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3.責任者出てこいや!

しばらく心結と梟もとい女神アナースタシアは、

無言のまま見つめあっていた。


その間も心結は黄金の梟の羽に、瞳に、嘴に……

くぎ付けであった。


(凛々しいな黄金の梟。

胸元の羽のモフモフがたまらん)


羽角みたいな耳の様な羽が頭の左右にあるから、

種類はコノハズクかな?


瞳がオレンジ色で綺麗だな……。

ビー玉が嵌っているみたい。


うっとりと眺めていると……


「いいえ、コノハズクではありません。

どちらかとワシミミズクに近いです」


「えっ!?」


いきなりそう告げられて心結は動揺した。


「私また心の声が、溢れてしまっていましたか?」


「ふふ…、表情を見ればあなたの考えている

ことくらいわかりますよ」


そう呟いた黄金の梟が、目を細めて笑った様にみえた。


(このままではいけない、動物談義で終わってしまう!)


心結は表情を引き締めて、黄金の梟に問いかけた。


「あの、アナースタシア様!

私は異世界転移をしてしまったのでしょうか?」


「そうですね。そうとも言えます」


「そうですか……」


わかっていたとは言え、肯定されるとちょっと厳しい。


「転移ということは、元の世界に帰れるのでしょうか?」


(ここ一番大事なところ!!)


食い気味に、黄金の梟に詰め寄る心結。


少しの間をおいて……


「わかりません」


と申し訳なさそうに、黄金の梟は首を横に振った。


「ん?え?わからないって……」


思ってもみない返答に、言葉を失う。


「大変申し訳ありませんが、私にもわからないのです。

今回のあなたの転移は非常に珍しいレアケースと

言いましょうか」


「どういうことでしょうか?」


「意図して行われたものではないという事です。

はっきり言って原因不明なのです」


「なんですと!いや、いや、いや、ないわー。

まだ聖女召喚の為とか、滅びゆく世界を救う為とか……

あるでしょう!!

何かしら壮大な理由が」


くわっと目を見開いて、アナースタシアに再度詰め寄るが……


「いえ……。

幾重もの偶然が重なってこの世界に、

ただ落ちてきたと言うのが一番近いかと」


「いりませんからそんな偶然。

女神様の全勢力を使ってお家に帰してください」


(どうしよう、泣きたくなってきた)


紫眼の大きな瞳から幾重もの涙があふれる。


「泣かないでください」 


フワッと温かい羽に顔全体が包まれる。

黄金の梟に優しく抱きしめられているようだ。

ぎゅっとそのまま梟を抱いて泣いた。


「……っ、うぅ……な……んで……

こんな……ことにっ」


目が溶けてなくなるのではないかと思うくらい泣いた! 


涙が止まらなくて不安で悲しいのに……。


梟の胸羽のモフモフヤバい!

お日様の香りがする!

と密かに堪能していた自分がいたことは内緒である。


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