表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
美しきモノの目覚め  作者: ccm
目覚め、そして出会い
5/84

05



クランストン家は代々王家の護衛騎士を輩出する由緒ある公爵家だった。

その始まりはイヴァノフ王国建国にまで遡る



現クランストン家の4男であるリチャード・クランストンはイヴァノフ王家に仕え、アディリナ姫の護衛騎士となり5年。



彼はその任につきながらも、5年間自身の主と言葉を交わしたことすらなかった。



しかしそれも『当然』である。


アディリナ姫は11年間その身に宿す呪いによって生命力を奪われ、さらにその呪いは周囲にいるモノの生命力すらも奪うのだ。



護衛騎士となった魔力の持たないリチャードの役割は、アディリナ姫のいる離宮の安全を守るだけであった。






―――――――――――――――――――――








護衛騎士となって5年、今日初めて自身の主と言葉を交わした。



「リチャード卿、今までの貴方の働きに心からの御礼を。」



「と、とんでもございません!お顔をあげてください!」




主からの感謝の言葉を受けてもリチャードは護衛騎士として、主であるアディリナが頭を下げる程の務めを果たしたとは思えなかった。

呪いのせいとはいえ、護衛騎士だというのに主の傍に付き添いその身を守ることさえなかったのだから。



それでもアディリナはリチャードの瞳を真っ直ぐに見つめ言葉を続ける。



「いいえ。マーサから聞きました。貴方は私の護衛騎士となってから、この離宮の警護を5年間一度もかかすことなく務め、私を守っていてくれたことを。」



「そ、そんな…。……私など…。」



一切逸らされないその視線と瞳にリチャードはとうとう耐え切れなくなり、自ら目を逸らすしかなかった。








―――――――――――――――――――――








―いい、アディリナ。これから貴方が無事に生きていくためには、自分を守ってくれる存在(モノ)を見つけるのよ。―


―この世界では私やアディリナのような存在(モノ)は誰かに守られないと生きていけないの―




アディリナと母であるフェリシナの記憶はそう多くはない。


しかし、フェリシナは何度もアディリナに伝え聞かせてきた言葉は確かにアディリナの中に残っている。




母であるフェリシナと過ごした守られ、幸福な日々。




それを過ごせたのはフェリシナに魅了され、彼女を守る多くの存在(モノ)があったからである。




美しくはあったが身分の低いフェリシナ


そんな彼女は自身を守るための闘い方(方法)を充分すぎるほど理解していたのだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ