39.再びご対面!
今日は朝からディーヤと街にお出かけです!!
大地の女神ソルテール様に、再度突撃訪問を行います。
ラウル様は私が外に行くのを渋っていました。
でも護衛騎士の方を連れていく条件で、ジェラール様に
許可を貰いました~ウフフ、粘り勝ち!
つかず離れずの距離で、イヌ獣人のお二人が私とディーヤを
陰ながらこっそりと見守ってくれています。
(両手にモフモフ?いや四方八方モフモフ!?
なにこの最強な布陣!!)
大神殿とまではいかないけれど、ペタラの街の神殿も
それなりの大きさの規模らしい。
「ミュー様、着きましたよ。ジェラール様からもお話が通って
いますから、安心して祈りをささげてくださいね」
ステンドグラスが美しい神殿の中へと入った。
黒ヤギ獣人の司祭様が出迎えてくれて、貴族用の部屋に通された。
(司祭様ってヤギしばりじゃないよね!?
この前もヤギじゃなかった!?)
「それでは心結さま、我々が扉の前で立っておりますから
安心してお祈りください」
ビシッと胸に右手をあてて、護衛騎士さん達が敬礼してくれた。
「ありがとう。行ってくる!ディーヤもまた後でね」
「はい。私はジェラール様から預かった寄付の品を
司祭室まで収めてまいります」
三人に手を振って、扉を閉めて振り返るとすでにテンが
祭壇の中央で寛いでいた。
「ソルテール様!!」
「やっほー。ちゃんと来てくれたんだ」
テンは寝そべりながらにっこりと笑った。
「そんなあなたに女神からプレゼント!」
「いきなりですか!軽っ!! 軽すぎやしませんか」
いつものように、心結の頭の中に声が響いた。
【フィヤフィヤーフィヤフィヤー……ククククッギィィ
スキル:動物魅了のレベルが20に上がった!
特殊スキル:レア動物や植物を引き寄せる
のレベルが30に上がった!
新しいスキル:レア鉱石を探し当てる Lv.15
:五穀豊穣 Lv.20
新しい称号:大地の女神にガッツリ気に入られた聖女候補
を手に入れた!】
「大地系のスキルに偏っちゃった!えへっ!
きっと今後、何かの役に立つはずだから!」
ドヤ顔でテンが親指を立てている……。
「お心遣い感謝いたします。
が、聖女候補ってこれはマストなのですか?」
「外せない項目だよ。聖女候補っていい響きでしょ」
「はぁ……」
「最後に女神様からの一言いうね」
ただひたすら上機嫌のソルテールは、今日も暴走気味だった。
「えっ!今度からはもしかしてソルテール様が担当に!?
というか……口頭での女神様の一言!?」
心結はあっけにとられていた。
(担当制なのか!もちまわりか!!)
「そこは大人の事情ってことで!!コ…コホン。
油断大敵!真実を見失うな。
敵か味方になるかは自分の行動次第!!
金につらなるものが光をもたらすだろう」
「前途多難な未来しか見えないのですが」
死んだ魚のような目になっても仕方がないと思う。
確実に何かが起こるフラグ立ちまくりじゃないですか。
「モフモフに繋がる道は、幸せへの道だから。
これだけは断言できる!!
変態じゃなくて、モフモフスキーをつらぬいて!」
(キランッと白い歯が光っちゃうような笑顔で言われても
ちょいちょいソルテール様って残念だよな……)
「モフモフに栄光あれ!」
軽やかに宙返りを決めると、女神像の中に消えていった。
「相変わらず自由かよ……。帰りますか……」
少しだけモヤモヤした気持ちになったが飲み込んだ。
うん、私大人だから!
女神像に一礼をして神殿をあとにした。
そのあとディーヤとも合流して、ジェラール様達にお土産も
買ってあとはお屋敷に帰るだけのはずだったのですが……。
「えっ?どういうこと!?」
心結の想像を絶する光景が目の前に広がっていた。
「これってピンチじゃない……!?」
顔をひきつらせながら、立ち竦むしかなかった。
因みに……余談ですが……
フィヤフィヤーフィヤフィヤー……ククククッギィィは
テンの鳴き声らしいですよ!




