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146.もしかして……

ギースさん達がランベール王国に来て直ぐの事だった。


リラさんとリシュくんとその他幼体フェネック達も

一緒に引っ越してきた。


リラさんはアレクシさんが落札したことになっているが

本当はラウルさん……ひいてはジェラール様の資金によって

なされたものである。


よって、リラさんはジェラール様のものだ。

しかしそんな事は望んでいないので直ぐにその契約を解除した。

リラさんは晴れて自由の身になった。


だからランベール王国の国民として

迎え入れることにしたのだ。


一人でもその国の国民権を持っていれば家族をつれて

住むことができるからである。


これから働いて、レオポルド家に尽くすそうだ。

リシュくんは執事見習いとして働くことになった。


見た目もいいし、何よりも素直で利発だ。

きっと将来素敵なモフモフに……

じゃなくて執事になるだろう。


モフモフ兄弟は、心結の心の安らぎ……

もあるかもしれないが……

ディーくんの遊び相手として採用された。


壮絶美少女のリラさんは……

ギースさんの妹さんのカフェで働くそうだ。


物凄い人気がでるだろうな……。

フェネック獣人の可愛さは半端ない。


私でも通いたいぐらいだ。


獣体状態のリラさんを抱っこさせて貰った事があるが

モフモフでおめめウルル過ぎて気絶しそうになったもん。


フェネックやばいよ、あれは人をダメにする兵器だよ。


女の私でもそんな危険なのに……。

若い男性の獣人たちは大丈夫だろうか!?


お店にはレオポルド家のお墨付きの看板が掲げられるから

あの宿屋の息子みたいな変な輩は湧かないだろう。


なんかあったら紅炎の野獣と銀氷の悪魔に睨まれる事に

なるから大丈夫だとは思うけど……。


それ以上にいいボディーガードが傍にいるしね。


ギースさんああ見えてかなりできる方みたいだ。

ラウルさんが一度手合わせ願いたいって

呟いていたもの……。


それに……

どうやらリラさんとギースさんいい感じみたいだ。


このままいけば、またモフモフの幼体フェネックが

増えそうだ……ウフフ。


ランベール王国でもフェネックまみれができるわね。

心結は悪い顔で微笑んだ。




ミュゼさんとアレクシさんは何故か

セレスト王国に移住することが決まったらしい。


商業をもっと発展させるためにラオさんにその腕を

見込まれてスカウトされたんだって。


やはり店と従業員ごと引っ越しするとの事だ。

ここも大所帯で30人ほどが大移動するらしい。


トビネスミの一族もその器用さをかわれてかなりの数が

セレスト王国に移住を決めたと言われている。


デゼール王国は、本当に国民の流失が止まらないみたいだ。




そしてその1週間後……。

ガゼルの国王が何者かに暗殺されたと発表された……。


まさかラオさんかモンチラか!

と、思ったのだけど違ったみたい。


仲間割れが原因らしい……。

本当のところはわからないけれども

王に近いガゼルの獣人がかなり暗殺されたらしい……。


ヘルメース様がいなくなった事がやはり大きいのかな。

そんな事をしみじみ思っていた時だった。



「ラウルさん、新作のケーキができたらしいので

ギースさんの妹さんのお店にいってきますね」


心結は街まで一人で出かけようとしていた。


「心結、少し待っていて下さい。私も一緒に行きます」


最近ラウルさんの距離がまた近くなった気がする。

外出する時には、必ずついてくる。


そしてやたら甘い言葉をかけてくる……。


心結が玄関でラウルを待っていると私服に着替えた

ラウルがやってきて、自然に心結の手を取った。


「お待たせいたしました。

今日のドレスも可愛らしいですね。

本当はこんな可愛らしい姿、他の男には見せたくありません」


そう言って心結の手の甲にキスをした。


(ヒャァァァァ……甘い狼が降臨した

心臓が持たないわ……)


心結は恥ずかしそうに頬を染めた。


「ぐっ……」


ラウルはキスをしたい気持ちをこらえた。


〈ここは玄関だ!

私がそんな事をして風紀を乱してどうする〉


ラウルは唇を噛んで耐えた。


「では行きましょうか……」


二人はギースの店まで馬車を走らせた。




今日はお店の定休日だ。

そこで新作ケーキのお披露目発表会を行うらしく

心結は招待されたのだった。


「いらっしゃいませ!」


そう言って出迎えてくれたリラさんの腕の中には

とんでもないものがいた。


「マジかよ!!」


心結は目を剥きながらいきなり大声をあげてしまった。


そこにはスナネコ姿のヘルメース様がいたからだった。

甘えた声をだして……

リラの胸にすり寄っていた。


「心結さん、どうしたのですか?」


「心結!!」


そんな挙動不審の心結に二人は驚いたようだった。


「いや……。

その猫ちゃんはどうしてここに?」


顔を引きつらせながら心結は聞いた。


「あ、この子ですか?

ここに引っ越してきたときに道端で鳴いているのを

ギースさんがみつけて……」


そう言って愛おしそうに猫を撫でた。


「スナネコの獣体だったので……

荷物に紛れてついてきちゃったのかなって

だからこの店の看板猫にしようって決めました」


(食べ物屋に猫っていいのかい?)


と、心結は内心ツッコミをいれたが

この世界はモフモフで溢れていたことを思い出した。


「そうですか……」


心結はあきれ顔で猫をみた。


(あんた、なにやっているんですかここで)


もう敬語なんかなかった。


(いや、せっかく自由になったからには

可愛いオネェチャンに一度飼われるのも悪くねぇなって。

この胸の中……ふかふかで最高だぜ)


(このエロ親父!!)


心結と猫は目で会話していた。


「ウフフ……。

可愛いでしょう、心結さんも抱きますか?」


「イヤ、ケッコウデス」


心結は、軽く死んだ魚のような目になりながら

首を横にふって拒否をした。


「心結、どうしたんだ!?

あんなにも無類のモフモフスキーのお前が……

モフモフ最高級のスナネコをモフらないなんて

体調が悪いのか」


若干失礼な発言をしながらも、ラウルは心配そうに

心結をいたわる様にみつめた。


「うん……。

元気だけど……うん……」


心結は断固拒否の姿勢を崩さない。


ラウルはついに自分のおでこと心結のおでこをくっつけて

熱まで測りだした。


「熱はないみたいだな……」


「ラウルさん……」


恥ずかしさに目を逸らしたのがいけなかった。


「リラさん、すまない。

心結の体調が心配なので、今日はお暇させて頂く。

またケーキは次の機会に」


そう告げると、いきなり心結を横抱きにして店をでた。


「ラウルさん、本当に大丈夫だから」


落とされないようにぎゅっとラウルにしがみつく心結。


「いいのですよ、心結。

つらいときは我慢しないで、私にはわがままを言ってください」


蕩けるような瞳で心結をみつめると……

そっと心結の額にキスをした。


(甘い……甘すぎる。

デゼール王国が帰ってきてからラウルさんの甘さが急上昇している)


そのまま屋敷につくまで、ラウルの膝の上から解放される

事はなかったのである。


「今日はゆっくりと休んでくださいね」


そう言って心結を優しくベッドにおろした。


そして数分後……

狼姿になったラウルがベッドに上がってきて……

当然のように心結を全身でくるんで抱きしめた。


「俺の心結……

今日は一日中……抱きしめていてあげます」


そう言って、そっと心結の頬にキスをした。


(ラウルさん……

もしかして私の事……()()()()()()()()()()()!?)


遅まきながら心結は、ようやくラウルの気持ちに

気がつき始めていた。


どう考えても今までの行動もそうだし……

友達の域は超えているよね。


(ラウルさん……私も……)


心結はぎゅっとラウルのしっぽを愛おしそうに抱きしめた。


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