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今日はアディリナが参加する2回目の王家の食事会が開かれる日だ。
本来であれば、本宮に来て、1ヶ月後に開かれた食事会にも参加するはずであったが、書庫で事故が起きた次の日であったため、父であるイスマエルからも、従者達からも大事をとり休むことを勧められ、2回目の食事会は欠席していた。
アディリナは久々の食事会への参加のため、準備をしていた。
「アディリナ様、今日も大変お美しいです。」
アディリナのドレスや装飾品を揃えた、マーサはうっとりとする。
―フェリシナ様が着ていらっしゃったドレスも、まだ15歳であるのにこんなにもお似合いになるなんて!―
今日アディリナが身につけているのは、フェリシナが生前着ていた深い緑を基調として、白いレースがあしらわれているドレスだ。
マーサは確信している。
自身が磨き上げてきたアディリナ様は、
フェリシナ様を超える美しさになると。
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「アディリナ姫殿下のご到着でございます。」
入り口に控える衛兵の声により、会場のドアが開く。
アディリナは最初程でないが、少し緊張をしていたが、それも食事会の会場に既に到着していたヨハンの姿を見つけ安堵の息を吐いた。
今日の食事会は、留学中の第三王子、第四妃と姉である第五王プリシナが他国との交友会のため欠席であった。
そのため1席空けてであるが、アディリナはヨハンと隣同士であった。アディリナは小さい声でヨハンへといつも通り声をかける。
「ヨハンお兄様、おはようございます。」
「…ああ、アディリナ。…おはよう。」
アディリナに比べて大分小さな声であるか、アディリナに答えたヨハンの様子に、席についていた他の王家のものたちはひどく驚いた。
―更に彼らの驚きは続いた―
「ヨハンお兄様、お食事の後少しだけお時間ありますか?先日の本なのですが少しだけ分からないところがあって…」
「大丈夫だが、もうそれも読んだのか?」
「はい!でもちょっとだけ分からないところがあって…。…その部分が昨日から気になりすぎて今日こちらに来る際にリチャード卿に本を持ってきてもらったのです……」
「………ふっ」
「ヨハンお兄様っ」
「悪い。この後でな、…ははっ。」
食卓に楽しそうなヨハンの笑い声とアディリナの少し照れたように咎める声が響く。
何を見ているのだ?
第四王子のヨハンのこのような姿は誰一人として見たことがなかった。
それは同じくその様子を見ている実兄のセドリックでさえも。
王位継承権に近い、第一王子のセドリックや第二王子のカールなら、理解できる。
だが第四王子のヨハンに取り入ったところで、何一つ得はないことが誰にとっても明らかだろう。
「国王陛下、王妃殿下のご到着でございます。」
衛兵のその声が響くまで、食卓はアディリナとヨハンの2人の空気が支配していた。




