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第六話 未知☆との遭遇

 私は今、魔物と対峙している。


 自分の中に巣食う魔物と向かい合うとかいう抽象的でJ-POP的なアレではなく、モノホンの魔物と対峙しているのである。




✳︎




 今日も今日とて私はスリムな体を入手するためにいつもの山にウォーキングに向かった。


 頂上に着き、家で焼いてきた豚バラ300gと塩おにぎり5個をむっしゃむっしゃ食べた。うまい。


 それにしてもウォーキングを2ヶ月以上続けているのに一向に痩せないのはどういうことだろう。責任者出て来い。


 頂上は芝の生えた広場になっていて、その周りは林である。


 腹ごしらえの後、私は何となくそこら辺を歩き回った。誰もいなかったので調子に乗って三点倒立をしてみたり自分で決めたUFOを呼ぶ前衛的なポーズをしてみたりした。


 すると、本当に上空から何かがゆっくりと降りてきた。一見ピンク色の白鳥ボートみたいだが、何故白鳥ボートが空を飛んでいるのだろうか。


 白鳥ボートは数十メートルくらい離れた林の中に降りたようなので、好奇心からそちらに近づいてみた。しばらく林の中を探索していると、いきなり妙な生物が目の前に現れた。


 それはナメクジみたいな形状で、大きさは頭らしき部分から尾らしき部分の先まで2メートルくらいあり、確認できるだけでも色とりどりの触手っぽいのが250対、複眼っぽいのが380個もあった。


 背中っぽい部分にキラキラで縁取られた穴が開いていて、そこから青紫色のデロデロしたものがとろ〜りとろり垂れまくっていた。キモい。


 私は動けない。動いたら魔物を刺激して、攻撃を誘発してしまうかもしれない。


 熊に遭遇した場合、目を離さないようにしてゆっくり離れるべしと聞いたことがある。こいつの場合、複眼っぽいのがやたら有るのでどれを見れば良いのだろうか? いや、そもそもこいつは熊ではない。


 いくら考えても対処法が分からない。私はそのままの姿勢で、逃げる隙をうかがった。


 体感にして2時間が経過した。実際は2分くらいだったかもしれない。


 急にそいつは触手っぽいのをうごめかせ始めた。私はさらに身を固くする。


 そして魔物は5本の触手を使って、こちらにサインらしきものを送ってきた。それは中指を立てるジェスチャーに見えた。


 ……来る!!


 何らかの攻撃が来ると思った私は思わず腕を顔の前でクロスさせ防御のポーズを取った。


 魔物は背中っぽい部分から赤褐色のデロデロを天に向かって勢いよく迸らせた。


 殺される!!


 私は命からがら逃げ帰った。




✳︎




〈§※≧⁑∽∬のチョベリグ☆ニッコニコ日記 和訳バージョン〉



 きょお、とっても怖い体験をしました。


 あたし、彼ピッピに会いに隣星まで行ったの。あたしたちは絶賛遠距離恋愛中なのだ☆


 あたしはチョ→気合い入れて、付け触手をいっぱい付けたし、デロデロの噴出口にはラメをあしらったレースをつけてみたのだ☆


 あたしは舟の近距離免許を取ったばっかで、行く時スピードをつい出し過ぎちゃって黄土色切符を切られちゃったけど、彼ピッピに早く会いたかったから仕方ないよね?


 で、彼ピッピは男らしい金キラのデロデロを盛大に噴き出してて、それに触手もいっぱい増えてて、相変わらずチョベリ素敵だったゾ☆


 彼ピッピったら、あたしの色とりどりの付け触手を見て、「今日の§※≧⁑∽∬はまた一段と綺麗だネ」って言ってくれた!


 あたしはマンモスうれピーキモチで、思わず虹色のデロデロを噴き出しちゃった☆


 そしたら彼ピッピのポケベルがけたたましく「グリリリリリ!!」っで鳴ったの☆


 近くの星からキュウシュウホクブトウトウツユイリカ星人が攻めてきたから出勤要請が出たって、仕事に行っちゃった。


 彼ピッピはあたしたちの星々の縄張りの警備隊をしてて、あたしはそれをとっても誇りに思ってる。だからすぐお別れするのも仕方ないよね☆って笑顔で触手、モチロン付け触手以外ね、をブンブン打ちつけてサヨナラしてきた。


 でも、ホントはチョ→寂しいんだゾ(/ _ ; )この埋め合わせは今度絶対してもらうのだ☆


 で、あたしの星に帰る途中、時間もあることだし舟で宇宙を散歩して、ちょっと遠くまで行ったのね。そしたら青い惑星が見えたから、綺麗だなって思って寄ってみたの☆


 ホントは知らない星に勝手に行くのは危険だからダメなコトで、バレたら死刑なんだけど、きょぉはエネルギーを持て余してたから、仕方ないよね☆


 あたしは土地が盛り上がって高くなったてっぺんに舟を着けて、外に降りてみた。


 そこら辺を這いずり回って観光してたら、チョ→変な生物に会っちゃった。


 その変なのは、縦長で、丁度ナ◯ック星人さんと似た感じ。ナメ◯ク星人さんの色を肌色に変えて、触覚を取った感じ。耳はとんがってない。


 あたしはナメック星人さんを初めて見た時もたいがいびっくりしたけど、その一億万倍は驚いた。


 だって触手が一本もないし、デロデロも噴き出さない。どうやって呼吸してたのかな?


 そいつはあたしに会った途端、動かなくなった。そいつが何考えてるかわからなくてチョ→怖くなったから、あたしも固まっちゃった。そいつ、もしかして、MKファイブ状態? ってヤツ? かもしれなかった。


 恐怖で青紫色のデロデロがとろ〜りとろり垂れまくった。


 そのまま時間がいっぱい過ぎたの。もう、§※≧⁑∽∬チョ→疲れちゃった。


 だからあたしから動こうと思って、敵じゃないヨ☆ってポーズを取った。つまり主触手のうち、中触手を立ててその他の4本の親触手・人差し触手・薬触手・小触手を折りたたんだ。


 そしたら! そいつ、あたしでいう右太触手と左太触手を交差させて顔の前においたから、もうびっくりしちゃって! 赤褐色のデロデロが天に向かって勢いよく迸ったの☆


 それってあたしの星では「お前はもう死んでいる」っていう意味だから、殺される! って思って急いで舟に引っ返して帰ってきた。


 帰り道をあんまり急いだものだから、また黄土色切符を切られてしばらく免停になっちゃった☆でも、殺されるよりはマシだから仕方ないよね☆


 §※≧⁑∽∬はとってもポジティブ☆なのだ!






ありがとうございました。

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