number18
(・・・・・・沈黙)
正直、朋香にとって、好きな人相手に沈黙というのは、息苦しいものだった。
・・・いや、誰でもそうか。
って、いうか・・・
「なんで私、昴君が好きなんだろ~・・・?」
「・・・!?」
「・・・あ」
朋香は、思ったことを口に出してしまった。
昴は、目を丸くして、持っていたパンフレットを落とした。
「・・・えっと、その~・・・」
朋香は必死にごまかす手を考えたが、
「・・・なんだ」
昴が、朋香を抱き寄せた。
「~~~~!?!?!?」
朋香は、一瞬何が起こったのか分からなかった。
「・・・俺さ・・・中学の頃から・・・」
「・・・?」
「・・・中学の頃から、お前一筋だったんだ・・・」
「へ・・・?」
朋香は、顔がじわじわ熱くなるのを必死で押さえようとしていた。
「俺は・・・俺は出逢ったときから、お前を・・・」
「え・・・?」
(お、お前を・・・何?)
「お前を・・・好き・・・だった・・・」
「・・・え?・・・・・・えぇぇぇぇぇ!?!?!?」
雪は、驚きのあまり、大声を出してしまった。
すると、翔太は苦笑いしながら、
「やっぱり、気づいてなかったか・・・」
「ご、ごめんなさい・・・」
(・・・ごめんね。翔ちゃん・・・)
そんなことを思っていると、翔太が不意に肩をつかんできた。
そして、真っ赤になりながら
「へ、返事は?」
「・・・返事?」
そうだ、告白をされたら、返事をするのが義務。
雪は、そのことをすっかり忘れていた。
でも、もう答えは決まっている。
「わ、私も・・・」
(顔が熱い・・・。でも、がんばれ!・・・私!)
「私も、翔ちゃんが好きです!!!」
「・・・っ!」
その答えを聞くと、翔太は雪を抱きしめた。
そのとき丁度、二人の乗った観覧車が真上に到達したのであった。
「優斗くん、アイス買ってきていいかな・・・?」
「いいですよ~」
「じゃ、ここで待ってて!」
2人はずっとベンチでのんびりしていた。
「優斗君といると飽きないな~。癒されるし!」
そんな独り言を言っていると、ガラの悪い奴らに声をかけられた。
「おい、そこのねぇちゃん?ちょっと遊ばねぇ?」
「え・・・?」
気づいたときには、腕を捕まれ、4,5人に囲まれていた。
「あ、あの・・・はなしてください!!!」
美羽は懸命に抵抗する。
周りの人は見て見ぬ振りをしている。
(誰か・・・!助けて!!!)
美羽は反射的に目を瞑る。
ドゴッ!!
美羽の隣で鈍い音がした。
「お前!!!何しやがる!!!!!」
「美羽さんから、離れろ」
聞いたことのある声が聞こえたため目を開けていると、そこには
「優斗君!?」
あの、大人しい癒し系のはずの優斗が4,5人の不良を相手にしている。
しかも、優斗の圧勝だ。
「お前ら、不良ならしってるよな・・・?斎田連優斗を」
優斗が不良に問いかける。
「斎田連・・・?・・・あ!!!!!!!!」
「な、なんだよ?」
「斎田連っつったら、関西の頂点に立ったと言われている・・・!」
「マジかよ?なんで、関東にいるんだよ?」
「ってか、それより、逃げるぞ!!!!!」
不良たちは、さっさと逃げていった。
「大丈夫?美羽さん・・・」
「あ、うん。・・・それより、優斗君って・・・」
「・・・あ~!!!!!」
優斗は、美羽の言葉を遮るようにして大声を出しじゃが見込んだ。
「そうだよ、俺は、関西で有名だった不良だよ!」
「・・・え?」
「こっちにきたのは、不良があきたから。でも、ここで俺のことを知っているやつがいたら、いろいろめんどくさいから、真面目で、癒し系で、人嫌いのキャラを貫きとおそうとしたんだ!!」
「・・・・・・優斗君?」
(キャラが違いすぎて、どう接したらいいかわかんない・・・。・・・けど)
「ねぇ・・・」
「・・・?」
「私は、優斗君らしさを大切にしてほしい。キャラなんて作らなくても、いいと思う」
(私は、さっき分かった。私は・・・優斗君が好きなんだ・・・)
「さっきの優斗君・・・かっこよかったよ?」
「・・・っ!!!」
「好きだよ、優斗・・・」
(って、何言ってんだろ?私・・・)
優斗の顔が真っ赤になっていく。
「お、俺に惚れても・・・いいことねぇぞ?」
「・・・うん」
「前の俺は、俺じゃねぇんだぞ?」
「・・・うん!」
(私は、作った優斗じゃなくて・・・)
美羽が優斗にほほえむと、優斗は視線を外して。
「俺は、キライだ・・・」
(素の優斗の方が、・・・好きだなぁ・・・)
これまで、ありがとうございました♪
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