7.魔王、娘に精神的ダメージを負わされる。
あの後リズはすぐにまたクロムに背負われた状態で魔王と共に
一つの部屋の前へと訪れた。
「魔王様、ここは?」
「我が娘の部屋だ、この時間帯ならばいると思ってな」
と言って魔王はコンコンとノックをした。
するとすぐに中から反応が返ってきた。
「母様?」
「アリス、お前の騎士を連れてきたそろそろ顔合わせするべきだと思ってな」
「・・・・入っていいよ」
という声と共に三人が部屋へと足を踏み入れるとそこはいかにも
年頃の女の子と言った感じの部屋でたくさんのぬいぐるみなどが置かれていた。
「お前の部屋とは大違いだな」
「そうですね、確かに色々と置いてありますね」
と会話をしながらリズはクロムの背中越しに部屋の主である少女へと視線を向けた。
部屋の中心にはベッドが置いてありそこには一人の少女が腰掛けていた。
その少女は真っ黒なドレスに身を包み銀髪に赤い瞳の少女だった。
その少女はクロムに背負われているリズを見るや否や
「どうして、クロムに背負われているの?」
とそう母親である魔王に問いかけた。
それに対して魔王は少しだけ考え込むと
「クロムのバカが足を怪我させたからよ」
「そうなんだ、クロムサイテー」
「本当です、私も足を怪我してなければ
こんなの二背負われたくはありませんので」
と集中攻撃を受けたクロムはというと
「泣いていいですか?」
とそう呟いた。
「ところで、その騎士さん昨日試験に挑戦したんだよね?結果はどうなったの?」
とそうアリスが問いかけるとリズは胸の痛みで咄嗟にクロムの背中に顔をうずめた。
その様子にクロムは魔王にへと目配せをした。
それを確認した魔王は頷きこういった。
「こいつはクロムと戦って見事に勝利を得て試験に合格したわ」
「え、魔王様?」
「ああ、自分も最後に秘策を使ったんだけどなー負けちゃったわ」
「そうなの?」
「ああ、その時こ奴は気絶しておったがこいつすぐにぶっ倒れおったのじゃ」
「・・・でも」
「言ったであろう?貴方はクロムを倒せば勝ちだと」
「それに自分自身負けだと思ったからな」
「・・・・・してください」
「え?」
「ん?」
「私の涙と先ほどまでの罪悪感を患っていた時間を返してください!!」
「いや、悪かったってリズちゃんごめんね」「
「私もさっき言うべきだったわねごめんなさい」
と二人が弁解すると不意に魔王の娘が魔王にこういった。
「お母さん、それは酷いと思うよ?」
「え?」
「だって、リズちゃんは合格できなかったって思ってたのに本当の事を
教えてあげないなんてひどいと思うの」
「いやでも、その」
「お母さん、見損なった」
とアリスのこの言葉によって魔王の心は
思いっきり精神的ダメージを受けることとなった。