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美しきモノの目覚め  作者: ccm
目覚め、そして出会い
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一体何故こんな事になったのだ



イスマエルは現状を思い返す。


今日は王に即位し、数年ぶりに城下町へと赴いた。

今は建国祭の真っ最中で、護衛のロイに促され、旅人になりすまし、視察に来たのだ。


思ったよりも多い人混みに巻き込まれ、途中でロイと逸れてしまったのだ。


しかしイスマエルも立派な大人で城下町には何度も訪れているため然程焦りはしなかった。




そんな時だった


母親と逸れてしまったエマという少女を見つけ、そしてフェリシナという美しい女と出会ったのは。


容姿の美しさもそうだが、イスマエルは初めて自身に打算的な考えなしに微笑んでくれる女に会ったのだ。



最初は強引で身勝手な女だと思っていたが、共に過ごしているうちに、しっかりと周りを見ている事に気づく。


少女も、巻き込まれたイスマエルも気遣う



美しく聡明な女だと











――――――――――――――――――――――――







「ごめんなさいっ、待たせてしまったわね」


そう言ってフェリシナは戻ってきた。

露店で買った肉や野菜がクレープの生地に巻かれ、手を汚さずに食べれるものだった。


それを少女に差し出す。


「わーいっ、美味しそう!」


少女は嬉しそうに差し出されたクレープを早速食べ始める。



「はい、これはエルの分。」


そう言ってイスマエルにも同じようなクレープを差し出してきた。



「…ああ」


咄嗟に受け取ったはいいが、イスマエルは露店で食べ物を買って食べるのは初めてだったのだ。


隣に食べる少女を見ると、そのまま齧り付いているようだ。

しかし食事はカトラリーを使い、行儀良く落ち着いて食べるものだと身に染み付いてしまっているイスマエルは戸惑った。



何もかもがイスマエルには初めてだった。




受け取ったはいいが中々食べ始めないイスマエルを見て、フェリシナは声をかける。



「エル?もしかしてこれ食べた事ない?」


イスマエルは正直に打ち明けるのを戸惑ったが、隠した所で何もならないと思い頷く。


「そうだったのね!これはこう食べるのよ。」


そう言って、手に持つ自分の分に齧り付く。


「最初は恥ずかしいかもだけど、これはこうやって食べるのが1番美味しいのよ」


そう言って美味しそうに口元を緩めた。


その様子を見て、イスマエルも恐る恐る齧り付く。





「お兄ちゃん美味しい?」

「どうかしら?」



2人は期待を含んだ目でイスマエルに問いかける。





イスマエルが普段食べているものの方が圧倒的に品質も値段も上だ。


生まれてから最高級と言われるものばかり食べてきた。




しかし何故だろう



美味い



そう思ってしまうのは何故だ?




「ねえねえ、お兄ちゃん美味しい?」



イスマエルの返答を待ちきれずに、再度少女は尋ねる。



「…ああ、美味い」




イスマエルのその返答をただ聞いただけだ


2人に取っては何一つ得などないはずなのに




何故あんなにも嬉しそうに笑えるのだ


















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