14.黒騎士VS魔剣レーヴァテイン
諸事情によりレーヴァテインの呼称がエリ→レイに代わっています
一気に踏み込んできたレイに対してリズはすぐに矢を放とうとサジタリウスを
向けるがそれに対してレイは口元に笑みを浮かべながらも距離を詰めてくる。
レイの笑みに疑問を浮かべつつもすぐにリズはレイに向けて矢を放つ。
当たったとリズが確信した瞬間、唐突に矢が焼失した。
「な!?」
「遅いな、あまりにも遅いから斬ってしまった」
というレイの言葉にリズはすぐに矢に込めた魔力の反応を探るが
一つとして感じられなかった。
その状況にすぐにリズはもう一度サジタリウスから矢を放とうとするが
すぐさま斬撃が飛んできてリズは咄嗟に後ろへと飛び退った。
「つまらん、避けるばかりで攻撃できないか?」
「凍りつ・・・」
「させぬ」
と言ってレイは剣を振り下ろす。
届かないのになぜとリズが疑問を浮かべたるのと同時に
黒い刃がリズへと直撃する。
そのままリズは丘の下まで吹き飛び受け身を取れずに
数回ほど地面を転がった。
「ッグ!?」
『リズ!!』
サジタリウスの声でギリギリ意識を保つとリズはすぐに体を起こそうとする。
しかし途端に口から血が吐き出されそれは小さな水だまりを形成した。
「・・・・ゲホッゲホッ」
「さて、これで理解したか?黒騎士」
「何をですか?」
「戦いとは、何も一つの武器で戦えというわけではない
使い分けることが大事なのだ」
というとレイは何処からか剣を出しそれをリズへと投げ渡す。
リズはふらつきながらもそれを受け取るとサジタリウスを放した。
するとすぐにサジタリウスは少女、リタへと戻った。
「リズ・・・」
「・・・・私は負けない、負けるわけにはいかない」
「良かろう、我が名はレーヴァテイン」
「我が名はリズ・ラインハルト」
「今、我らは互いに」
「この場において」
「「貴様を倒す!!」」
とそう宣言すると同時に互いに剣をぶつける。
そしてすぐさまレイが一気に押し込み、リズを切ろうとする
しかしその瞬間にリズは剣を傾け衝撃を逃すとすぐさま一気に上へと
斬撃を跳ね上げた。
それをすぐに感じ取るとレイは大きくとびすさりそしてすぐに
剣に魔法を宿した。
「・・・・付与魔術?」
「正解だ、だが今度は待たぬ」
というなりレイはリズを吹き飛ばした時と同様の斬撃を使う。
しかし今度の斬撃は先ほどとは違って炎で形成された刃だった。
「・・・・付与・氷の剣」
リズがそう唱えるとすぐさまリズの剣が青い輝きを放つ。
そしてそのままリズは迫りくる炎の刃に対して剣を振るった。
そして刃に剣が触れた途端に炎の刃は凍り付きそのまま砕け散った。
「・・・なるほど、サジタリウスとの契約による効果更には
一瞬とはいえ私の付与魔法を真似た。
訂正しよう黒騎士、お前はつまらなくないむしろ面白い」
「そうですか」
と言いつつもリズは剣を構えたままレイを見つめる。
それに対してレイは
「ああ、だから次の私の連撃で死ななかったら契約してやろう」
とそう告げてすぐに剣を振り下ろす。
すぐにリズは剣を構えて防ごうとするがレイの剣を受け止めた瞬間
重い衝撃がリズの体を襲って地面へと叩きつけられそうになるが
すぐに弾き体勢を立て直す。
だがすぐに下から斬撃が訪れてそのままリズを吹き飛ばした。
「リズ!!」
サジタリウスの叫びと共にリズは勢いよく地面へと落下した。
数秒、数分が経ってもリズは立ち上がらない。
「どうやら、私の勝ちのようだな」
とそうレイが言った時だった。
不意に周囲の空気が重くなった。
(・・・・なんだ?これは)
気づけばレイの手が震えていた。
それは寒さなどではなく恐れから来る震えだとレイは自然に理解する。
(恐怖?一体誰に)
とそこまで考えてレイはすぐに自分の吹き飛ばした少女を振り返る。
そこには、いつの間にか立ち上がった少女の姿があった。
「な、馬鹿な」
「一つだけ気づいたことがあります」
「なに?」
「私は剣より彼女を使えばよいという事に、来なさいサジタリウス」
そうリズがいうとすぐにサジタリウスがその手に現れる。
そしてリズはそれを構えこういった。
「悪いですが、次で私は貴方を打倒します」
「・・・おもしろいならば私も全力で相手をしよう」
「サジタリウス、リミッター全開放」
『え?でも・・・・』
「今この瞬間に決められればそれで構いません」
『分かった』
というリタの言葉と共にサジタリウスが輝きに包まれる。
それに気づいたレイはすぐにでもリズへと駆け寄ろうとするが
リズはすぐさま跳躍すると空中でレイに向けてこう告げた。
「氷の像に成り果てなさい魔剣レーヴァテイン」
言葉が終わると同時に一本の矢がレイへと放たれる。
レイがそれを剣で打ち払おうと触れた瞬間青い光が一気に広がり
二人を包み込んだ。
******
「おーい、リズ大丈夫かって・・・・寒っ!?
なんだこの寒さてか全部凍ってるじゃねぇか」
とリズを心配して魔剣の領域に入ってきたクロムは目を疑った。
そこに広がるのは一面が氷に覆われた場所となっていた。
「待て待て待て。あれー?レーウァテインの領域って
こんなに吹雪吹き荒れる場所だったっけ?」
「あ、師匠だ」
と聞き覚えのある声にクロムがそちらを見ると
そこには青い髪の少女に抱き着かれた状態の弟子がいた。
「・・・・色々と突っ込みたいんだがまず一つ、何でこんな状況になっている?」
「サジタリウスの魔力リミッター解除して撃ったらこうなりました。」
「そうか、次にその少女は誰だ?」
「サジタリウスです」
「ほう、随分な美少女で」
「初めましてクロムさん、私は黒騎士にまつわる魔装の一つ名を
サジタリウスと言います。まあリタとお呼びください」
「そうか、よろしくリタちゃんさて、最後にレーヴァテインは
何処に行ったんだ?」
と聞くとリズは露骨に目を逸らした。
そしてクロムがリタの方を見るとリタは苦笑いで指をさした。
クロムがそちらを見るとそこには氷の塊で固まった状態のレーヴァテインが居た。
「えーと、どうしようかなぁこれ」
「砕けばいいのでは?」
「却下」
「なら、溶かすとか?」
「いや、魔装の攻撃でできた物は魔装でしかできないが・・・」
「できないが、なんです?」
「それを出来る魔装がこいつなんだよなぁ?」
「・・・・どうしましょう」
「どうにもできない」
「あの、リズさんクロムさん」
「ん?」
とクロムとリズがリタに視線を向けるとリタは
「えと、その一回私を仕舞えばいいと思います」
「仕舞うとは?」
「だから、そのぉ私をリズさんの中に」
「それで、これが治ると?」
「ええ、なのでいつもの感覚で私を仕舞ってください」
「・・・・・分かった」
といってリズが目を閉じてサジタリウスに触れると途端に
サジタリウスの体が粒子となってリズの胸へと吸い込まれてしまった。
するとすぐに氷が溶けだしというよりは一気に砕け散り
中からレーヴァテインが出てくる。
「あー冷たかったというより一気に氷が解けたから服がヌレスケだー」
「・・・レーヴァテインさん?」
「ん?どうしたのリズ」
「えと、口調が」
「あーあれは契約する前の試し時の作りでこっちが素なのよ」
というとレーヴァテインはリズに抱き着いた。
それに伴いリズは不意に体があったかくなる感覚に襲われた。
「よし、リズお風呂行こ!」
「ええ、後その」
「ん?何か言う事でもある?」
「これからよろしくレーヴァテインさん」
と言ってリズが手を出すとレーヴァテインは笑みを口元に浮かべて
握手を交わした。