めったに怒らないワタシがブチ切れたお話!!
めったに怒りません。とくに飲食店では。
とある定食屋さんで、定食バイキングを食べていました。焼き魚もブタの生姜焼きもお刺身も食べ放題!
めっちゃ楽しい! めっちゃ美味しい! ワタシは大喜びでアレコレ食べていました。
あ、肉じゃががある! 肉じゃが食べたい!
ニコニコしながら肉じゃがを口いっぱいに放り込んだワタシの顔色が変わります。
すっぱい……。肉じゃがなのに、すっぱい……。
クソビンボーな今ならわかる! それは腐ってる味! 今はビンボーなので腐っていても平気で食べますけれど、当時は腐ってる味がよくわからなかった。
酸っぱい肉じゃがをモグモグしながら考えます。ヘン。ぜったいにヘン。
一度口に入れてしまったので、ゴックンしました。そして店員さんに小声で伝えた。
ソウ:この肉じゃが、腐ってるかも……?
若いイケメン君はあわててワタシの皿を下げると同時に、バイキングに置いてあった肉じゃがの大皿も引っ込めました。それを見ていたワタシは急に不安になります。ワタシがイチャモンつけたせいで、あの大皿の肉じゃがは捨てられちゃうんじゃなかろうか……? もし腐ってなかったら、すごく悪いコトをしたんじゃなかろうか……?
心配になったワタシは、戻ってきたイケメン君に小声で尋ねました。
ソウ:さっきの肉じゃが、腐ってた?
イケメン君は最高の笑顔で大きな声で言いました。
イケメン:はい! 腐ってました!!
フツーなら隠したいでしょうに、ほがらかに大声で言ってのけた!! 正直に教えてくれて、ありがとう!ww その明るさが笑えてきて、以後は飲食店で理不尽な目にあっても怒らなくなりました。
ある日、回らないお寿司の店でゴキゲンさんでヒラメのお寿司を食べようとしたら、半透明なヒラメの下に何かが透けて見えた。何だろうと思ってお箸でヒラメをつまみ上げてみると、シャリの中にゆで上がったダンゴムシが入っていました。どうやらシャリと一緒に炊かれたらしい……。
ワタシは店員さんを小声で呼びました。周囲のお客に聞こえないように小さな声で伝えます。
ソウ:これ……ダンゴムシ……。
店員:あっっっ!! 失礼しました! 申し訳ございません!!!
ソウ:よくあることです。お皿は下げてください。気にしないで。
冷や汗ダラダラでお皿を下げてダッシュで厨房へ向かう店員さんを見ながら、当時の夫が言いました。
夫:ダンゴムシが入ってるなんて、よくあることじゃないでしょ……。
ソウ:お料理してるといろいろ入るの! 小さいことは気にすんな!!
またまた別の日。
とあるお店で、和食料理をいただいていました。カツオの叩きに添えられた玉ねぎスライスを食べていたワタシは……、
ソウ:イタイッ!!
鋭い痛みを感じて口からカケラを吐き出しました。それは玉ねぎスライスにそっくりな色と形をした、尖ったプラスティックのカケラでした。よほど鋭い刃物で切られたのか、先端が針のように尖っている。ワタシは口から血を流しながら「これなら口が切れるわ!!」ミョ~に納得しました。
ワタシは店長の所へそのカケラを持って行って、他の客には聞こえない小声で言いました。
ソウ:玉ねぎのスライスにこれが入っていました。口を切りました。危ないので、そのスライスは回収したほうがいいと思います。
鋭いカケラとワタシを見た店長さんの顔から冷や汗が噴き出しました! そりゃ、そうだ。ワタシ、口から血が出てましたから。
店長:申し訳ございません!! すぐに新しい料理とお取替えします!!
ソウ:もったいないから、替えなくていいです。刺さらないよう、気をつけて食べますから。
店長:ですけどっっっ!?
ソウ:他のお客に出さないよう気を付けてください。めっちゃ刺さりますから。
どちらのお店もお代金はいらないと言ってくださったのですけれど、代金はきっちり払いました。ヘンなクレームを付けてタダメシ食べたと思われたくなかったので。
ある日、ワタシは高級ホテルの高級レストランにいました。婚約中の彼とウキウキのデートです♪
二人でフレンチのフルコースを注文しました。彼とはラヴラヴだし、フレンチレストランでデートだし、ゴキゲンさんです♪
前菜のサラダと焼き立てのパンが出てきました♪ パンはふわふわして美味しい♪ バターも高級品で味わい深い! 銀のナイフとフォークでサラダを食べようとしたその時、金色に縁どられた白いボーンチャイナの皿の上で、美しい野菜の中に髪の毛みたいなものを見つけた。なんだ?
よくよく見てみると、髪の毛じゃない。見た目は髪の毛そっくりですけれど、先端が細くなってる。そしてすごく細かいシマ模様になってる。
お食事中の方もいらっしゃるでしょうから、詳細は書きません。そして代役としてコオロギにご登場願いましょう。政府がやたら食え食えと言ってるコオロギを想像してください。ワタシはコオロギは食べられませんけれど、一応食べ物として認定されているコオロギで話を進めます。本物の犯人は、コオロギによく似たアイツです。でも書くと気持ちわるいからコオロギでお願いします。
私の皿に載っていたのは、コオロギの触覚でした。
ソウ:ひいいいい!!
すぐにお店の方を呼んで言います。
ソウ:ここにコオロギの触覚が!!
店員:……すぐお下げします。
高級ホテルの高級レストランだから、プライドが高いのかしら? 一言謝ってくれてもいいのに……。
店員:代わりの料理をお持ちしました。
店員が持ってきたのは、さっきと同じサラダでした! なんでさ!? サラダに触覚が入ってたってことは、他の部分もサラダに入ってる可能性があるでしょうよ!! そのサラダを私に食えとっっっ!?
我慢して食べ…………られるかあああああ!! なんぼ私が食いしんぼうでも、アイツは無理やぞ!!
ムリムリムリムリ! この店のセンスがムリ! 他の料理なら食べようと思ったけど、アイツが混入しているかもしれん同じサラダを出してくるセンスがムリ!!
ソウ:……ムリです。帰りたい。
彼 :マチちゃんがそう言うなら帰ろう!!
席を立つ私たちを店員が驚いた顔で見ています。いやいや! さっき言うたやん! サラダにコオロギが入ってるって! 同じサラダ出したらアカンやろ! なんでビックリしてんねん!?
彼は会計の前でお財布を出しました。おお! 素晴らしい! あんなことがあったのに、支払う気があるんだ! 尊敬します! さすが私の見込んだ彼! 素敵です!!
すると店員はブスっとした顔で、計算を始めやがったのです!! アンタ受け取るつもりかっ!?
なんとアホの店員は、彼にパン代を請求しました! 二人で2000円!! 途中までしか食べてないロールパンで2000円! さすが高級レストラン!!
彼は無言でお金を支払いました! カッコイイです! どんな場面でも取り乱さないあなたを尊敬します!! そして私も無言で彼の後について、二人はお店を出てゆきました。
ここまで読んでくださったあなた様は「おや?」と思ったかもしれません。「ソウが激怒した話のはずなのに、話が終わってしまったぞ?」 そうです。このお話はここで終わります。私、怒っていましたけれど店員さんには一言だって怒りをぶつけていません。そしてその後、ホテルやレストランにクレームも言っていません。でもブチ切れた私は怖いです!!
私はレストランを出た後、彼に静かに言いました。
ソウ:このホテルはムリです。ホテルを変えてください。
彼 :そうだね。これはちょっとヒドいね……。
そして彼はホテルを変えてくださいました。「ホテルを変える? 宿泊でもしてたのか?」あなた様はそうお考えになるかもしれません。ちがいます。宿泊じゃないです。
私が変えてもらったのは………………、
私と彼の結婚披露宴のホテルでございます!! ン百万円のデカイお取引でございます!!
ブチ切れた私は結婚披露宴のホテルを変えたのでございます!! ざまぁみろ! ふざけんな!!
コオロギ(ほんとはちがうムシだが)が入っていたのは許せます! お料理してたらヤツが入ることだってあるだろうよ! 気に入らなかったのはその後の店員の対応です! 同じサラダを出すのも許せなかったし、彼に謝罪もせず料金を請求したのも気にいらん! 店の衛生管理が悪くて食事を切り上げたことに気づけ!! たった2000円惜しさに、ン百万円の取り引きをゼロにしたんだ!! 死ぬほど悔しがるがいい!! ワタシがホテルに理由を説明してキャンセルしなかっただけでも感謝しろ! ワタシが言いつけてたら、お前のクビなんか飛ぶぞ!!
私が激怒するとヒジョ~にメンドクサイ怒り方をします。その場では言わず、無言で怒り続けます。そんな自分がイヤなので滅多に怒らないのですよ……。
でも後悔はしておらん! たった一つのサラダでン百万円の披露宴を逃したホテルに言ってやります!
ざまぁみやがれっっっ!!