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序章
その日、少年はいつもより早く目覚めた。
寝るまえに、カフェインゼロだからとコーラを飲み過ぎたのが原因だろう。
まだ家族は家にいる時間。
不登校なので家族と顔を合わせづらいが、尿意には勝てずに階段を降りていった。
できるだけ物音を立てずに行動していたのだが、台所の母に気づかれたようで
「しんちゃん、起きたのなら、今日は朝食を食卓で食べなさい」と声をかけられた。
用を済ませた少年は、「着替えてから、食べる」と、返事をして階段へと向かっていった。
階段に足をかけたとき、家が揺れる。
バランスを崩して、階段から倒れていく中、少年は人生を走馬灯のように思い出す。
かろうじて、頭を守ろうと体を丸めることは出来たのだが、転倒したいきおいは殺せずに、
後頭部をぶつけて、目の前が暗くなる。
目の前が暗かったのは数秒だと思ったのだが、視界を取り戻すとそこは病室だった。