表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

74/168

73.まさかの救世主現る!!

気がつけば、人質のまま桟橋の近くまで来ていた。

今回こそ本当の人質状態だ!!


(船にでも乗って逃げる気なのだろうか……まさかね)


相変わらず心結の首元には、刃物がチラついていた。

動くたびに若干刺さって痛い!!

乙女の柔肌に何てことしてくれるのだ!!


そんな事はお構いなしに、心結を盾にしてコウモリ獣人は

うしろ歩きで桟橋をめざしていた。


それを一定の距離でガレット達が追うという……

奇妙な追いかけっこが展開されていた。



ついに桟橋の端まできてしまった。

何故か先ほどまでなかったはずの船が一艘浮かんでいた。


(船……いつのまにかあるし……)


心結は軽く絶望した。

この変態と船旅はいやだな……。


「ククク……それではみなさん……

お別れの時間ですね!ごきげんよう……」


コウモリ獣人は楽しそうに笑いながら言った。


そしてそのまま心結共々その船に飛び乗ろうとした

ほんの一瞬手前の出来事だった。


「なっ……!!」


急にコウモリ獣人の視界が見えなくなった。


なぜならカモフラージュしていた幼体モンチラが

男の顔に張りついたからだ。


わずかな一瞬だが、男に隙ができた。


『ミユウ!!』


心結を奪還すべきガレットが飛びかかった。

呼ばれた心結自身も前に駆け出そうとしたが。


流石コウモリ獣人というべきか……

すぐさま幼体モンチラを引き剥がし、心結の手首を掴んだ。


「離して!!」


それに抵抗した為、心結はあろう事に桟橋から海に落ちた。



「えっ……」


身体に感じられる浮遊感と目の前に広がる青空。

景色がスローモーションのように見える……。


(これはこれでヤバイ……落ちる)


その時だった、目の前に大きな黒い影がみえた。


狼が飛び込んできて心結を空中でキャッチしたのだ。

そしてそのまま一緒に小船に落ちた。


「うっ…………」


狼が下敷きになってくれたお陰で、衝撃は少なかった。


「狼さん!!」


上で戦っていたモンチラ達とコウモリ獣人も

予想だにしない第三者の乱入には正直驚いていた。


〈あの時の狼!!〉


〈どこの馬の骨ですかね、横から獲物を搔っ攫うなんて〉


しかしお互いに力が拮抗している為に

心結の元に駆けつけることはできない状態だった。


一人と一匹?を乗せた小舟は重さを感じたせいだろうか

急に淡く光りだした。


「えっ?えぇ?何……どういうこと!?」


光はだんだんと大きな粒になり輝きを増していった。

最後には一つの光となって船は消えた。


「チッ、しかたがありませんね。

こうなったら止められません……出直しますか……」


苛立ちを隠しきれず、渾身の一撃をモンチラ達に放つと

コウモリ獣人はそのまま姿を消した。


『アレハ、ケイヤクセンカ……』


ガレットは消えた船を見つめて呟いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ