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26.獣耳装着!

公爵家の豪華馬車に再び乗せて頂いております。

膝には、お出かけ仕様のマントを羽織った、モフモフのディーくん。

ちょっぴりおねむモードです。

斜め向かいには、つい先ほど何人か敵を仕留めてきたかのような……

壮絶不機嫌な狼執事様が座っております。

(何故にこのメンバーなんですか、イリス様!罰ゲームですか)



公爵家を出かけようとした時の事。


「心結さん、神殿についてからの段取りなどを、もう一度家族で

話あいたいのでな。申し訳ないが、ディーノの世話を頼んでもいいか?」

「はい。もちろんです」


「それから、王族の謁見までは、申し訳ないがこのマントを

羽織っててくれないか。

頭にはこれもつけておいてくれ。」


イリスから渡されたものは、()()()()()()()()()()()()()()()()()だった。


「これをですか!?」

心結は驚きのあまり目を剝いた。


「この国のほとんど者が、完全な人型をみたことがないのでな。

今の状態で神殿に行ったらパニックになる。」


「確かにそうですね」

そう言えば私はこの世界唯一の人型だった!

公爵家の皆様がすんなり受け入れてくれていたから、

すっかり忘れていたけど……。


「わかりました」


狼獣耳カチューシャを装着した。

不思議な事に、スっと頭にフィットして、元からついていたかのような感触。

ちょっと嬉しい。プチモフモフの仲間入り。

尻尾はマントを脱がないので大丈夫だろうと、今回は見送ったそうです。


【萌え度が80上がった!!

称号:獣耳っ子美少女を手にいれた!!】


そんな項目はありませんから!!捏造はだめですよぉ!

ってまた女神様から、厳重注意受けそうだ。


心結が一人で勝手に脳内妄想会議を行っている所に、

ラウルに抱かれたディーノがやってきた。

「ミュー!グルグルゥゥゥ」

心結の姿を見つけると、嬉しそうに胸の中へディーノが飛び込んでくる。

「ディーくん!」


そこで初めて心結の頭上に見慣れない物がついていることに

気がつき、ラウルは息が止まりそうになった。


「………………!!」

〈なんで狼獣耳なんてつけてんだ!冗談でも質が悪すぎる!〉


ラウル様に、穴があくほど狼獣耳を見つめられております。

あー、これはまたブリザード吹き荒れちゃう案件かな。

心結は、半分諦めの境地で呟いた。


「狼耳装着しちゃいました……」

えへっとばかり、精一杯可愛く笑ってみた。


「………………」

返事はない。

無表情すぎて、怒っているのか呆れているのかさえ分からないのが

返って怖いんですけど!!


「可愛いだろう、狼耳の心結さん。ジェラールセレクションだ。

人型のまま行くわけに行かないだろう」

ドヤっと言わんばかりの顔でイリスは、満足げに微笑んだ。


「これならば、何かあってもラウル様の妹とかでとおせますね」

「妹だと!!こんな出来の悪い妹などいらないのですが」

フォローのつもりの発言だったのに、逆に燃える材料を注いでしまったらしい。


「あ…………。じゃぁ、従妹?とか、この際、遠い親戚という事で」

「何がじゃぁなんですか、全く!何があっても他人ですから!

イリス様もジェラール様も冗談が過ぎますよ」


「お前ら、イチャついてないでそろそろ行かないと送れるぞ」

馬車の窓からひょいっとジェラールが顔を覗かせた。


「イチャついてなんかいません!」

「イチャついてなんかいません!」

一言一句、口調まで綺麗にハモる。


「ハハハ……仲いいな!照れんな、照れんな」

グッと親指を立てて、最上級の笑顔をみせるジェラール。


「と、言う訳で何かあった時の為に、ラウルはそちらの馬車に

乗ってもらうからな」

「どういう訳ですか!?」

(今のやり取りきいていましたか!?この空気のまま密室空間へ!?)


「イリス様!」


「二人を頼んだぞ、ラウル」

ご機嫌な笑顔で、もう一台の馬車の中へと消えていった。


「畏まりました」

明らかに不服そうなラウルだったが、渋々頷いた。


で、冒頭に戻る。

更に馬車の中の温度が下がってきている気がする。

そのうち、ダイヤモンドダストが降るに違いない。

(あぁ……早く神殿についておくれ。心臓が持ちません)


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