3.しっかり者の御姫様(おひめさま)
(あれッ、温かい・・)
プリン姫は、お腹の傍に温かみを感じて目が覚めました。
布団の中に、顔を入れて見ると、其処にはペットの白ネコ、クリームが幸せそうな顔で寝ていました。
(うわぁあ・・、昨日はクリームが私と一緒に寝てくれたんだぁ。)
プリン姫は、とてもうれしい気持ちになりました。
なぜなら、白ネコのクリームは気分屋さんで、毎日一緒には寝てくれません、夜、気がつけば何処かに行ってしまって、そしていつの間にか帰ってくるというのが当たり前のネコだったからです。
プリン姫は、クリームの顔を見ながら、突然何かに気づいたみたいに、慌てて枕元の近くにある時計をみました。
時計の針は、朝の6時ちょっと前でした。
プリン姫は慌てて、しかし寝ているクリームを起こさない様に、そっとベッドを出て部屋のドアに向かって歩きだしました。
(ぬ~き足、さ~し足、しの~び足)
心の中で、そう呟きながら、一歩一歩、音を出さないように慎重にドアへ向かいます。
ドアの前まで着いたら、今度は音が鳴らない様にドアを開けました。
ドアをあけると、そこには、プリン姫と弟のアラモード王子の朝の着替えを手伝ってくれるチョコ夫人が、丁度プリン姫の部屋のドアを開けようと前に立っていたのでした。
『あら、プリン様、おはようございます。もう起きてらっしゃいましたか・・丁度、今、おこ・・』
チョコ夫人はプリン姫に気づき、ちょっと驚きながら、姫にそう話しかけようとしました。
『シィ~ッ、ばあや・・未だクリームが寝ているのよ』
チョコ夫人が、プリン姫に話しかけようとしたが、プリンは慌てて自分のひと指し指を自分の口の真ん中にたて、合図と同時に、婦人にだけ聞こえるように呟くように言いました。
『ああ、そうでしたか、それは、起こしたら可哀想ですね。では私は、アラモード様を起こしに行きますね・・姫、・・・一人で朝の準備できますよね・・』
状況が分ったチョコ夫人は、隣の・・、弟のアラモード王子部屋を指さし、笑顔でそう囁く。
プリン姫は、それを聞いて、出来るという様に、何度も頷いてみせた。
『大丈夫・・よ。ばあや、なるべく静かにね、お願い』
プリン姫がそう言うと、チョコ夫人も了解したという様に、プリン姫の顔をみて、姫と同じように人差し指を口の真ん中で立ててみせた。
ドアを閉めると、プリン姫は、ロボットのスイッチが入ったかのようにキビキビと動き出しました。
洋服ダンスにある、御姫様用の服を出し、ササッと寝巻を脱いだと思うと、素早く服を来たのでした。
鏡の前で、髪型を確認し、服を確認する様に鏡の前でクルリと1回転。
『ヨシッ、完璧・・』
姫がそう呟いた時、ベットの布団の中から、白ネコのクリームが出て来たのでした。
『ニャーン!』
『エッ、何、クリーム、ワタシ、アナタの事、起こしちゃった?』
プリン姫は、愛ネコに気づき、お詫びと朝の挨拶代わりにクリームを抱きしめようとベッドに駆け寄りました。
クリームは、プリン姫に抱きしめられると、一度アクビをするように首を伸ばし、そして自分の頬を気持ち良さそうに、甘える様に飼い主の身体にこすりつけました。
『クリーム、昨日は、ワタシと一緒に寝てくれたの?ありがとうね、アナタのお蔭で温かかったわ・・』
プリン姫がそう言うと、クリームも私もよと同意する様に、もう一度ニャーンと鳴きました。
しかし、その後、クリームは、何かに気づいたかのように、ピョーンと抱かれていたプリン姫の両手から飛び降り、姫が見ていた鏡の前に走って行きました。
『どうしたの?クリーム。今日もアナタは可愛いわよ・・』
プリン姫は、すこし冗談を言う様に、そう言ったのですが、クリームを見てビックリ。
クリームの様子が急に変わり、クリームは鏡を見ると、何時でも飛びかかれる様な姿勢をとり威嚇する様に鳴いたのです。
『ウ~ウッ』『ウ~ウッ』
『どうしたの、鏡とケンカでもするつもり、何か今日は、様子が変ね』
プリンは、そう言うと、鏡台の前でウナッているクリームを後ろから抱き上げる。
クリームは、プリン姫に抱き上げられても、ジッと鏡から目を反らさず、まるで睨んでいるようでした。
『あねうえ、おはようございま・・す、ぼく、今起きました。あ~う(欠伸)、それでは食堂にいきましょうか・・・』
クリームとは、正反対のノンビリした声は、プリン姫の弟のアラモード王子でした。
『アラモード、おはよう、アナタはいつも眠そうよね・・ちょっと待って、クリームがチョットオカシイの・・』
そう言って、プリン姫はクリームをベッドの上に放すと、クリームは、まるでよ~いドンと言われたかのように、又、再び鏡台の前に、走り出し、そして飛び乗ったのです。
クリームは、鏡の中に何かがいるのではと言う様に、少し見つめ、それから、急に何時もの様子に戻ったみたいでニャーンと一声鳴きました。
『ア~ァ(欠伸)・・別に、何時ものクリームじゃないですか・・』
『ワタシは、お腹が空きました。早く行きましょうよ!!』
その様子をみた、アラモード王子は、眠たそうな声で、そうプリン姫を急かしたので、姫も仕方なくクリームにはそれ以上構わず、部屋を後にしたのでした。
お城の大掃除から3日が過ぎた日の朝の事でした。