第3話 野外活動
季節は夏から秋へ。あっという間です。学校では2泊3日の野外活動の準備が着々と進んでいます。夏に席替えが1回あって麻美とは席が離れたけど…凛が空気を読んだのか、麻美と凛と同じグループに入ってしまったのだ。それをグループ決めた後の学校帰りに言うなって。
「麻美ちゃんとどないなっとんねん?」
凛が興味津々だ。
「どうもなってないって。」
「つまらんわー。席替え以降話してへんのやろ?」
その通りだ。そのせいか心が痛い。仕事にも支障が出るし…いやまさか。
「寂しいけど、でもしょうがないよ。」
「とりあえず野活の時に2人にしたるから、頑張りー。」
凛は良い意味で僕にお節介だ。
「余計なことはするなよ。って別に好きとか思っていないし。」
「もー顔に書いとるわ。とにかく今すぐ告白しろって言っとるんちゃうんやから。せめて自分の気持ちに正直になり。」
僕は少し歩くのが遅くなった。
野活の日がやってきた。
今は登山をしている。一応リーダーだし一番後ろで皆を支えている。一方の麻美は動くのが遅いから僕の前にいる。
「ハ~…。もうダメ…。」
「麻美大丈夫?」
「優希君後ろにいてくれてありがとう。」
「無理するなって。少し休もう。」
僕と麻美をおいて皆は先に行った。
何を話せば良いんだろうか?麻美が不思議そうに質問した。
「なんで私に気を使ってくれるの?」
「何でだろう?自分でもよくわからない。」
「そっか。でも別に気を使わなくても良いんだよ。」
特別だってことを認めたくないから言いたくない。
「理由は分からないけど、何でかほっとけないんだ。」
麻美は無言になった。
「ごめん嫌だった?」
「どっちかと言ったら嬉しい…。よしそろそろ登ろうか。ハハハ。」
「うん行こうか。」
僕は思い切って麻美の手を握って山を登った。
心臓がバクバクした。
僕たちの泊まる場所はコテージだった。男2人でラジオの話。
「最近仕事どう?」
こいつは僕の友達、李塁。普通の日本人だ。ベットに寝ながら僕に言った。
「少し仕事が捗らないかな。」
「おっ、恋でもしてるのか?」
「うるさいな…。」
もうおそらく麻美に恋をしているだろう。恋どころではない。運命の人かもしれない。
「塁は好きな人いるのか?」
「俺は何を隠そうDJ明日香ちゃん。」
そっちね。(笑)
「優希、頼む。明日香ちゃんのサイン貰ってきて。」
「はぁ?こっちだって仕事なの。」
「そこを何とかしてくれよ。」
ベットから起きて両手を合わせた。
「まあいいけど…。少し外の空気吸ってくる。」
外は真っ暗。そんな中、タレント事務所から電話が掛かってきた。
プルルル♪♪プルルル♪♪
「もしもし原田です。」
社長からだった。
「何で小学校に携帯電話を持ってきているんだ。」
「すみません。」
正論です。
「明日すぐに帰って来れるか?明日ナレーションの仕事だから。」
はいっ?野活もう終わり?
麻美ともっと話したかったな。それと凛、ごめんね。 続く