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第4話 面の皮が厚い友、胸が厚い女教師。


 ――コイツにはホウ酸団子でも喰わせて、殺処分するしかないようだな。ウチの大事な陽夜理に、薄汚いドブネズミ野郎を近付かせるわけにはいかん。ああ、断じてだ!


「お、おい? じょ、冗談だってば。だからスマホでネズミの駆除方法を調べ始めるのは止めようぜ? それ、まさか俺に使うつもりじゃないよな?」


「「……ははははは!!!!」」


 講義室の前の廊下で、笑い声を上げる男が2人。

 何故か片方は引きつった顔をしているようだが。俺は本気(マジ)やぞ?? お?


「お前たち。さっきから廊下で何をやっているんだ??」


 ツカツカとパンプスの音を響かせながら話しかけてきたのは、白衣姿にメガネを掛けた金髪碧眼の美女だった。それもスラリとした180cm近い身長にモデルのような体型をした、とびっきりの美女だ。


「もう講義が始まるぞ? さっさと席に着きなさい」


「「はーい!」」

  

 彼女はさも何事も無かったかのように、授業に使うレジュメの束を抱えてスタスタと講義室に入っていってしまった。

 背中を流れる黄金のポニーテールと、チラッと見えるうなじが今日もセクシーだ。


 ――生物学担当、ベアトリクス=アシュフィールド助教授。

 名前からも分かる通り、彼女は日本人ではない。


 アシュフィールド助教授はイギリスからやって来た才女で、26歳という若さでこの大学の生物学講師を務めている。


 いったいどうやって覚えたのかは分からないが、日本語はペラッペラ。才色兼備とはまさに、彼女の為にあると言っても過言ではないだろう。


 そしてなによりも注目すべき点が彼女にはある。それは他に類を見ないほどにビッグな部分(もちろん身長ではない)があるということだ。


 何がビッグなのかって?

 英国美女である彼女は、身体も顔もハリウッド女優並み。だが特筆すべきはなんと言っても、圧倒的戦力を持つイギリス海軍の空母並みの()()()()だろう。


 たとえるならば、それは超弩級戦艦クイーンエリザベス。まさに女王級の戦艦の巨砲が、2門も胸に(そな)わっている。あぁ、あの武装に勝てる男などこの世にいるだろうか。いやいや、1人もいるまいて。


 誇らしいグレートのGを有する彼女は、この来音(くるね)大学の生徒から絶大な人気を集めている。


 ……俺の説明が悪かったが、誤解していけない。彼女が人気があるのは、男子からだけではないのだ。常にクールで、サバサバとしている性格も相まって、女生徒たちからも根強い支持を得ている。


 なんでも、あのオスに媚びない姿勢が(たま)らないらしい。


 俺としてはあの隙の無い、どこか他人を寄せつけない雰囲気がちょっとだけ苦手なんだけどな……。


 壇上でキビキビと講義を始めた助教授を眺めながらそんな事を考えていると、隣の席に座る金髪頭がボソッと呟いた。


「あぁ〜、俺も()()()()のビッグマシュマロに包まれたいわぁ。アレはもう、男をダメにするクッションだぜ……」


 ――この人間の屑めが。

 そんな事をいつも言っているから20歳(ハタチ)にもなって今まで彼女の一人も出来んのだ。


 え? 俺はどうなのかって?? 講義中なのでちょっと黙っててくれませんかね……。



「おーい、そこ。講義中に私語をしないように。あと金髪君の隣。……堂森だったか? キミ、背後にドス黒いオーラが出ているから気をつけなよ」


 アシュフィールド助教授は手元の資料から顔を上げ、俺たちに注意をする。


 チッ。公太が発した雑音(ノイズ)のせいで、俺まで怒られたじゃねーか。


 仕方なくすみません、と会釈をすると、彼女はズレた黒縁メガネをクイっと直しながら「うむ」と頷いた。

 そのちょっとした仕草で、胸元にある2門の巨砲がプルンと震える。


 ――ざわざわっ


 彼女を除く、講義室全員の視線がその一点に集中した。なんてことだ、あの一瞬で弛緩したクラスの意識をまとめ上げやがったぞ。


 

「お、おいソーゴ! お前だけベアたんに名前覚えられてんじゃねーよ!」


「は!? 黙れよ馬鹿コータ。また怒られるぞ」


「おい、そこのクレイジーなゴールデン頭。どこの誰が"ベアたん"だって? 気安く私のファーストネームであだ名を作るんじゃない!! それに今度講義中にそのガバガバな口を開いたら、次の定期考査で減点するからな!?」

「そ、そんなぁ!?」

「はい、言ったそばから喋ったので5点減点〜」


 2人の漫才のような掛け合いに、教室内にドッと笑いが起こる。


「はいはい、お前らも減点されたくなきゃ黙れよ~。授業に戻んぞ~」


 アシュフィールド助教授はパンパンと2、3度手を叩く。それだけであっという間に教室はシン、と静かになった。これじゃまるで、部隊の教官とその部下みたいだ。


 助教授はその様子を見て、ピンクのリップが塗られた潤いのある唇の口角を上げる。すっかり従順になった生徒たちに満足気な表情だ。だがそんなドヤ顔も、彼女がやると何故かサマになっている。


 ――クソッ。知的でクールな美人教官か……悪くないな。



 かくして敬愛するベア教官の元。熱心な教練兵士達が受ける生物学の講義は、今日も平和のうちに終了のチャイムを迎えるのであった。

作者「美人な英会話のセンセイとか居ると、男子って異様にテンション上がるよね(私です)」



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