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ダンジョン最奥から転移したらそこは地獄でした  作者: 御影のたぬき


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第4話:等活地獄・業焔包囲網

 目を覚ますと、体は十分に回復していた。

 リュウジは立ち上がり、軽く体を動かす。

 筋肉の痛みはない。疲労も抜けている。

「よし……」

 インベントリを確認する。

 回復薬、水、食料——全て揃っている。

 蒼刃も問題ない。

「さて、続きだ」

 リュウジは祠の外に出た。

 等活地獄の風景は相変わらず変わらない。赤い空、黒い岩石、溶岩の川。

 だがもう、この光景にも慣れた。

 恐怖ではなく、ただの環境として受け入れている。

「業焔の配下、残りは七体」

 リュウジは中層の方向を見る。

 あそこには業焔がいる。

 そして残りの配下——牛頭五体、馬頭二体。

「一体ずつ、確実に倒す」

 リュウジは歩き始めた。

 中層へ向かって。

 中層に到達すると、リュウジはまず塔に向かった。

 半壊した塔。

 ここから業焔の動きを観察する。

 慎重に塔に入り、階段を登る。

 最上階の窓から外を覗く。

 業焔の姿が見える。

 配下の獄卒を従え、巡回している。

 だが——

「……警戒してるな」

 業焔の動きが変わっていた。

 以前は配下を単独で偵察に出していた。

 だが今は、配下を常に近くに置いている。

 単独行動させていない。

「……やっぱりか」

 リュウジは予想していた。

 配下が五体も減れば、業焔も気づく。

 そして警戒を強める。

「となると、待ち伏せは難しいか……」

 リュウジは作戦を変える必要があると判断した。

 配下が単独行動しないなら、集団から引き離すしかない。

「……囮作戦、か」

 リュウジ自身が囮となり、配下を誘き出す。

 そして孤立させて倒す。

 危険だが、他に方法がない。

「やるしかねえな」

 リュウジは塔を降りた。

 リュウジは業焔の巡回ルートを把握している。

 溶岩の川沿いを歩き、建物の間を抜け、また川沿いに戻る。

 一周約一時間。

 リュウジはそのルート上で待ち伏せることにした。

 建物の陰に身を隠し、業焔たちが通るのを待つ。

 そして——

 足音が聞こえた。

 重い、複数の足音。

 業焔と配下の獄卒たちが近づいてくる。

 リュウジは息を潜める。

 業焔たちが建物の前を通過する。

 距離は十メートル。

 リュウジは小石を拾い、業焔たちの背後に投げた。

 カラン。

 石が地面に当たる音。

 業焔が止まる。

「何だ?」

 配下の獄卒たちも止まる。

 業焔が周囲を見渡す。

「……誰かいるのか?」

 リュウジは再び石を投げる。

 今度は別の方向に。

 カラン。

 業焔が反応する。

「そちらか! 行け!」

 業焔が配下に命じる。

 牛頭の獄卒二体が、石の音がした方向に向かう。

 リュウジは建物の陰から移動する。

 獄卒たちの死角に回り込む。

 そして——

 二体の獄卒が建物の陰に入った瞬間。

 リュウジは飛び出した。

 身体強化:速と力を同時発動。

 蒼刃を振るう。

 一体目の獄卒の首筋を斬る。

 深く刺さる。

 獄卒が怯む。

 その隙に、二体目の獄卒に向かう。

 だが——

 二体目が棍棒を振るう。

 リュウジは横に跳んで回避。

 そして再び一体目の獄卒に向かう。

 首筋を何度も斬りつける。

 一体目が倒れる。

 黒い煙が立ち上る。

 アイテムが残る。回復薬(小)×2。

 だが拾う暇はない。

「そこにいたか、人間!」

 業焔の声。

 業焔と残りの配下が駆けつけてくる。

「ちっ!」

 リュウジは即座に逃走を開始。

 身体強化:速を最大まで引き上げ、全力疾走。

 業焔たちが追ってくる。

 だがリュウジの方が速い。

 建物の間を抜け、瓦礫を飛び越え、溶岩の川を跳び越える。

 そして——

 追手を振り切った。

 リュウジは大きな岩の陰に隠れ、息を整える。

「……はあ、はあ……」

 一体倒した。

 残りは六体。

 だが——

「もう一体も一緒だったな」

 二体目の獄卒は倒せなかった。

 業焔が来る前に撤退せざるを得なかった。

「……次はどうするか」

 リュウジは考える。

 囮作戦は有効だった。

 配下を引き離すことができた。

 だが業焔の反応が速すぎる。

 二体同時に倒す時間がない。

「……一体ずつしか無理、か」

 リュウジは方針を固めた。

 囮で一体ずつ引き離し、確実に倒す。

 時間はかかるが、それしかない。

「よし、続けるか」

 リュウジは再び業焔の巡回ルートに向かった。

 それから——

 リュウジは同じ作戦を繰り返した。

 囮で配下を引き離し、一体ずつ倒していく。

 六体目。

 七体目。

 八体目。

 着実に配下の数を減らしていく。

 だが——

 業焔の警戒も強まっていた。

 配下を二体以上同時に出すようになった。

 そして巡回ルートも変えてきた。

 予測しにくくなっている。

「……賢いな」

 リュウジは業焔の知能の高さを認めざるを得なかった。

 単なる力任せの敵ではない。

 学習し、対策を講じてくる。

「なら、こっちも考えないとな」

 リュウジは新しい作戦を考える。

 業焔が巡回ルートを変えるなら、こちらも動きを変える。

 待ち伏せではなく、積極的に仕掛ける。

「……リスクは高いが」

 リュウジは決断した。

 リュウジは業焔たちの前に姿を現した。

 堂々と、建物の上に立つ。

 業焔が気づく。

「貴様か! 我が配下を殺した人間!」

 業焔が怒号を上げる。

 配下の獄卒たちが武器を構える。

 残りは四体。

 牛頭三体、馬頭一体。

「ああ、そうだ」

 リュウジは蒼刃を抜く。

「お前の配下を、俺が倒した」

 業焔が金棒を構える。

「許さぬ! 貴様を八つ裂きにしてくれる!」

 業焔と配下が突進してくる。

 リュウジは建物から飛び降りる。

 身体強化:跳で高く跳躍。

 業焔たちの頭上を飛び越え、背後に着地。

 そして走る。

 業焔たちが追ってくる。

 リュウジは逃げながら、地形を確認する。

 溶岩の川、建物の陰、瓦礫の山——

 そして——

 リュウジは急停止した。

 振り返る。

 業焔たちが迫ってくる。

 距離は五十メートル。

 リュウジはインベントリからロープを取り出す。

 血に汚染されたロープ。

 三途の川の血。

 脱衣婆に効いたあの血。

「……試してみるか」

 リュウジはロープを地面に広げる。

 罠のように。

 そして建物の陰に隠れる。

 業焔たちが近づいてくる。

 ロープの上を通過——

 しない。

 業焔が立ち止まる。

「……罠か」

 ロープを避けて迂回する。

「……やっぱり気づくか」

 リュウジは舌打ちする。

 業焔は慎重だ。

 簡単な罠には引っかからない。

「なら——」

 リュウジは建物の陰から飛び出す。

 ロープを手に持ち、業焔に向かって投げつける。

 ロープが業焔の顔に巻きつく。

「——ぐおっ!」

 業焔が苦悶の声を上げる。

 顔から煙が上がる。

 三途の川の血が効いている!

「やっぱり効くのか!」

 リュウジはロープを引っ張る。

 業焔の顔に血を擦り付ける。

 業焔が悶える。

「ぐ、ああああっ!」

 だが——

 配下の獄卒たちが反応する。

 リュウジに向かって突進してくる。

 リュウジはロープを離し、横に跳ぶ。

 獄卒の棍棒が空を切る。

 リュウジは一体の獄卒に向かって蒼刃を振るう。

 首筋を斬る。

 深く刺さる。

 だが——

 背後からもう一体が攻撃してくる。

 リュウジは身体強化:速で回避。

 だが三体目が横から攻撃してくる。

 避けきれない。

 棍棒がリュウジの脇腹を打つ。

「ぐっ!」

 痛みが走る。

 吹き飛ばされる。

 地面に転がる。

 すぐに立ち上がる。

 インベントリから回復薬(小)を取り出し、飲む。

 傷が癒える。ダメージは軽傷で済んだ。

 だが——

 業焔が立ち上がっていた。

 顔は焼けただれているが、再生していく。

「……小賢しい真似を……!」

 業焔の怒りが凄まじい。

 金棒を振り上げる。

 リュウジに向かって振り下ろす。

 リュウジは横に跳んで回避。

 金棒が地面を叩き、岩石が砕け散る。

 衝撃で地面が揺れる。

 リュウジは体勢を崩す。

 その隙に、配下の獄卒が攻撃してくる。

 三体同時。

 リュウジは身体強化:全を発動。

 速・力・跳・耐——全てを極限まで引き上げる。

 体が光を纏う。

 獄卒の攻撃を全て避ける。

 そして一体の獄卒に向かって突進。

 首筋を斬る。

 一撃。

 二撃。

 三撃。

 獄卒が倒れる。

 黒い煙が立ち上る。

 残り三体。

 だが——

 業焔が再び金棒を振るう。

 リュウジは跳んで回避。

 だが空中では方向転換できない。

 業焔のもう一撃が来る。

 横薙ぎ。

 リュウジは蒼刃で受ける。

 ガキィン!

 衝撃で吹き飛ばされる。

 十メートル以上跳ね飛ばされ、建物の壁に激突。

「ぐあっ!」

 全身が痛い。

 立ち上がる。

 だが体が悲鳴を上げている。

 身体強化:全の反動。

 もう限界だ。

「……撤退、か」

 リュウジは判断する。

 このままでは死ぬ。

 ここは一旦退く。

 リュウジは全力で走り出す。

 業焔たちが追ってくる。

 だがリュウジの方が速い。

 建物の間を抜け、溶岩の川を跳び越え——

 そして追手を振り切った。

 外縁部の祠に戻ったリュウジは、その場に座り込んだ。

「……はあ、はあ……」

 全身が痛い。

 疲労が限界だ。

 インベントリから回復薬(中)を飲む。

 傷が癒える。

 だが疲労は残る。

「……あと三体、か」

 業焔の配下は残り三体。

 牛頭三体。

 馬頭は全て倒した。

「もう少しだ……」

 リュウジは目を閉じる。

 休憩する。

 体力を回復させる。

 どれくらい休んだだろうか。

 リュウジは目を覚ました。

 体は回復している。

 だが完全ではない。

 それでも——

「続けるしかねえ」

 リュウジは立ち上がる。

 インベントリを確認する。

 回復薬(中)は残り一つ。

 回復薬(小)は十分ある。

 水と食料も揃っている。

「よし、最後の三体を倒す」

 リュウジは祠を出た。

 中層に向かう。

 リュウジは再び塔に向かった。

 最上階から業焔の様子を観察する。

 業焔は配下三体を従え、巡回している。

 だが——

 動きが以前より慎重になっている。

 常に周囲を警戒し、配下を近くに置いている。

「……もう囮は通じないか」

 リュウジは別の方法を考える。

 配下三体を同時に相手にするのは無理だ。

 業焔も含めれば四対一。

 勝ち目がない。

 ならば——

「……環境を利用するか」

 リュウジは周囲を見渡す。

 溶岩の川。

 崩れた建物。

 瓦礫の山。

 そして——

 リュウジは一つのアイデアを思いついた。

「……あれを使えば」

 リュウジが目をつけたのは、崩れかけた建物だった。

 巨大な石柱が、今にも崩れ落ちそうに傾いている。

 あれを倒せば——

「下敷きにできる、か」

 リュウジは作戦を立てる。

 業焔たちをあの建物の下に誘導する。

 そして石柱を倒す。

 下敷きにして動きを封じる。

 その隙に配下を倒す。

「……やってみるか」

 リュウジは塔を降りた。

 リュウジは崩れかけた建物に向かった。

 石柱を確認する。

 高さ十メートル以上。

 重さは数トンはあるだろう。

 根元はほとんど崩れている。

 少し力を加えれば倒れる。

「これなら、いける」

 リュウジは業焔たちを誘導することにした。

 建物の上に登り、業焔たちに向かって叫ぶ。

「おい、業焔! こっちだ!」

 業焔が反応する。

「貴様……!」

 業焔と配下が突進してくる。

 リュウジは建物の上を走る。

 石柱の近くまで誘導する。

 業焔たちが建物の下に来る。

 今だ!

 リュウジは石柱に向かって跳ぶ。

 身体強化:力を最大まで引き上げ、石柱を蹴る。

「はああああっ!」

 石柱が傾く。

 そして——

 倒れる。

 ゴゴゴゴゴッ!

 巨大な石柱が倒れ、業焔たちの上に落ちる。

 ドゴォン!

 轟音。

 土煙が上がる。

 リュウジは建物から飛び降り、距離を取る。

 土煙が晴れる。

 そして——

「……やった、か?」

 業焔は石柱の下敷きになっていた。

 動けない。

 配下の獄卒三体も、石柱の下に潰されている。

 だが——

 一体の獄卒が石柱から這い出してきた。

 潰されたが、致命傷ではなかったようだ。

「……一体は生きてるか」

 リュウジは蒼刃を構える。

 獄卒が立ち上がる。

 だがダメージは大きい。

 動きが鈍い。

 リュウジは身体強化:速と力を発動。

 獄卒に向かって突進。

 首筋を斬る。

 一撃。

 二撃。

 三撃。

 獄卒が倒れる。

 黒い煙が立ち上る。

 残り二体。

 だが——

 石柱が動いた。

 業焔が石柱を押し上げている。

「ぐ、ぬおおおおっ!」

 業焔の怪力。

 石柱が持ち上がる。

 そして——

 業焔が石柱を投げ捨てた。

 ゴロゴロと石柱が転がる。

 業焔が立ち上がる。

 全身が傷だらけだが、再生していく。

「……人間……よくも……!」

 業焔の怒りが爆発する。

 金棒を振り上げる。

 リュウジに向かって振り下ろす。

 リュウジは横に跳んで回避。

 だが——

 業焔の動きが速い。

 怒りで力が増している。

 金棒が連続で振るわれる。

 リュウジは全て避ける。

 だが——

 配下の獄卒二体が石柱の下から這い出してきた。

 潰されたが、まだ動ける。

「……まずいな」

 業焔と配下二体。

 三対一。

 リュウジは身体強化:全を発動。

 全力で戦うしかない。

「来い!」

 リュウジは獄卒に向かって突進。

 一体の獄卒を斬る。

 首筋に蒼刃を叩き込む。

 深く刺さる。

 だが——

 業焔の金棒が飛んでくる。

 リュウジは跳んで回避。

 そしてもう一体の獄卒に向かう。

 蒼刃を振るう。

 獄卒の脇腹を斬る。

 だが——

 獄卒の棍棒が反撃してくる。

 リュウジは剣で受ける。

 ガキィン!

 衝撃で後退する。

 その隙に、業焔が攻撃してくる。

 金棒の横薙ぎ。

 リュウジは地面に伏せて回避。

 そして——

 リュウジは最初の獄卒に向かって蒼刃を振るう。

 首筋を何度も斬りつける。

 獄卒が倒れる。

 黒い煙が立ち上る。

 残り一体。

 リュウジは最後の獄卒に向かって突進。

 身体強化:全で全力を出す。

 獄卒の攻撃を避け、首筋を斬る。

 一撃。

 二撃。

 三撃。

 獄卒が倒れる。

 黒い煙が立ち上る。

 配下、全滅。

「……やった……!」

 リュウジは息を吐く。

 だが——

 業焔が立っている。

 金棒を構え、リュウジを睨んでいる。

「……人間……貴様……よくも我が配下を……」

 業焔の怒りが凄まじい。

 全身から赤い炎のようなオーラが立ち上る。

「……今度は、貴様と我の一騎打ちだ……!」

 業焔が金棒を振り上げる。

 リュウジは蒼刃を構える。

 だが——

 リュウジの体が限界だった。

 身体強化:全の反動。

 筋肉が痙攣し、骨が軋む。

 もう動けない。

「……ちっ……」

 リュウジは回復薬(中)を飲む。

 最後の一つ。

 傷が癒える。

 だが疲労は残る。

「……このままじゃ、勝てねえ」

 リュウジは判断する。

 今、業焔と戦うのは無謀だ。

 体力が限界。

 回復薬(中)も尽きた。

 ここは一旦退く。

 体力を回復させてから、再戦する。

「……悪いが、続きは後だ」

 リュウジは走り出す。

 業焔が追ってくる。

「待て! 逃がさぬ!」

 だがリュウジの方が速い。

 建物の間を抜け、溶岩の川を跳び越え——

 そして追手を振り切った。

 外縁部の祠に戻ったリュウジは、その場に倒れ込んだ。

「……はあ、はあ……」

 全身が痛い。

 動けない。

 だが——

「やった……配下は、全滅させた……」

 リュウジは笑った。

 業焔は今、完全に孤立している。

 配下はいない。

 一対一。

 次は——

「決戦、だな……」

 リュウジは目を閉じた。

 休憩する。

 体力を完全に回復させる。

 そして業焔との最終決戦に挑む。

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