6.もう一人の犯人??
その日、朝の朝食を終えた後、王様は何時もの様にパンの配達へ、王妃様も仕事をする為、プリンとアラモードも勉強する為に部屋に戻りました。
その日の午後、パンの配達から帰って来た王様は子供達の部屋へやってきました。
王様は、最初にアラモードの部屋に行き、彼を連れてプリンの部屋に来たのでした。
『二人共、今日の朝はゴメンな。二人を巻き込んでしまって』
『二人に約束する、ワシは、もう絶対に盗み食いをせんぞ!』
『パパ、ワタシ信じるから、頑張って!』
『僕も・・』
王様は、自分の決意を子供達に宣言すると、子供達は父の罪を怒る事は無く、応援する様に言ったのでした。
『だけど、父上、どうして突然、夜オヤツを食べ始めたのですか?』
アラモードが突然、思いついたように王様に聞く。
『そうね、以前は、そんな事無かったのに?』
プリンも、アラモードに相槌を打つように続ける。
『ウーム・・ワシにも正直、分らんのじゃ・・』
『夜中に、気がつくと、台所におるのじゃ・・そして、何故か美味しそうな物を持っておる』
『だが、いくら食いしん坊のワシじゃって、全部は食べた覚えはない・・』
『パフェ・・ママからも甘い物はホドホドにせよと、何時も言われておるからのう・・』
『ただ、美味しそうなモノを持ってれば食べたくなるじゃろ、その一個だけじゃ、食べたのは・・』
『今日、ワシはママの迫力にビビッてしまい、それを言いそびれたが・・』
『だから、犯人はワシ以外にもう一人いる筈じゃ・・・』
『エッ、犯人がもう一人??』
『それでは、父上、その犯人を捕まえましょう!!』
アラモードが、父の名誉を回復させようと、目を輝かせそう言いました。
そんな息子の頭を、王様は優しく撫で、諭すように優しく言いました。
『有難うな、アラモード、お主の気持ちは嬉しいが、ワシが盗み食いしてた事に変わりはないよ』
『大事なのはソコではない・・』
『まあ、もう一人犯人がいたとしても、居なくても、ワシは今日から絶対に盗み食いをせぬ』
『大事なのはソコなのじゃ・・』
『今日は、お主ら二人がワシを助けてくれた事、とても嬉しかったぞ!』
王様は、感謝の気持ちを込めて二人に大きな声でそう言った。
『ワシは、二人と約束する、盗み食いは2度と・・せぬ、セヌと思う。多分・・・セヌと願う・・。』
その後に、再び二人との約束を続けたが、その声は最初は大きかったが、だんだん低くなり、最後はゴニョゴニョと言って、誤魔化していった。
『パパ、最後の方、よく聞こえなかったんだけど・・・もう一度』
プリンがパフェ王妃の声に似た声で、冷静にツッコミを入れるように聞き直す。
『・・・アッ、もうこんな時間じゃ、午後から大臣達と大事な会議が有るのを忘れていた・・・それでは二人共、ワシはこれで・・ああ忙しい・・忙しい』
王様は、ワザとらしく懐中時計をチラチラ見ながら、逃げるようにプリンの部屋を出ていく。
王様が居なくなった後、プリンはアラモードを見て呆れたように呟く。
『絶対・・・逃げたよね・・パパ、食いしん坊だから、私達には誓えないのよ、盗み食いしないって』
アラモードも呆れたように、プリンの顔をみて無言で2度頷いたのでした。
『フウ~、さぁ、私達どうしましょう・・』
『アラモード、アナタの提案、面白そうね・・』
『・・・』
『僕の提案って、姉上、新しい犯人を見つける事?』
『そう、ワタシ達、二人でね、だって面白そうじゃない!』
『エッ、姉上、何をお考えですか・・?』
そんなこんだで、二人はもう一人の犯人捜しをする事にしたのでした。