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第19話 魚魚魚―魚をたべーるとー


「定番の熱帯魚にプロトプテルス・アンフィビウスやドラゴンフィッシュまで!? 庭の池には最強の牙魚で有名なゴリアテ・タイガーフィッシュまでいる……!」


 橋の上での出逢いから数日後。

 無事にウオミーこと魚住さんの魚屋と、仕入れの提携を取り付けることができた。


 そのお礼も兼ねて、ウオミーを我が海猫亭にご招待したわけなのだが……。


「ここが理想郷?」


 水槽にベタッと左頬をくっ付けながら頬を赤らめる変態――もといウオミー。

 気に入ってくれたのは嬉しいけれど、ちょっと目がトリップしていて怖い。

 それに妙に早口だし、良くしゃべる。好きなことに関しては饒舌になるタイプのようだ。


「住んでもいい?」


「駄目に決まってんだろ。泊まるなら料金払えよ」


「……ぶぅ」


 無表情のまま口を小さく尖らせて不満をアピールしてくる。


 悪いが俺も、ウオミーにそんなお金が無いのは分かっている。


 この人、魚屋やコンビニなど、いくつかの店でバイトをしているんだぜ?


 それなのに散財しまくるせいで、彼女の財布は常にすっからかん。

 あまりにも金銭感覚がバグっているので、稼いだお金は実家の両親がすべて管理しているそうだ。


 大学生にもなってお小遣い制度……。



「じゃあカラダで――」


「丁重にお断りします」


 馬鹿なことを言うな。ただでさえ我が家には、盛りのついた母猫がいるんだから。


 昨晩もみんなが寝静まった頃に、コッソリ俺の部屋にやってきて――ってその話は良いか。



「渾身のお魚ギャグが……」


「ちっとも笑えないんだってば。それより、そろそろ時間じゃないか?」


「ん、そうね」


 俺の呼びかけでウオミーはようやく水槽から離れてくれた。


 そのタイミングを見計らったかのように部屋の外から声がかかる。



「おーい、お兄ちゃん! お昼できたよー!」


 水槽部屋のドアから顔を外に出してみると、廊の先でエプロン姿の陽夜理がキッチンのテーブルがある方を指差している。


 そしての足元ではチョコがワンワンと吠えながら、早くしろと急かしている。


「分かったー! いま行くよー!」


 そう返事をして部屋に戻ると、ウオミーはすぐ背後に立っていた。


「ビックリした……切り替え早いな」


「さかな料理、楽しみ」


「ウオミーはいつも食べているのでは?」


「何度食べても良い。それに人の作ったご飯は格別」


 あ、そうですか……別に構わないけどさ。


 さっそくキッチンへ向かうと、陽夜理たちが作った美味しそうな料理がテーブルに並んでいた。



「海猫亭の料理長、期待している」


 後ろから覗いているウオミーも何だかちょっと声が弾んで楽しそうだ。


「ははは、料理長だってよ陽夜理」


「へへ、なんだか照れちゃうね」


 たしかにね。

 こんな風に誰かに期待されることなんてなかったから、なんかむず痒い気がする。


「今日はウオミーお姉ちゃんから貰ったハマチで、ハマチ尽くしにしてみました!」


 俺たちも準備を手伝い、みんなが席に着いた。


 堂森兄妹に砂霧親子。そして新たにウオミーをゲストとして、一段と場が華やかだ。


 陽夜理料理長が代表して説明を続ける。


 ハマチはこの来音市における特産物のひとつ。与えるエサにもこだわった、養殖ならではの風味を楽しめることで有名だ。


 しかも今頃から旬のシーズンに入る。将来、海猫亭で提供するにもピッタリのチョイスだ。



「まずは王道のお刺身。これを大根おろしを添えたタタキにしてみたよ」


 大ぶりにカットされたハマチが皿の上に豪快に盛りつけられている。


 隣の小鉢には大根おろしやミョウガ、大葉やネギなどの薬味が添えてある。


「あとは巻きずしにお吸い物でしょー。漬けもあるし、ちょっと趣向を変えて味噌生姜焼きってのもあるよ!」


 おぉ、本当にハマチ尽くしじゃないか。


 魚料理では定番中の定番であるタタキから酒のツマミ、それからご飯のオカズまで抜かりない構成だ。漬けがあるなら、〆にお茶づけにしてもいいしな。



「それじゃあ、さっそくいただこうか!」


 みんなもうテーブルの上の料理に目が釘付けだ。


 ウオミーなんて箸を持って今か今かと合図を待っている。


 そんな期待を一心に背負って、俺はみんなの注目を引く。



「いただきますっ!!」


「「いただきます!」」


 食事の挨拶をすると、みんな一斉に箸を伸ばした。




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