第9話 溜めてた想い
成人式当日、式典が終わり同窓会まで時間があったから千尋先輩とご飯を食べていた。それにしても店の中は成人ばかり。
「今日勝負かけるの?」
「悔いだけは残しませんよ。」
「原田君その前に、私とキスしない?」
何言っているんだ千尋先輩。
「しませんよ。麻美が好きなんですから。」
「冗談だよ。」
「DJ明日香さんが小学校の時に僕に言ってくれたんですよ。“悔いを残すな”って。」
「原田君ならいけるよ。」
お店の入り口から塁が入ってきた。
「あっ、ダーリンここだよ。」
えっ?ダーリン?塁が?
「あれ優希、何してるの?」
いやお前が何やってるんだよ。
「もしかしてだけど2人は付き合っているの?」
「そうだけど。ねーダーリン。」
「いやいや、どうすれば付き合うってなるの?」
「流れかな?」
笑えないな。(笑)
同窓会の会場に塁と一緒に行った。中に入ったら凛が大きな声で僕を呼んだ。
「優希、ここやで。」
凛の後ろからコソコソと麻美が出てきた。
「優希、久しぶり。」
このタイミングしかない。やってやる。
「麻美、行くよ。」
僕は麻美の手を握って会場の外へ出た。外は寒い。
「麻美、俺ずっと伝えたかった。俺は麻美を愛している。...それと小学校の時、俺のせいで傷つけてしまって本当にごめんね。俺にとって麻美は高嶺の花だ。でも今は違う。麻美のこと幸せにできる。今の俺で良ければ...結婚してください。」
何で今結婚してと言ったのだ。
「私も正直に伝えるね。小学校の時、声をかけてくれてありがとう。その時から“この人と結婚する”って思っていたの。運命感じた。傷ついてるなんて思っていないし...私も愛してる。私で良ければ結婚しよう。」
嬉しくて涙が出た。そして僕は麻美にそっとキスをした。キスは涙で、しょっぱい味がした。後は、アナウンサーになるために頑張ること。 続く




