今世について考えてみた
母は仕事へと行き、今は病室に一人になった。
私が置かれた今の状況を整理するには時間が必要だったので、ちょうど良い。
箇条書きにして、まとめてみよう。
・2つの記憶の間に、どんな世界に生まれ変わりたいかと聞かれた覚えがあるので、転生したのだろう。
・前世も現世も性格は、おそらく変わっていない。
・記憶の量から、前世の考え方が強く出ている。
・戦争がない世界を望んだのに、男が少ない世界にいる。
・男が少ない世界で、男に生まれてよかったあ。性同一性障害になるところだった。
この世界の歴史の教科書からの知識だと
二千年まえは、男女比は、若干男性が多く生まれていたらしい。
イエス・キリストが最後の晩餐で、「人が争いを起こすたび、戦争を起こす男が生まれなくなるだろう」
と、言った以降、男が生まれなくなってきたという。
初めは、だれも気づかなかったため放置され、男児の出生率が10分の1になって、
あわてて対策を取り始めたらしい。
対策が、キリスト教の布教であったことから宗教戦争を起こすのだから業が深い。
最後の戦争は、100年前。
ある独裁者が、「戦争を女が起こせば、女が生まれなくなるだろう」を建て前に起こした戦争は、
世界大戦へと発展し、その結果、男児の出生率が 50分の1から100分の1 になった。
減り始めた人口に、歯止めがかかったのが15年前に人工授精が確立してからだった。
そして、現在、人工授精で生まれる男児が女児の 200分の1 との結果に世界中が騒然としている。
そんな世界だから、歴史も歴史上の人物もちがう。
宮本武蔵はいるけれど、二刀流が両刀使いかと思いきやアレが二本あるとか
佐々木小次郎もいるけれど、物干し竿はアレが長いとかとんだ下ネタだったりする。
しかも、性教育の授業で教わって、みなさんも彼らのように頑張って子供を作りましょうときた。
結構、最初の方から箇条書きではなくなったけど、このまま続けよう。
不登校で引きこもった原因だけど、別に学校に行きたくなくて不登校になったわけではない。
うちの中学校に通っている男子生徒が、私と同級生の2人だけだった。
下の学年は、ともに中学生になって一週間以内に学校に来なくなった。
それが、一般的だった。
「あの2人が学校に通ってるのって、私たちを誘ってるんじゃない?」と、聞こえるように言う女生徒が
いたことから、登校するのは危険ということで自宅学習するように言われたのだった。
登校理由は、総理大臣を目指すという友達の岸大介に付き合う形だったから、危険ならば仕方がないと
思うぐらいだった。
進学校へ受験する彼とともに、定期試験は受けさせてもらえることになっている。
そのうち、試験の日程などの連絡があるだろう。
さて、この世界には電子レンジがない。そのせいで、冷凍食品もない。
コンピュータも30年ぐらい遅れてる感じだし、レーザーもない。
兵器開発から民間へと移行した技術が軒並みなかったり、遅れたりしている。
一番望んでいた、原爆がない世界だから、あまり文句は言うまい。
さあて、これからどう生きるか考えないとなあ。