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サラはごく一般的な平民であった。
平民ではあるが、彼女は運良く城に勤めることが出来た。
しかし、そこからが彼女にとって辛い道であったとは想像だにしていなかった。
城で務め始めて4年が経つが、身分の低さから、いつまでも昇給も出来ず、最下層の仕事ばかりだ。
自分と同時期に入ってきた貴族の娘達は、既に妃付きとなっているのにも関わらずだ。
仕事の手際だって量だって圧倒的に自分の方が上なのに。
『平民だから』
そんな理由でサラはずっと変わる事のない報われない日々を過ごしていた。
しかしそんはサラに転機が訪れる。
7年前、そんな彼女に巡ってきたのは呪いを受けたアディリナのいる離宮での仕事だった。
呪いの影響が少なからずあるが、今よりも給金も上がる。
何よりも周りの行儀見習いで城に勤めている貴族の娘たちから離れ、平民と馬鹿にされる事も、仕事を押し付けられる事もなくなるのだ。
サラは二つ返事で了承した。
離宮にいる間は呪いの影響で、簡単な仕事をしていても常に疲労を感じていた。
しかし一方、精神面ではとても平穏であった。
離宮に勤める者達は皆、厄介払いされてきたり、酷い扱いを受けている者が多かった。
例えば掃除係のアンナは、貴族の不貞の子として周囲から虐げられ、コックのミゲルはイヴァノフ王国では見慣れない褐色の肌をしていたため、差別され正当な評価を受ける事はなかった。
だからだろう
皆、人の痛みが分かるからこそ、お互いを陥れる事もなく、協力して過ごしていた。
呪いの影響を受けるが、離宮での暮らしは確かに穏やかで平穏であった。
離宮に勤めて7年。
その日は突然やってきた。
離宮にいる第六王女、アディリナ様の呪いが解けたのだ。
そしてその知らせを聞いた日、サラはもちろん離宮の使用人達は皆覚悟した。
この平穏な生活の終わりを。
しかしそんな彼等の予想は容易く裏切られた。
呪いが解け、長年支えていた自分たちの主人と初めて会った時には、あまりの美しさに声が出なかったのは忘れられない。
それは離宮の使用人たち皆が同じ気持ちだった。
そしてアディリナ様は更に我々を驚かせた。
使用人達にも自ら声をかけてくださる
それどころか使用人たちの名前まで覚えているのだ!
小さく優しい離宮の主人。
周囲から忘れ去られた様に静かだった離宮には、そんな主人の美しい微笑みが加わったのだ




