75
「お待ちくださいませ!今、そちらにはセドリック王子殿下が!」
ドアを隔てた向こうから侍女の制止の声が聞こえてきた。
『ガチャッ』
勢いよく扉が開かれ、そこから現れたのは自身の2人目の兄カールである。
扉を開けたカールの目に飛び込んできたのは、自身の最愛のアディリナと、王位を争う兄のセドリックが唇を近づけんばかりの近さでいる光景だった。
カールの身体は燃えるようにかっと熱くなる
何か言葉を言うよりも先にカールの身体は動いていた
「きゃっ」
アディリナを自分の胸の中へと強く引き寄せる。
セドリックはそれを止めるわけでもなく、カールの行動を見ても表情は変わらなかった。
「…痛っ」
そんな小さなアディリナの声も、今のカールの耳には届いていない。
カールの心中にあるのは怒り
目の前のセドリックに対しての激しい激しい憎悪だった
「カール、そんな強い力ではアディリナが怪我をしてしまうだろう」
セドリックはそう言い、アディリナへと手を差し伸べる。
カールはその手を強く払いのけ、アディリナを守るかのようにさら胸に抱える力が強くなる。
「セドリック、お前どういうつもりだ」
怒気を含んだ重く低い声でカールは、セドリックを問い詰める。
しかしセドリックはカールの怒りを指して気にも留めることなく、顔の笑みも一向に崩れない。
「どういうこととは?」
そんなセドリックの様子にカールは益々苛立ってきた。
「アディリナに手を触れることは許さない」
カールはセドリックを睨みつけ、セドリックに凄んだ。
「なぜ?アディリナは君のモノではない。…王になる俺のモノなのだから」
セドリックのその言葉はカールの怒りを更に高めるには充分すぎた
***
アディリナはカールがこんなにも感情を表に出している姿は見たことがなかった。
そして、セドリックのカールを挑発するような態度。
それもアディリナにとって、初めて見る姿である。
カールの抱きしめる力がどんどん強くなってくることを感じる。
2人を止めようと思っていたはずなのに、そんな2人の態度にアディリナの身体は動かなかった
***
更新停滞しており、申し訳ありません。
やっと75話更新できましたが、仕事多忙のためまた遅筆となりそうです…
(某ウイルス蔓延しておりますので、体調にはお気をつけてください)




