第2話 小学校生活なんて
「おはよー。」
「えっ…、あっおはよー。」
いや、テンパり過ぎだろ。しかも少し地味。
「うん、俺とのクラスは初めてだね。名前は?」
「熊谷麻美です。よろしくね。」
ランドセルを下ろしながら、ゆっくりと席についた。
「いつもTV見てるよ。頑張ってるね。」
「ありがと。」
何だか麻美ちゃん笑顔が可愛い。
「優希くんって呼んでいい?」
「い...良いよ。だったら俺も麻美って呼ぶから。」
この空間すごく楽しい。
「はい皆席に就け。授業するぞ。」
先生が来たから会話はお預けだけど、これから楽しめそうだ。
今日はラジオの仕事でラジオ局にいる。ラジオの番組で今日は恋愛の話をするらしい。
パラパラッパラー♪♪“ハ~イDJ明日香です、こんにちは。今日はゲストに原田優希君をお迎えしていま~す”
「よろしくお願いします。」
「優希君って今何年生?」
「小学5年生です。」
「すごいね。小学生でタレントでしょ?」
「そんなことないですよ。学校でなんてモテませんから。」
「あー、もしかして優希君、好きな人いるでしょ?」
「そこまではないですよ。」
少し馬鹿にしているのかと思った。
ラジオの収録が終わりDJ明日香さんと小噺をしていた。
「私もさ、小学校の頃好きの人いたよ。ずっと告白したかったけど、その彼…転校しちゃったの。」
僕は何も言えなかった。
「もし優希君に好きな人がいたとしたら、しっかり思いを伝えてね。タレントなんて関係ないよ。」
「わかりました。」
その時僕は麻美のことを少し考えた。まだ1回しか話してないんだよ。
キーンコーンカーンコーン♪♪
「おはよー麻美。」
「おはよー優希君。そうだ、昨日のラジオ聞いてたよ。」
「本当?どうだった?」
「優希君さ、あまり調子に乗らない方がいいよ。」
えっ?どういうこと?
「私には優希君の考えていること分かる。有名人ぶっているでしょ?」
麻美にはお見通しだった。こんな小学生いないって。少しでも僕のことを考えてくれているだけで嬉しかった。
「う...うん、はい。分かりました。」
「何で敬語?」
麻美は笑いながら言った。
キュンという音が微かに胸の中で聞こえた。 続く