1 プロローグ・予言の詩歌
どこからだろうか?
天上の歌声が響く。
それは 遥か天空の彼方。
魔導師四人衆の澄んだ美声だ。
未來王の四大弟子。
シップ、ゲイル、クロス、イレーズ。
魔導師4人衆は謳う。
すべてを亡ぼしつつあるものが今や来ている。
苦しみの海の上げ潮が叫び、
そして昂まる。
稲妻が濃いくれないの雲をつんざき、
雷が 森の梢のかなたにとどろいている。
荒々しい笑い声をくり返して。
突発させているのはどこの狂者か?
今やすべてを亡ぼしつつあるものが来ている。
生が今では。
死の遊戯に酔いしれている。
今や君らの持ち物すべてによって彼を迎えよ。
右をも左をも見るな。
何ものも隠すな。
そして君のひたいを彼の足に触れよ。
今やすべてを亡ぼしつつあるものが来ている。
君自身の道をひらかれている道にせよ。
室は暗くなり炎は消える。
嵐は来た。
そして君の室を吹き抜けた。
かずかずの土台がよろめいた。
君には聞こえないか?
彼方からの呼び声が。
今やすべてを亡ぼしつつあるものが来ている……。
(ラビンドラナート・タゴール)
未來王は語る。
対極にあるもの。
それは隣り合わせで酷似していることがあります。
それゆえにとても間違いやすいです。
しかし。
誤りは誤りであり、罪は罪なのです……。
詩聖・タゴールの言葉に……。
瞬間の騒々しさは、永遠の音楽を嘲笑う。
物を与えることだけを慈善と心得ている。
それは手に汗することを知らない人だけである。
哲学なき政治。
感性なき知性。
労働なき富。
この三つが国家崩壊の要因なり。
世界はそれに好意を寄せる人の無私の暴虐にもっとも傷つく。
肥大した自尊心によって泡沫は海の心理を疑う。
そして笑い、空虚に向けてはじけ散る。
あやまちは真理のとなりに住んでいる。
それゆえにわれらを惑わす。
自我の重みは軽くなる。
おのれ自身を笑いとばせば、と……。
魔導師は嘆く。
Ⓢ おお欲深き人間よ。
命尽きる最期のとき……。
神に何を強請るのだ?
Ⓖ 精神的成長こそ。
最大の宝である。
成長の秘訣は思い込みからの脱却である。
Ⓒ 侮辱された者たち。
歪曲された者たち。
彼らは待っている。
歴史が覆えされる瞬間を……。
その日はそろそろかも……、なァ?
Ⓔ 俺たちが求めているのはさ。
図抜けた感性の持ち主だけだよ。
それじゃあ、レッツ・プレイ?
風がそよめき歌う。
波の音、川のせせらぎ、木々のさざめき。
美しい旋律を奏でる。
時間の流れとともに。
さまざまな音調が生み出されている。
その音楽は空を超えて。
遥か宇宙に届く。
海の水面を見ているだけでは海はわたれない。
樹木は翼ある精神である。
種子の束縛から解き放たれ、生命の冒険を追い求める。
未知なるものの彼方へと……。
(詩聖・タゴール)
学べば学ぶほど。
自分がどれだけ無知であるかを思い知る。
(アインシュタイン)
人間は神の失敗作に過ぎないのか。
それとも神こそ。
人間の失敗作にすぎぬのか……。
(ニーチェ)
未來王と図抜けた仲間たち。
神々の物語が幕を開ける。