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美しきモノの目覚め  作者: ccm
目覚め、そして出会い
6/84

06




アディリナは母であるフェリシナと過ごした幼い頃、ずっ疑問であった。




『母は望みを口にしない』



それなのに母の望むものは次々と周囲の存在(守るモノ)により揃えられた。


絶品の料理も、美しいドレスも、高価な宝石も。

自身を庇護する存在でさえ。




母が行うことは、それに対して感謝し、慈しみ(愛し)、癒し、その心を自身で埋めることだけ。

ただそれだけ。




それだけで美しい彼女は多くのモノを手に入れてきた。



―それは、この国で最高の力を持つ王の心でさえも―





フェリシナは後ろ盾もなく、数ある王の妻の中でも最も身分が低かった。

いくら王の寵愛を受けたからといって、身分の低いフェリシナ自身ができることはあまりに少ない。



そして、それは王と出会う前から変わらない。



だからこそ、彼女誰よりも自身を理解していた。


そして、愛するアディリナにその術を教えてないはずがなかったのだ。







―――――――――――――――――――――






母が繰り返し伝え聞かされてきた言葉。



アディリナは自身の護衛騎士であるリチャード・クランストンにあって実感したのだ。


母の言っていた『自分を守ってくれる存在(モノ)』として、彼を慈しもう(愛そう)と。





今のアディリナが心から信じられるものは、母から受け継いだこの美しさ、呪いを受けても11年ずっと傍にいてくれたマーサだけだ。




最大の後ろ盾であった母であるフェリシナはいない。


呪いを受け、明日を生きることだけを気にする日々は終わったのだ。




―『母を殺した』、この愛憎が蠢く王宮の中で生き抜くために、自身の身を守るためには、自身が行動を起こすしかないのだと―







「リチャード卿」


微笑みを浮かべアディリナは声を発した。




「私、お花がとても好きですの。離宮の庭園でよいのです、一緒に来てくださいますか?」



その言葉を聞き、少しだけ安堵したようなリチャードと再び視線が交わる。

いまだ、離宮の外に出ることのできない主の小さな望み。それを拒否等できるはずもない。


「ええ、もちろんです。アディリナ姫様。」







―――――――――――――――――――――







アディリナにできること。

それは、母と同じように感謝し、慈しみ(愛し)、癒し、その心を自身で埋めることだけ。



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