表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
剛拳淑女ポリーヌ  作者: FECT
5/13

05.つないだ手

「と、ところでハオさん?」

「え? ああ、ハオでいいよ、ポリーヌ」


道場の門下生たちが見つめる中、ポリーヌは顔を赤らめながら、勇気を出して切り出してみた。

「このわたくしを打ち倒した褒美といってはなんですが、何かおいしいものをごちそうして差し上げましてよ?」

「え! 本当? 僕、ちょうどお腹がすいていたんだよねー!」

ハオは邪気のない笑みを浮かべて喜んでみせた。

「ポリーヌは何が食べたいの?」

「そ、そうね……。庶民の方たちが召し上がるような、品のない料理をたくさん平らげてみたい気分ですわね」

「そっか! じゃあ、僕の知っている安くておいしい店に案内するよ!」


(ふ、ふたりで食事を共にすることになってしまった!!)

自分から切り出したこととはいえ、あっさりと決まってしまったことにポリーヌは内心で驚いていた。


「よし、じゃあ行こうポリーヌ!」

ハオは気軽にポリーヌの手を取った。


(きょ、今日初めて会った殿方と、いきなり手をつないでしまいましたわっ!)

ポリーヌは恥ずかしさで顔から火が出る思いだった。

(し、しかも多くの人の目がある中でっ!)


ハオは後ろを振り返り、師範に軽く礼をした。

「じゃあ、また来ます老師!」

「おお、また会いましょうハオ殿!」

道場の看板を守られた門下生たちが一斉にハオに礼をした。


「こっちだよポリーヌ!」

ハオはポリーヌの左手を引いてどんどん引っ張っていく。


(まあ、ハオ様ったら、強引なんだからっ!)

今まで恋愛経験の少ないポリーヌは、ハオにどきどきしっぱなしであった。


男というものは、気に入った相手を見つけた時にぶん殴って言うことを利かせ、自分のものにしてしまえば良いのだ。

そのように考えていた節のあるポリーヌだった。


(いつかは自分より強い男に出会ってみたいものですわっ)

などと考えてもいたポリーヌだったが、その相手が可愛らしい年下の男の子になろうとは夢想したこともなかった。


つないだ手を引っ張られながら、ポリーヌは夢心地であった。

顔立ちが薄味ながら、ハオは十分美少年と言って通る相手である。

そんな彼が、男らしい強引さで自分をどこかの料理屋に引っ張っていこうとしている。


なんだかふわふわした気分で、ポリーヌは手を引かれるがままにハオの後をついていった。

やがて、彼らは小汚い裏路地の一角にある古びた料理店の前にたどり着いた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ