表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/18

5.黒騎士、試験に挑む

深夜の魔王城の地下へと続く階段を黒騎士は降りていた。

魔王は既に下に降りてしまい今階段を下りているのは黒騎士だけだった。

一切の光が差し込まないらせん階段を黒騎士はただ一つの光源であるランプを

片手に持って降りていた。

柵のついていない階段を慎重に下りながら黒騎士は試験について考える。

夜中ともいえる時間にこんな地下で行う試験とは一体何なのかと考えるしかし

すぐに考えるだけ無駄と思い階段を下りる足を速めるのだった。

黒騎士が下に着くとそこには奥に扉のある通路があるだけだった。

黒騎士は扉に近づくと精一杯の力で扉を押した。

すると扉に赤い文様が浮かび上がり黒騎士が触っても居ないのに勝手に開いた。


「・・・・何かしらの魔法が掛けられていた?」


とそうつぶやき黒騎士は警戒を強めて部屋の中に視線を移した。

そこはかなりの広さを有する部屋で全体的に地下闘技場のを思わせる作りだった。

黒騎士はゆっくりと観客席の階段をおりて中央へと降り立った、


「遅かったな、黒騎士」

「魔王様、遅くなって申し訳ありません。」

「まあ、多少の遅れは問題ない」


と魔王はそう言った。

そして黒騎士は視線を魔王から魔王の後ろへと移す。


「ところでそこの少年は誰ですか?」

「ん?ああこいつの名前はクロム、貴方の二代前の黒騎士よ」

「二代前?一代目ではなくですか?」


とリズが問いかけるとクロムが


「君の前の代の黒騎士なら三年前の勇者との戦いで命を落としたよ。」

「そうなんですか」

「それより早く始めるとしよう」

「・・・・?」


とリズが首を傾げるとクロムは魔王へと視線を向ける。


「もしかして説明してないんですか?魔王様」

「その方が面白いかと思ってな」

「全然面白くないですよ」

「今晩行われる試験とは何をするんですか?魔王様」

「ああ、それは至極簡単な話よ、このクロムが貴方の相手になるから

貴方はクロムを倒せばいいのよ」

「倒す、ですか?」

「ええ、そうよ」

「そういうことだ後継者」


とクロムがそう言った。

そしてクロムは腰にある刀に手を添える。

それを見た魔王は一瞬で跳躍し観客席に降り立つと大声で


「それでは両者揃ったので今から試験を開始する。両者名乗りを」

「五代目黒騎士クロム・レオンハーツ」

「リズ・ラインハルト」

「よろしい、試合開始」


と魔王が言うと同時にクロムの姿が消え真横からリズに向けての殺気が

唐突に出現する。

そしてリズが咄嗟に腕の部分だけを黒騎士の鎧部分で覆ってガードすると

凄まじい衝撃と共にリズの体が壁の少し前まで一気に押し込まれた。

それを見たクロムはいつの間にか抜いていた刀を肩に担ぐと


「へえ、俺の初撃を防ぐとはお前、やるな。」

「・・・・・なんて、重い一撃」

「黒騎士の手甲で防いだのはいい判断だ、今のを腕だけで防ごうなんてしたら

すぐにお前の腕は無くなっていただろうな」


といってクロムは刀を構えるとこういった。


「ほら、どうした?さっさと出せよ持っているんだろう?

各黒騎士に一つは支給されている人を選ぶ魔人が付くりし()()を」

「・・・来いサジタリウス」


というリズの言葉と共に青い弓が姿を現す。


「ほう、それがお前の魔具か、ならばこちらも出すべきだな。

我が手に来たれ、イクスピアリ」


というクロムの両手に真っ赤な刀身の刀が出現する。

クロムとリズは互いに魔具を構えると即座に動き出した。

クロムは一瞬にして距離を詰めると両方の刀をしたから切り上げた。

すぐさまリズはサジタリウスを持ったまま後ろに跳躍するが

それでも完全には避けられずに刀の両方の刃がリズの肌をかすめた。

リズは一気に壁を蹴って空中でクロムに狙いを定めて即座に弓を放った。

クロムは向かってくる矢を全て刀で弾き落とし勝ち誇った笑みを浮かべる。

しかしその表情は背中の痛みによってすぐ崩れる。

クロムが背中に視線を移すとそこにはリズの放った矢が深々と刺さっていた。


「追尾魔法付きの矢とか後継者ちゃんは充てるためによく考えてるね」

「・・・・凍結、爆破、腐食」

「・・・・??」


とクロムが疑問を抱いたのもつかの間すぐさま背中に刺さった矢を中心として

リズの言った通りの魔法が発動する。

まず最初にクロムの体内で爆発が起き、すぐさま凍結し腐食した。


「なっ!?」

「降参した方がいいですよ?そのままだと凍ったまま腐食が進み私でも

戻せなくなります。」

「ふーん、でも残念だったね後継者ちゃん」

「?」

「自分の勝ちだ」


というクロムの言葉と共にリズの後ろで何かの刺さる音が響いた。

リズが振り返るとそこには地面に刺さった刀とそれを中心に広がる魔法陣だった。

リズが動こうとするよりも早くクロムの言葉が響いた。


「大爆発」


同時に刀から熱気と衝撃がリズの体を闘技場の壁にたたきつけてそのままめり込ませる

そして爆発が終わるとクロムがゆっくりと立ち上がってこういった。


「悪いが、奥の手位残っているのが当然なんでね」


とクロムは笑みを口元に浮かべてそう言った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ