表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
剛拳淑女ポリーヌ  作者: FECT
1/13

01.赤いドレスの女

「どっせええいっ!」

腹の底に響くような気合と共に道場の扉は壊された。

中に侵入してきたのは身の丈1.8メートルはあろうかという巨女であった。

豊かな金髪の髪を縦巻きのカールにしている。

「わたくしの名はポリーヌ! この道場の看板をもらい受けに来ましたわっ!」

門下生たちがざわつく中、中堅どころの門下生たちが3人、不埒な侵入者の前に立ちはだかった。


ポリーヌと名乗った巨女は、そこいらの男など目ではないほどしっかりした骨格をしており、筋肉も目立った。

その鍛え上げられた肉体に、赤を基調とした豪奢なドレスを身にまとっている。

顔つきは精悍といって良く、整ってはいるが男性的な顔立ちをしている。

肉体派の男が女装をしているのだと言われたら、大半の人間は「ああ、そうか」と納得してしまいそうであった。

しかし、彼女が男性ではない証拠に、その胸元は豊か――というより迫力があった。

年若い門下生の中には、思わずポリーヌの胸に目が行ってしまい、顔を赤らめる者たちもいた。


「な、何者だ! 道場破りとあれば女とて容赦はせぬぞっ!」

ポリーヌより頭半分は背が低い男が前に出てポリーヌをにらみつけた。

「語るに及ばずっ!」

ポリーヌは女性にしては低い声で一括し、気合と共に一撃で小柄な中堅門下生を吹き飛ばした。

「我が覇道の前に立ちふさがる者あれば、何者であろうと打ち倒すのみっ! ……ですわっ!」


「な、なんだ今の技はっ!」

「速くて見えなかった……」

道場にいた門下生たちがざわめいた。


「なにごとだっ! 何の騒ぎだっ!?」

そのとき、ちょうどかわやへ行って席を外していた師範代が戻ってきた。

「道場破りです!」

「なんだとっ!?」


大柄な彼に門下生の一人が叫び、師範代はようやく事態を飲み込んだ。

そして道場の奥からのしのしとポリーヌに歩み寄って、彼女の眼前に立った。

「どこのご令嬢か存じ上げませんが、少々おイタが過ぎてはいませんか? せっかくのお召し物が痛まないうちにお引き取り……」

「問答無用っ!」


ポリーヌは神速の動きで師範代に体当たりのような攻撃を食らわせて吹き飛ばした。

「!!!!?」

その場にいた誰もが、ポリーヌの動きを正確に目で追うことができなかった。

ポリーヌが叫んだと思ったら、次の瞬間にはすでに師範代は吹き飛ばされていた。


「弱いっ、ですわっ!」

ポリーヌは翻ったドレスの裾をパン、パン、と両手で払って、それから崩れかけた髪の毛をさっと撫でて直した。

ポリーヌ以外の誰もが言葉なく、その場に凍り付いていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ