヒュー!
ドカーン!!
ゲーム内とは言え花火が打ち上げられ、素直に綺麗だった。
何故か、萌香と翔子は俺の手を握っていた・・・・。
勝負は勝負なのでログアウトし、勝者の比呂と千春にかき氷を奢ってあげて今度はリアルに夏祭りと花火を堪能し、俺達の夏休みは終わった。
自分は屋台と言えばじゃがバターに目がいきますね
最近は牛串焼きの匂いやクレープの甘い匂いもたまりません。
読んで頂きありがとうございました