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4.地の底から聞こえる様な冷たく低い声

プリンとアラモードが食堂に行くと、食堂では二人のパパであるホットケーキ王が大きいテーブルに皆で食べるサンドイッチを並べていいた。


今日の朝食は、パフェ王妃得意の玉子サンドイッチだった。


『パパァ、おはよう!』、プリンが先ず大きい声で、お父さんである王様に挨拶をします。


『父上、おはようございます!』


少し、遅れてアラモードも挨拶をする。


『オウッ、二人ともオハヨウ!』


『二人共手は、洗ってるか??』


『今日は、ママのタマゴサンドイッチじゃ、汚い手で食べたら怒られるぞい、洗って無ければ直ぐに洗いに行きなさい・・』


『大丈夫、私達、食堂に来る前に洗ってきたよ』


『それなら、ヨイ!、ママも台所から戻って来る筈じゃ・・二人共、席に座ってなさい』


『は~い・・』、二人は、王様に元気いっぱい返事をしました。


二人が自分たちの席につくと、食事をするテーブルには、既にサラダや果物が入ったお皿や、そして紅茶の入ったティポットが並べてありました。


プリンは、慣れた手つきでティポットを持ち上げ、自分の手が届く席のティカップに紅茶を注ぎます。


『ハイ、アラモード!』


そう言うと、自分の向いに座る王子にティポットを渡す。


王子は、姉からティポットを受け取り自分のカップに紅茶を注ぐ。


丁度、注ぎ終わった時、台所からパフェ王妃が戻って来ました。


『二人共オハヨウ・・・待たせちゃったかしら??』


手をタオルで拭きながら、王妃は速足で二人が座るテーブルに戻って来て自分の席に座る。


『全然、丁度今来たトコ・・大丈夫』


母の問いに、姉のプリンが代表して答える。


『あ、アナタありがとね。御蔭様で早く出来たわ・・』


台所から、皆がサラダにかけるドレッシングを持って来た王様を見て、軽く投げキッスをして夫の労を労うパフェ王妃。


『こんなの手伝いには入らんよ、朝飯前じゃよ。本当に朝飯前だし・・ガツハハじゃ!』


(・・・パパ(父上)、何か面白い事言っているつもりだろうけど、・・全然・・ワカラナイ)


(正直面白くないけど、まあ、ママとパパ二人が楽しそうなら、いいけどね・・)


プリンたち姉弟(きょうだい)は、顔には出さなかったが、父の冗談に対し、心の中でほぼ同じ事を感じた。父が思っている以上に、子供達の冗談に求めるレベルは高かったのでした。


『ハハッ、パパ、面白い事言ってないで、ゴハン、ゴハン、早く食べようよ。ワタシお腹空いちゃった。』


プリンは、父の気持ちを考え、助け船を出す様にそう言った。


『そうじゃのう二人が、笑いすぎてゴハンを食べれなくなったら、困るからのう・・』


ホットケーキ王は、そう言い、満足そうに笑い、自分の席に座った。


4人の席位置は、王と王妃様が向かい合い、プリンとアラモードが向かい合って座ってます。


『それでは、頂きましょう!』


パフェ王妃がそう言うと、それに応えるように『頂きます‼!』と王様が最初に大きな声で言う。


その後、プリンとアラモードが声を揃えて、『いただきま~す!』と言い終え、食事が始まる。


それが、彼ら家族の朝食のルールでした。


それから皆で食べ始め、何時もの様に楽しく食事をしていると、お城の料理長のレモネードさんが其処へ焼きたてのパンを持ってやって参りました。


『王様、おはようございます。今日のパンの出来を味見して頂きたく・・』


『オウ、分った。苦しゅうナイ。オオウ、今日はピザパンか、美味そうじゃな・・』


食いしん坊な王様は、そう言ってレモネードさんが持って来たパンを片手に取りました。


『・・・アナタ・・。』


パフェ王妃が、少し心配する様に、王様を呼びます。


『・・ハハッ、安心せい、お前が作ったサンドイッチの次に美味そうだと言う意味じゃよ・・』


王様がそう言うと、王妃様は、否定する様に頭を左右に振りました。


『アナタ、そうではなくて、何か、ここ数日、少し肥った気がするから、食べ過ぎには気を付けて・・』


『考え過ぎじゃ、ワシは肥ってなどおらぬよ。国の子ども達が美味しいパンを食べているかを確認するのも、王であるワシの大事な仕事だからのう・・』


王様にそう言い切られると、流石の王妃様も強くは言えず、王妃様は仕方なく注意する事を諦めました。


王様がパクリと一口ピザパンを食べると、『ウン、美味い、合格じゃ!』と幸せそうな声を上げます。


しかし、そんな時、また一人の人がテーブルまで走ってきました。


チョコ夫人です。


『パフェ様、大変です・・』


『チョコ夫人どうしたの??』


チョコ夫人は自分の口の横を片手で隠し、王妃様の耳元に何かを報告しました。


『エッ、それは本当・・・』


『ネェ、アナタ?』


チョコ夫人からの報告を聞いた王妃様は、幸せそうにピザパンを頬張る王様に低い声で呼んだのです。


『今日の、15時のおやつの時間にプリンとアラモードが食べる予定だった、クッキーが無くなったんですって・・』


『アナタ・・・知ってるかしら、何処に行ったか・・?イエ、知ってるわよね・・』


王妃様の声は、地の底から聞こえて来るような冷たく、低い声でした。


(あ、ママが怒る寸前だわ・・)


母親の変化をいち早く察するプリン。プリンがヤバいという表情で、迎えに座っているアラモードの顔をみると、同じ表情で、アラモードもプリンの顔を見ている


『・・・・ン、何だって、クッキーがどうした??』


一人だけ、未だ妻の変化に気づかない王様が呑気な声で受け答えする。


『ワシ、知らんぞ、チョコチップクッキーの事なんか・・』


『・・・・』


王様が自分の何かのミスに気づいたのか、一瞬言葉を止める。


『ア・アワワワッ・。シ・・・し・・知らんぞワシ・・ワタシは、』


『だったら、どうして無くなったクッキーが、チョコチップクッキーだって分かるんじゃ?自分?』


(ママが超怒ってるわ、ヤバい)


王妃様は、普通の時は大変言葉遣いがキレイなのですが、怒ると言葉遣いが悪くなり、そして王様を呼ぶ言葉もアナタから、自分と変わるのであった。


王妃様のその言葉をきいて、レモネードさんも、チョコ夫人も、そして二人の子供達、顔面蒼白の王様も、緊張で身体が固まってしまいました。


《補足説明》

皆さんは、王様の様な偉い方の食事は、お抱えの料理人の人達が作るというイメージがあると思われている人が多いと思いますが、パンの王国では毎日、貧しい家の子達にパンを配達してますので、朝からそのパンを作る為に、お城の料理人達は大忙しなのです。


王様と王妃様が結婚する前は、それでも料理人の人が王様に食事を作っておりましたが、二人が結婚した後は、王妃様の考えで、王様の食事は王妃様が作り、お城の料理人の人達はパン作りに専念できる様になったのでした。



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