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15.魔王の考え

「戻ったか」

「ええ、少してこずりましたが試練を完了いたしました。」


とそうリズは魔王に報告する。

それに対して魔王はリズの隣に立つ魔剣レーヴァテインへと

視線を向けて


「お前は認めたのか?レーヴァテイン」

「ああ、我はもうリズの物じゃ」

「そうか、では次の準備が出来次第呼ぶので今は休むといい」

「了解しました、行きますよレーヴァテイン」


と言ってリズが闘技場への入口へと歩き出すと

レーヴァテインは軽い返事と共に後を付いて行った。

そしてそんな二人の後ろ姿が完全に闘技場から消えたのを確認すると

不意にクロムが魔王へ質問をした。


「なあエマお前、一体何のつもりだ?」

「・・・・何のことだ?」

「とぼけるなよ、なぜリズに魔装との契約をさせたんだ?

黒騎士には武器は一つで十分だろ?」


とクロムが言うと魔王、エマは少しの間黙ると

すぐにこう答えた。


「貴方にはもう話したはずだ、あれが闇に染まった勇者だと」

「ああ、聞いたよ、だがそれとこれに何の関係があるんだ?」

「本来黒騎士とは魔族の中でも武器の才能がずば抜けた者が選ばれ

なる者なのだけれども」

「それがなんだ?」

「三年前、あの子を守るにふさわしい才能に恵まれた魔族はいなかった

だから、私はもう少しだけ待とうとそんなことを考えていた時に

勇者は、リズは当時の仲間と共に私の前に現れた。」

「・・・・」


何の話なのかといった表情をしながらもクロムは一切何も言わずに

そのままエマの話に耳を傾ける。


「あの子の技術は素晴らしかったわ、()()()()()()()()()()()()()

「それで?」

「ええ、それにどんな時でもあきらめなければきっと勝てる

絶対に勝てるって仲間に言っていた彼女は実に、()()()()()()

「だから、お前の娘を守る騎士にしたと?」

「それもあるけど、一番大きな理由は・・・」

「理由は?」


とクロムがそう問いかけるとエマはにっこりと満面の笑みを

浮かべてこういった。


「人間の希望が絶望へと切り替わるその瞬間が面白そうだったかしら?」

「・・・随分と性格が悪いことで」

「誉め言葉として受け取っておくわ」

「だが、それはアイツを黒騎士にした理由だ。自分が今聞きたいのは

なぜアイツに魔装との契約を結ばせているのかなんだが?」


とクロムが言うとエマは大きなため息をはき

諦めたような表情をすると


「先日の襲撃で来たのは黒騎士になる前のリズ、つまりは

私に戦いを挑んできた彼女の妹だった。」

「ほう、奇妙な偶然もあるもんだな」

「そして私は一つ面倒な事態を考えてしまった」

「・・・リズが今の状態から勇者へと戻る事か」

「ええ、今の黒騎士の肉体は人間の体ではなく様々な魔獣や神獣

さらには()()()()()()()()()までをその身に宿している。」

「確かに面倒だな、だがそれだけなのなら特に問題なんて無いんじゃ」


とクロムがそう言うとエマは首を横に振ってそれを否定する。

それに対して首を傾げたクロムにエマは


「今は黒騎士としての部分が抑え込んでいるが今リズの中には

私が破壊し損ねた()()が沈んでいる」

「・・・・なるほど、確かにそれなら元に戻った時には

自分らにとっては絶望的な状況だな」

「ああ、だからこそ私は魔装の試練を受けさせている。」

「んー?なんの関係があるんだ?」

「む、そうか分からないのか?」

「まあな」

「魔装は魔族の神、つまりは魔神が己の魔力を編み作ったもの

つまりそれと契約し常日頃から体の中に留めておけば」

「黒騎士としての力が強まり、勇者に戻ることもなく

聖剣も闇に染められるといった所か」


というクロムの言葉にエマは頷いた。


「そういうことだ、完全な封印は無理としても力を弱めさえ

出来れば問題はない」

「そうか、ならとりあえず自分は魔装の整備でもしておくよ」

「ああ、任せたそれとクロム」

「ん?なんだエマ」

「私の事を名前で呼ぶのはやめろ」

「昔はいくらでも呼ばせてただろ」

「過去と今では違う物だ」


というと魔王はそのまま闘技場を後にする。

残されたクロムは少しだけ考え込みながらも


「まあいいか」


とそう呟いて魔装の整備へと取り掛かるのだった。



*魔王城大浴場*


「へぇ、ここは相変わらずの広さなのね。

ねぇ黒騎士一緒に入りましょう?」

「元よりそのつもりでここに来たのでしょう?

その前に体を洗わないと、だいぶ汚れてしまいましたから」


とリズがそう言い自分の体を洗い始めると

レイはリズの後ろへと立つ。


「背中流す?」

「結構です、自分で出来ますので」

「そう、じゃあ私は先に入っているから」


というとレイはそのままお風呂に浸かってしまった。

特に気にせずリズが体を洗い続けていると唐突に誰かの手が

その背中に触れた。


「リズ、背中流すね」

「・・・・リタ、別に私は」

「日頃のお礼、だから」

「日頃のお礼とは?」


とリズが問いかけるとリタはリズの背中をこすりながら


「いつもリズは、私の調整を夜遅くまで寝る時間を削って

してくれてるからそのお礼」

「別に、武器の手入れをするのは当然の事ですよ」

「それでも、ちゃんと大切にしてくれるから」


というとリタはゆっくりとリズの背中にお湯をかけ泡を流した。

リズは完全に泡を流し終えるとリタの手を掴む。


「・・・・?」

「行きますよリタ、先にレイが入っているので私達も」

「はい、リズ」


と言い二人が浴槽に浸かろうとすると不意に後ろの方から

聞き覚えのある声が聞こえた。


「あ、リズ!」

「アリス様、なぜここに?」

「お風呂なんだから当たり前でしょ?それよりも

その子は誰?お風呂に入りながらゆっくりと教えて」


というなりアリスは強引にリズとリタの手を引いて

レーヴァテインの方へと行くのだった。


次回は再びお風呂回

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