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雑炊

作者: クレヨンババア

何もない。ただそのままの面積。


それだけを保つことができたなら。


どれだけラクで解放されるだろう。


そうはゆかぬ。何かと物いりな暮らし。


身を守る布、動くための食、全ての拠点である住まい。ちょっとした隠れ家に憧れたりもする。秘密基地を探したこともある。敢えて小さくて狭くて、むしろそれが独特で面白そうだから、広くて迷路のような古城ではなく、けれども圧迫感のない小屋がいい。


悠々自適なんて生活ではないが、日々一汁三菜でひと息入れれば丸くなるほうだと、自身を捉えている。食後のこの身を甘やかす飲み物で心を伸ばしほぐすひとときが過ごせればよろしいことである。


解凍した前の晩の白飯の上に、即席の合わせ味噌汁と温泉卵。この世で大好きなのかもしれない。醤油ではほどほど焦げ気味になった、焼きごはんもなかなか香ばしく美味しいと満足したりする。


この前は、白味噌とわかめ、大根の入った味噌汁を半分まで食べたあたりで、途中までひとくちずつ味わって白飯を入れ、ほぐしながら、昨日は赤だしのなめこ味噌汁に山椒の混ぜご飯でコクのあるピリ辛の染みた旨さで大いに満たされた。


猫と一緒に食べたら、喜んでだろうか。猫を飼うときが訪れるかは未定であるものの、予定に入れようと考えている。


七味をかけたさばの味噌煮を、胡麻をよく馴染ませたお米と合わせながら、ラジオを流し聴きする。副菜に出した豆腐と切り干し大根とニンジンの和え物が、適当に酸味を感じて、さっぱりと柔らかい。


今度は厚揚げと刻みネギの合わせ味噌のかきたま雑炊にしてみるとするか。


そんな気まぐれ気ままなズボラ旨い想像ご飯を思い付いた途端、腹の虫が合図を送り知らせてきた。


ペンを置いて、おたまを取りなさい。

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― 新着の感想 ―
[一言] 表現が上手くて美味そう。
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