表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

113/168

112.人見知りが激しすぎやしませんか?

人見知りが激しすぎやしませんか?

心結は少し……いやかなり困っていた……。


(普通に会話できないかな……。

どれだけドドドングリに信頼を置いているのさ……)


心結は目の前のドドドングリを見つめてため息をついていた。




ラオさんは約束通り直ぐに神殿の修理に取り掛かってくれた。


初めて神殿の中でみた空の神“エリゼ”様。

予想に反して、ムッチムッチの赤ちゃん天使像だった……。

キュウピッドに近いかな。


(赤ちゃん女神様だったのか。

だからフェリィちゃん達と仲良くなれたのかな?)


そんなキールくん達も快く……

エリゼちゃんとの橋渡しになってくれる事を承諾してくれた。


そこでエリゼちゃんとお話ししたい旨を早速伝えて貰った。


最少は渋っていたらしい……。

が、フェリィちゃんの説得が功を奏した。


今まで食べたことのない美味しい甘いお菓子を供える事を

条件に一度会ってくれる事を取り付けてくれた。


(女神様達は本当に甘いものが大好きだな……)


何かこのセレスト王国の特産を使ったお菓子を作りたいな。

そうしたらエリゼちゃんも喜んでくれるだろうか。


心結は王宮の厨房の作業台の前に立って一人頭を抱えていた。


王宮は無事に反乱軍?正規軍?によって取り戻されていた。

イヌワシのオジサマ側についていた大型の鳥獣人達の一部は

一掃されていた。


中には投獄された者、はたまた他国へと逃亡した者もいると聞く。

まぁ……その後行方知れずになった者もいるらしいけど……。


その辺は怖いから深く追求しない事に決めた、うん。

その間ラオさんが生き生きしていた事が記憶に新しい……。


「モンチラちゃん、何がいいと思う?」


『キュキュキュ……キュ?』


「山の中に入って材料集めか……。それ、いいね。

現地調達が大事よね、よし、今から行こう」


心結はモンチラちゃんを連れて近くの山に入ることにした。

ギャルドさんには山に入ることを伝えた。


ついて行こうか?と言ってくれたが

忙しいのは知っているので、お気持ちだけ貰っておいた。


ならば王宮が見える範囲のみで散策するようにと言われた。


承知いたしました!

よし、いつものリュックを背負って準備万端だ!



未だに山の中は殺伐としていた。

草花もほとんど咲いていないし、動物もたまに鼠らしきものや

ちいさな小鳥がいるくらいだ。


きのこや木の実なども今のところは見つけられていない。

たまに落ちているのは、あのドドドングリだけだ。


しかもこのドドドングリ……

見た目は私の世界のドングリと瓜二つなんだけど

金属か?というくらい固い。

銅か何かで出来ていますか?これ。


上を見上げるといっぱい生っているのがみえる。

直撃したらかなりの打撃を受けそうだ。


(怖いから木の下を歩くのはやめよう……)


心結は更に山の奥深くに入って行った。



数時間後……


何も見つからないし……若干道に迷ったらしい。

でもね、かろうじてお城の先端は見えるのよ……。

だからセーフです!!


流石にここまで荒廃すると、特殊スキルを持っていても

何も見つけられないのね。


仕方がないから、小さな洞窟のような所で一休みです。

山の天気は変わりやすいから怖いしね。

一応安全を考慮して屋根のあるところで休憩だ。


「モンチラちゃん、はい、クッキー」


『キュッ!キュキュ』


シャークさんから貰ったアイシングクッキーを仲良く食べる。

このクッキーのお陰で何度もピンチを脱している。


心結は瓶を徐に空に掲げた。


(半分以上も食べていたのか!)


気づかないうちに結構食べてしまっていることがわかった。


ドドドングリの形のクッキーでも作ろうかな。

見た目も可愛いしなぁ。


そんなことをボーっと瓶越しに空を見つめながら考えていると

何故か目の前にそのドドドングリが大量に現れた。


「ん?」


(えっ?この付近にドドドングリの木ってあったかな?)


心結は周りをキョロキョロと見まわしたが見つけられなかった。


するとみるみるうちにドドドングリは何か文字のようなものを

形成し始めた……。


“お菓子ちょうだい” そう読めた。


(おかしいな、気のせいかな……)


心結は一度目を擦ってみてから、また改めてドドドングリをみた。

うん、どうしよう……気のせいじゃないらしい。


象形文字みたいな記号のようなモノの羅列なのに……

何故か意味がわかってしまうこの不思議。

チート能力万歳!って喜ぶところなのかしら、これ。


するとまた文字が形成された。


“イルカの形のやつがいい”


クッキーの形を指定してきた!!

というかその前にまずは挨拶じゃろがい!!


初対面だよ、いきなりお菓子頂戴っておかしくないか?

誰なのかわかっているけど聞いてみよう。


「どちらさまですか?」


しばらく間があいて、返事がドドドングリで返ってきた。


()()()()()()()()()()()()


「……………」


心結は呆気にとられた。


(通りすがりのモフモフって何だよ!?

1ミリもモフモフ要素がみあたりませんが!!

またアナースタシア様から変な申し送りがされているな)


“モフモフです!モッフモッフです!すこぶるモフモフです”


「………………」


モフモフ詐欺だな……。

モフモフ三段活用?

でも収拾がつかなそうだから、クッキーを試に献上してみますか。


心結は近くの木から葉っぱを一枚取った。

そして瓶の中からイルカ型のクッキーを取り出すと

葉っぱの上に置いた。


それを木の根元にそっと置いてみた。

置いてあるところは見えるが、心結からは少し離れている所に置いた。


しばらく眺めていると……。

木の陰から翡翠色の何かがシュッと出てきてクッキーを持ち去った。

あまりの速さに一瞬しか姿を捕らえられなかった……。


“ありがとう”


そう文字を形成するとドドドングリはまた何処かに消え去った。


「…………モンチラちゃん、さっきの姿見えた?」


『キュ……』


流石のモンチラちゃんも姿を捕らえられなかったらしい。


犯人はわかっているが、この山の中にはクッキーくれくれ

モンスターがでるらしい……。


その前に普通に話せませんかね?

ドドドングリ会話……。

はっきり言って面倒くさいです、女神様!!


クッキーくれくれモンスターこと……

空の神様エリゼちゃんと出会い、それが幸運を呼んだのか

その後の散策で“野いちご”の群生を見つけました!!


かなりたくさん生っていたので、モンチラちゃんとその場で

摘んですぐに食べました!


甘くて美味しかったです。

見た目も可愛いし、これはぜひお菓子作りの材料にしよう。

更にその先ではモンチラちゃんが、“胡桃”を見つけてくれました。


なかなかいい感じ!

女神様効果凄いな~。

クッキーが美味しかったのかな?


よし、これで材料の準備は揃った!

お城に帰るぞ!オー!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ