17.それぞれの戦い
宣言を終えるとすぐに朧月は二刀を振りぬこうとする。
それをレーヴァテインで軽くいなしつつリズが後ろへと下がると
「甘いですね、私の射程圏内ですよ」
その言葉にリズが疑問を抱くよりも早くリズの目の前が爆ぜた。
いきなりの事にリズは咄嗟に後ろへと飛んで衝撃を緩和するがそれを
見越していたのか目の前に朧月が迫っていた。
(しまった・・・読まれ・・)
リズが行動を起こす前にそのお腹にスピードの乗った
蹴りが叩き込まれてしまう。
空中で身動きの取れなかったリズはそのまま
地面を数メートルほど滑り、それにより赤い線が出来てしまう。
『我が主!!』
「・・・大丈夫です、少しだけ血が出てますが」
『・・・今のは、きっと朧月の能力ね』
「いったいどのような能力なのでしょうか」
二人が話している間にもう一度リズの目の前の地面が一気にえぐられる
咄嗟に、リズが横に飛びのくと亀裂は急に向きを変えリズの後を
追いかけ始めた。
「さて、どうしましょうか」
『随分と冷静なのね、我が主』
「血が減っているからでしょうかね思考が割とスムーズに
行えている気がします」
『割と急がないと倒れるわね、さっさと決めるわよ」
「そうですね、割と視界がぼやけ始めてますから」
「おや、何かなさるつもりですか?させませんよ」
呟くと、朧月の姿が消え代わりに蒼月がその場に姿を現した。
それと同時に斬撃は消え、代わりに薄い霧が満ち始めた。
「霧?」
『ただの霧ではないみたいね二人の気配が感じられない』
「無駄この霧の中私たちが有利」
何処からともなくそんな声が響く。
それと同時に横からいきなり二つの刃が振り下ろされる。
リズが咄嗟にそれを防ぐとすぐにまた別の方向から斬撃が飛んできた。
「私達倒すなら急ぐことあちらにも魔装は行っている」
「なっ・・」
リズが蒼月たちと戦いその周囲が霧に覆われると
突然リタとアリスの前に一人の少女が降り立った。
「・・・貴方は、アダマス!」
「久しぶりですね、リタ先輩」
「貴方がここに来たという事は」
「ええ、私は他の魔装の代表ですなので、
リタ先輩を破壊しに来ました」
「なるほど、確かに貴方は壊すのには適役だものね」
「ええ、私は万物を切り裂きますからと言っても
持ち主が居ればという制約付きなので壊せるのはせいぜい
魔装である先輩程度です」
そう言ってアダマスは自分の身の丈よりも大きい
大鎌を構える。
「行きますよ、先輩簡単には壊れないでくださいね」
こうして、一つの場所で二つの戦いが始まる
それに呼応するかのように眠りを迎えたかの少女は
ゆっくりと目覚めが近くなっていることを
この場の全員は知る由もないだろう