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11.今、何とおっしゃいました!?

玄関ホールをぬけて、客間と思しき所に通されました。


「こちらで少々お待ちください」


促されるまま、ソファーに座ると……


「…………」


何故かラウルさんが、私の顔をじっと見つめてきました。


(えっ?何?……何なの?

今更私の美少女ぶりに気がついたとか!?ウフフ~)


「……。…………」


一欠けらでもそう思った私反省しろ。

いや!ナイナイ。そういう類の視線ではない!

これ何度目のセルフツッコミよ……。


(ただただ、ガッツリ無表情を浴びるほど頂いている

この時間はどうすればいいの?)


心結は固唾を呑みつつ、その様子を黙って見守っていた。


と、その時かすかな呟きが聞こえた気がした。


「フッ……、変態レベル6ですか……」


「…………!?」


(今、なんて言った!?)


ありえない呟きがきこえた気がしたけれども、え?え?


(空耳かな?……、うん、空耳に違いない。

幻聴に違いない。幻聴であれ!)


心結はその瞬間…己の意識が遠くなりそうになった。

背中にも冷や汗が流れたが、持ち前の精神力で

なんとか乗り切った。


「それでは、失礼いたします」


何事もなかったように恭しく一礼をし、ラウルさんは、

相変わらず目の奥が笑っていない笑顔で……

優雅に去っていきました。


そして一人残された私は、年代物のクラシックな

ソファーの端に座って固まっております。

紅茶のような飲み物を、チビチビと飲んでおります。


先ほど、ディーヤと違う、りすば犬のメイドさんが

運んできてくれました。


黒柴さんの可愛い方でした。

マドレーヌのような焼き菓子と、色とりどりのクッキーも

添えられていました。

めちゃくちゃ美味しそうです!!


しかし、私が今座っているのは、荘厳な装飾を施された

高そうな布地張りのソファーなので、おいたはできません。


飲み物一滴でも零したらと思うと、生きた心地がしないわ。


暇なので、一通りぐるっと部屋の中を見渡してみる。

目の前には、石造りのオシャレ暖炉。


配置されている重厚感のある家具も流石貴族といったところか。

さぞかし名工が製作したであろう雰囲気をビシバシと

醸し出しております。


頭上には、煌めきが眩しいクリスタル製のシャンデリア。


(目の前の長椅子の猫脚可愛いなぁ……。

響きからして好き、猫脚……。

ちょっと憧れたな、猫脚のバスタブとか……

ま、日本家屋には全くそぐわないけど……)


ゴクッ、ゴクッ……。

更に紅茶らしきものを飲んではみるものの

緊張は収まるどころか、高まるばかりだ!

庶民が寛げる空間ではありません。


(公爵様、早くお越しください!

異世界の迷い人が、ソファーの端で待っています)

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