4.部活動体験期間 2日目 前半
昨日は結局部室に辿り着けず、諦めて家に帰った。だいたい、この学校が無駄に広いのがいけないんだ。…図書室が大きかったり、設備が整っているのは嬉しいけど。それで、今日は迷子にならないために、先生から学校案内図をもらった。先生によると、迷ってしまう人が毎年1人はいるらしい。そして、こう言われた。
「今日も迷わないよう、気をつけてくださいね。」
しかも笑いながら。ちっ、むかつく。笑いながらじゃなくてもいいじゃん。まあでもこれで今日は部室に行ける、はずだ。きっと・・・
今日も3組はなかなか教室から出てこなかった。私と和玻は廊下のはじで壁によりかかって待っていた。
「ねぇ優華、なんで3組はいっつもこんな遅いのかなぁ!」
和玻が聞いてきた。その声は迷惑にならない位の大きさだが相当イライラしている。これはヤバイ。
「まぁしょうがないよ。3組の先生けっこう厳しいみたいだから。」
「そうだけどさ、それにしても遅すぎるよ。先生なら時間ぐらい守れ」
和玻はいつもに増して怒ってる。お願いだから、早く来て!
そんな状態がもう限界ギリギリになってきた時、3組は出てきた。1時間位経っている気がする。そんな訳ないけど。
「ほんとゴメン‼︎ 先生の話がながくてって和玻⁉︎ どうしたの?」
美月に聞かれても、何も答えないですごい顔で睨んでる和玻。このままだと美月が気の毒なので代わりに答える。
「えっとね、あまりに遅いから怒ってるの。」
「そうだよね、遅いよね。ゴメンなさい」
美月が和玻に頭を下げて謝る。和玻もよくそこまでさせるなぁ。やらせたいわけじゃないんだろうけど。
「別に。美月のせいじゃないし。」
和玻はそう言うと、廊下をさっさと歩いていってしまった。私と美月は顔を見合わせて苦笑いをし、和玻の後を追った。
3人で案内図を見ながら、ああでもないこうでもない、と歩き回って15分。なんとか部室に辿り着くことが出来た。