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リチャードとイスマエルのおかげでだいぶ挨拶に訪れる貴族たちが整理されたが、それでも今日のアディリナは人生の中で最も多くの人と関わった。
やっと一息ついたその時だ。
2人の男性が宰相のエメナドに連れられ、アディリナの元へとやってくる。
どこかで見たことがある気がする。
一人はブラウンシルバーの髪に落ち着いた雰囲気だが、華やかな容姿と穏やかな微笑みを浮かべる美丈夫であった。
そしてもう一人は彼よりは年若く、蒼銀の長い髪を左側にゆるく束ねた女性と見間違ってもおかしくないよう中性的な美しい男性だった。
「お二人が是非ともアディリナ様にお会いしたいと。」
宰相のエメナドがアディリナに語りかける。
年上の男性が感嘆の声を漏らす。
「………、またお元気なそのお姿を見ることができ、光栄でございますっ」
瞳にはうっすらと涙の膜さえ張っている。
「…エメナド様?」
男性の様子に戸惑ったアディリナは、エメナドへと視線を向ける。
「私たちと会ったのはまだとてもお小さい時でしたから無理もありませんね。」
その様子に中性的な男性が苦笑いする。
「お二人はフェリシナ様のお父上様と兄上様でございます。…アディリナ様にとっては祖父と伯父にあたります。」
エメナドか2人について説明をする。
アディリナは突然のことにひどく驚いたが、自分の中の点と点が線へとつながる。
この既視感の正体はそれだったのだ。
遠い遠い記憶の中にある母の面影
目の前の2人はそれを体現していた
「…お祖父様と、伯父様?」
つい口から出たその言葉に2人は蕩けるような笑みとそして喜びの表情へと変わる。
「ああ…ああ!そうだよ、私があなたのお祖父様だよっ」
はらはらと次から次へと目から雫が零れ落ちる。
しかし目の前の祖父はそんな事はお構いなしに、その姿を目に焼き付けるかのようにアディリナを見つめる。
そして今にも崩れ落ちそうになる身体を隣の伯父が支える。
「私が、…フェリシナの兄の…。あなた様の伯父ですよ。」
叔父からは祖父よりも更に母であるフェリシナの面影を感じる。
中性的で女性と見間違うような顔立ち、そして母と同じ蒼銀の髪は、アディリナの記憶の中の母ととてもよく似ていたのだ。
「ああ、ああ…。…フェリシナにそっくりだ」
零れ落ちる涙をぬぐうこともせず、祖父は決して視線を外さなかった。
日々、拙い小説を読んでいただき、本当ありがとうございます。
そして、やたらと登場人物が増えてくるし、日々話をまとめるのが下手なのと自分の遅筆に驚いております。
結末は決めているのですが、次から次へ書きたい話題も出てきて、だらだらと話しが続きますが、お付き合いいただけると嬉しいです。




