第一話︰ここは?
初投稿です!
俺は野村礼司。ただの筋トレ好きのナイスミドルだ。
唐突だが俺は死んでしまった。えっ?唐突すぎにも程があるって? しょうがない。話を一時間前に戻そう──
「ふぅ……いい汗かいた」
日課の筋トレを終え、そう言葉をついた。
筋トレは、当時、ヒョロガリだった俺が女性からモテようとして始めたわけだが、もうスゴイ。
筋トレにハマっちゃって、当時は細マッチョになろうとしてたのに、10年間筋トレを続けてたら人間離れしたマッチョになってしまった。
そのおかげで女性から話しかけてくれない。自分から話しかけても避けられるか、話終わったらそそくさと逃げてしまう。しかも話しているとき、顔が引きつっている。
まあ、さすがにこの筋肉は誰だって引くわな。
ただ、そんなことを喋っていても仕方がない。気分転換に少し夜風を浴びるとしよう。
───そんなわけで俺は公園に来ている。
やっぱり夜風を浴びるのは最高だ。なんか思い詰めていたことがスゥーと抜けていく感じがするんだ。
「帰るか」
そうつぶやいて公園を出たその時、大型のトラックがこっちに向かって猛スピードで近づいてくる───
という感じで轢かれて死んでしまった。
神様俺はなにかしたのか。生まれてから死ぬまでの38年間、童貞卒業どころか彼女すらできたことがない。まあ、嘆いたってどうにもならないのだが。
というか、それどころじゃない。
俺は今、一面真っ白な空間にいる。
俺は死んだんじゃないのか、どうしてここにいるんだ…と、混乱していると、
『なにかお困りですか?』
キイエェェェェェェェ!!喋ったァァァァァ!!
な、なんか頭に喋りかけてきたし、ていうか、お前誰だよ!
『私はこの天界を統べる神です』
うおっ、喋ってないのに通じた。ていうか、神?天界?俺はもしかして夢を見ているのか?
『いえ、夢ではないです。あなたはここでこれからのことを決めるのです』
これからのこと?なにを決めるんだ?
『あなたは死んだ日に外に出ておらず、あなたが死んでいなかった世界線に行くか、異世界にとんで違う人生を歩むかを選択できるのです』
異世界ってのはどういうことだ?
『そのままの意味で、あなたが住んでいた世界とはまったく違う世界です』
ふむ…異世界にとんだら、記憶は残るのか?
『はい。姿と記憶は異世界にとんでも受け継がれます。異世界にとびますか?』
う〜ん…この筋肉が異世界にとんでも変わらないのなら異世界にとんでも今の状況と変わらないよな…
『見た目を変更することも可能ですが変更しますか?』
できるのかよ!できるなら細マッチョ体型のイケメンにしてくれ!
『では、異世界にとぶのですね?』
ああ、今度こそ異世界で彼女作って童貞卒業するんだ!
『わかりました。遺伝子組織を解析………終了。
遺伝子組織を改造………終了。異世界に転送します。』
そのような声が聞こえたあと、俺の視界は真っ白になり、意識が遠のいていった………