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139.本気ですか!?

本気でなんなのこれ……。

罰ゲームにも程があるのですが……。


心結は自分がさせられている姿を見て羞恥に震えていた。


(恥ずかしくて死ねる……。

というよりか、この格好をラウルさんに見られたら

もう立ち直れないかもしれない……)



心結はまたもや薬草の風呂に入らされた後……

香油で身体をマッサージされていた。


その後が問題だった。

猫獣人のお姉さんから爽やかな笑顔で渡されたこれ……。


「えっと……これは何でしょう」


一応聞いてみた。


「これを身に着けて頂きます」


「ん……と、これだけですか?」


「はい、これだけです」


(なんだってぇぇぇぇ!!

この異様に面積の小さい下着のようなものは……。

嘘でしょ、だれか嘘だといってくれ)


渡されたものは、いわゆるセクシーランジェリーだった。


上は黒の総レースのブラ。

胸の谷間の部分にはリボンがあしらわれており

パールもついていた。


心結はそのエチエチ衣装に目を剝いた。


もう下なんて前の部分以外が紐だよ、紐。

私リアルにTバックとかも履いたこともないのに

それ以上に細いものがあるとは。


防御力1でしょ、これ。


「他にありませんか?」


心結は涙目だった。


「…………」


猫獣人さんは困った顔をしていた。


「せめて何か羽織るものでも……」


心結は必死にくらいついた。


「そうですね……。

ではガウンを羽織りましょうか」


〈ガウンだと!! 是非お願いします〉


と、心結は一瞬目を輝かせたが……

渡されたものは予想とは違っていた。


袖口や裾の部分すべてに総レースがふんだんに使われている

シースルーの黒のガウンだった。


前開きのところには、モフモフの黒いファーが

かろうじてついていた。


(こういうモフモフはいらない……

違う、違うそうじゃない……)


「…………」


(余計エロいやないかいっ!)


「お嬢さまは肌が白いので黒が良く映えますね」


そういって慰めるように猫獣人は微笑んだ。


「アハハハ……」


心結はもう乾いた笑いしか出てこなかった。




そこに色違いの真っ白な衣装を着させられた

リラが連れてこられた。


(ふわぁ……。

これはやばいわ……。

リラさんやらし可愛い……)


女性でもドキドキしちゃうほどに似合っているわ。

けしからん、あのスタイルはけしからん。


自分の胸とリラのけしからん胸を見比べて

ちょっぴりせつなくなる心結であった。


(いいんだもん、普通のサイズだもん。

く……悔しくなんかないからね)


心結はそう心の中でひっそりとゴチた。



二人でお互いの恰好をみて顔を赤らめた。

目のやり場に困ってしまう。


そこにあのガゼル獣人の男がやってきた。


「ほう……これほど美しい対は初めてみたな。

出すのが惜しいくらいだ」


そういって目を細めた。


心結はキッとその男を睨んだ。


「フ……。

せいぜいがんばってまともなヤツに買って貰うんだな」


そう言って楽しそうに口元を歪ませた。


(本当にいやなやつ。

ラオさんもヤバイと思ったけど……。

この人は人としてもっといや……)


既に会場ではバザールが開催されているようだ。

時より歓声や怒号などが聞こえる。



「これが終わったらあなた達だ。

それまでここに待機していてください」


ここは舞台袖の小部屋だったのか。

どうしよう。


心結は急に落ち着かなくなった。

ラウルの事は信じている。

でももしこのまま……二度と会えなくなってしまったら。


そう思うと怖くて今更ながら震えが来た。


そんな時だった。

ふわっと右手が温かくなった。

リラが心結の右手を握ったからだった。


「大丈夫です。

信じているのでしょ?あの方を」


心結を気遣うような優しい笑顔だった。


「…………リラさん……」


(あーもう、神様……女神様。

なんとかしてください~誰かぁぁぁぁ)


心結がそう思った時だった。

部屋の隅がきらっと光った気がした。


「ん?」


その方向を見ると祭壇があった。

そこにフワフワの猫のような物がいて

こちらを見下ろしていた。


(猫?なんでこんなところに猫……。

ってもしかして、幸運や財宝の神“ヘルメース”様ですか)


(こうしてみたら見られなくもないな、お前)


(へっ?)


何故か猫と頭の中で会話をしていた。


(ヘルメース様?)


(最初は色気のねぇ、乳臭いガキだから

やる気おきなかったが、今の恰好最高だぜ。

最高にエロイ!!

まぁ、隣の姉ちゃんには負けるけどな)


そう言って猫はチェシャ猫のような笑顔をむけた。


(ないわー、この神様ないわー。

セクハラ親父か!

あんなにカッコイイ神様の中身がこれか……がっかりだよ)


心結はジト目で猫を見ていた。


(男なんか一皮むけばだいたいこんなもんだからな。

お前の番もきっと同じような事かんがえているぞ)


そう言ってさらに意地悪そうにニヤついた。


(…………。

ところで今更なんの御用ですか?)


心結はつっけんどんに答えた。


(反抗的だな。アナ姉から聞いていた感じとは違うな。

モフモフスキーの美少女だってきいていたから

俺も頑張ちゃって、このスナネコ仕様できたんだぜ)


アナ姉って、アナースタシア様の事かしら。

スナネコだったのか。


ここまで来てもまだモフモフ縛りが続いているのね。

そういう意味では神様の皆様、申し訳ございません。

私がモフモフスキーだったばっかりに……。


(では、何か力を授けてくださるのですか?)


(んーお前次第?)


楽しそうに猫はくるんと一回転をした。


(と言いますと)


(横の姉ちゃん紹介してくれ。

ガチでタイプだわ。あの胸で溺れたい……。

お前じゃちょっと役不足なんだわ)


そう言って心結を上から下までみた。


違う意味で溺れさせてやろうかしら。

マーくんに頼もうかな。

心結はイラつきのあまり物騒な事を考えていた。


(そうしたらこの状況から助けてくれますか?)


(それは無理だな……。

俺たちは基本的に運命には干渉できない。

あくまで補助や支援程度だな。

それをどう使って乗り越えるかは、本人次第だ)


(わかりました。それでは自分で頑張ってみます)


そう言って心結は一方的に頭の通信をきった。


(ちょ……おま………)


ヘルメース様は何か言っていたけどもう知らん。

あんなエロ猫の力なんか借りるものか!


そんな時だった。

ふと我に返って辺りを見渡すと……

気がついたらリラはいなかった。

既にバザールへと連れていかれていたのだった。


(すでに始まってたぁぁぁぁぁ!!)



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