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122.可憐なシロモフ

幼体モンチラちゃん達は本当に私の家族になってしまいそうです。



「とりあえず奥様にも許可を貰おう。

今後の為にもちゃんとお話ししておこう」


心結はガレットに詰め寄ると、ガッと両肩を掴んだ。


『オ……オウ』


そして部下と思われる方が奥様を呼びに行ってくれた。


暫くすると……

全身真っ白で可憐な小柄のモフスベのモンチラがやってきた。


(かわえっぇぇぇぇぇぇ!!

シロモフ!! シロモフ!! 睫毛もバサバサの美女モフモフ)


『ヨメノ“ネージュ”ダ』


「…………」


このイカツイ凶暴顔のガレットの嫁だと!?

ありえない、美女と野獣すぎるでしょう……。

ガレットの半分もない可愛い小柄なモンチラちゃんだよ!!


心結はジト目でガレットをみた。


『ナンダソノカオハ』


「そういう冗談はいらないから」


無理すんなよくらいの勢いで心結はガレットの肩を

ポンポンと叩いた。


『オイ!シバクゾ、コラ』


ガレットは歯をむき出して威嚇した。


『フフフ……。

ハジメマシテセイジョサマ。

ガレットノツガイ“ネージュ”トモウシマス」


可憐なシロモフちゃんはそう言ってぺこりとお辞儀をした。


「本気で?ドッキリとかじゃなくて?」


何度もガレットとネージュを見比べて頭をひねる心結。

ネージュは恥ずかしそうにガレットに寄り添っていた。


『ドッキリガナニカワカランガ……

ヨメダトイッテイルダロウガ』


「すごいじゃん、ガレット!

こんな美人で可憐なお嫁さんゲットするなんてやるわね」


『オ……オウ』


『カレンダナンテ……ウフフ』


ネージュは恥ずかしそうにますます頬を染めた。


その時周りにいた部下モンチラ達は密かに思った。


〈姉御……猫100匹かぶってやがる……〉


〈この可憐な見た目に騙されて……

今までどれほどの者が地獄送りになっているか

考えただけでも恐ろしい〉


ギロリ……。

一瞬ネージュの鋭い視線が周りに飛んだ。


〈余計な事をいったら命がないと思え〉

という声が聞こえてきそうだ……。


何を隠そうこのネージュこそ

この暗殺集団で一番キレさせたらいけないNO.1モンチラであった。


一度キレたら止まらない。

この真っ白な毛皮を真っ赤に染めて

高笑いしながら敵を殲滅するのだ……。


それこそ“ブラッディースノーホワイト”という

異名がついており、かなり恐れられているモンチラであった。


余談だが、ネージュの方がガレットにベタ惚れで

無理やりおしかけて嫁になったようなものだった。


「ネージュさん、お子さんを私に預けてもいいの?

この先どうなるかもわからないし。

恐らく危険な事も多いと思うのだけど」


『セイジョサマトイッショナラ、アンシンデス』


ネージュは微笑んだ。


「皆、私の事を聖女だっていうけれども。

本当はなにも力のないただの桐嶋心結という者だよ」


『タトエソウダッタトシテモ……

コノフタリガキメタコト。

ドウゾカワイガッテヤッテクダサイ』


そう言って深々とお辞儀をした。


『ミユウ……ダイスキ』


『コレカラモイッショ』


ノワールとブランは心結に頬ずりをした。


「うん。私も大好き。大事にします!!」


そう言って心結はぎゅっと二匹を抱きしめた。




「いえ、結構です。

どうぞお引き取りください」


絶対零度の微笑みを浮かべながらラウルが前からやってきた。


「ラウルさん!?」


無言で心結の腕の中のモンチラをつまむとそのまま

ガレットにつきかえした。

そして自然に心結の腰を抱くと自分の元に引き寄せた。


余りにも優雅な動作だったので、一瞬何が起こったのか

わからなかったくらいだ。


「申し訳ございません。

うちのお屋敷は手一杯なので、これ以上モンチラが

入る余地がないのです……」


『ギュゥゥゥゥ!!』


二匹は怒って威嚇しながら鳴いた。


ネージュはどうしらたいいのかオロオロしていた。


そんなカオスな状態をみてガレットは遠い目になった。


〈狼の溺愛は激しいと聞くからな……。

例え幼体といえども、オスが自分の番の周りにいるのは

耐えがたいのだろう〉


「酷いよ……ラウルさん。

ノワールとブランはうちの子だよ!!」


心結は涙目になりながら、ラウルの胸を叩いた。


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ラウルは心結の涙を指先で拭いながら甘くみつめた。


「やだ……ノワールとブランは連れて帰る」


心結はいやいやと言うように首をふった。


それよりもかなりの爆弾発言がラウルの口から発せられたのだが

心結は全くスルーをしていた。


「困りましたね」


心結の頭を優しく撫でながらため息をつくラウル。


〈困っているのはこっちだ!!

一体俺たちは何をみせられているんだ?〉


ガレットを始め部下モンチラ達は更に遠い目になるのであった。


結局心結の粘り勝ちとなった。


二匹を連れて帰らないなら

ガレットのお家の子になるといってへそを曲げて

梃子でもそこから動かなかったのである。


よってラウルは渋々連れて帰ることを許したのであった。


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